事例・荷物の宅配「ロボネコヤマト」から学ぶネーミングのコツ|自分の有名商標を利用する
「ロボネコヤマト」は、将来の自動運転社会の到来を見据えて、ヤマト運輸とDeNAが共同で進めているプロジェクトです(*1)。
AIを使って配送ルートの最適化を図っており、10分刻みで配達時間を指定することができます。
現在はまだ実験段階で、神奈川県藤沢市の限られたエリアでのみサービスが提供されています。
ネーミングテク「自分の有名商標を利用する」
ヤマト運輸と言えば、荷物の宅配サービスの代名詞「クロネコヤマト」。
日本人なら誰もが知っている有名商標です(商標登録第493120号など(*2))。
そして、「ロボ」は「ロボット」。AIを使った未来思考の新サービスを端的に表現する言葉です。
「ロボネコヤマト」は「クロネコヤマト」の「クロ」を「ロボ」に置き換えただけ。
たった2字しか違いません。
「クロネコヤマト」との関連性を強く印象づける名称です。
この名称を見れば、「ロボネコヤマト」⇒「クロネコヤマト」⇒「ヤマト運輸が何か新しいサービスを始めた?!」と即座にイメージすることができますよね。
このように、ヤマト運輸は、言わずと知れた自らの有名商標「クロネコヤマト」を利用し、そこにサービスの特徴を暗示する「ロボ」を組み込むというネーミング手法で「ロボネコヤマト」という名称を創り出したわけです。
「自分の有名商標を利用する」のメリットは、有名商標に蓄積された信用の流用・転用が可能であること
有名な商標には会社、商品、サービスに対する信用が蓄積されています。
その商標が付いていれば、実際に商品やサービスの中身を確認しなくても、「この商品(サービス)は信用しても大丈夫!」という肯定的な感情を創り出すことができます。
このため、「自分の有名商標を利用する」というネーミング手法で創られた名称は、その有名商標に蓄積された信用を流用・転用することができるというメリットがあります。
言ってみれば、有名商標のふんどしで相撲を取れるわけです。
他にも、元となった有名商標との関連性をアピールすることができるので、
● 商品やサービスの出所がわかりやすい
● 覚えやすい
● 新商品・新サービスの名前を迅速に浸透させることができる
というメリットがあります。
まとめ
以上説明したように、既に有名商標を持っているのであれば、その商標に対する信頼性を活用しない手はありません。
例えば、
● 会社の名前が有名なら、その名前を商品にも展開する
● 商品の名前が有名で会社の名前がさほど有名でない場合には商品の名前と会社の名前を一致させる
など、一つの名称を多面的に活用していく工夫を考えてみるとよいでしょう。
おまけ
ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスは、荷物の宅配などについて「ロボネコヤマト」を商標登録しています(*3)。
それだけではなく、まだ登録には至っていないものの、「ロボネコ」「ロボネコデリバリー」「ロボネコストア」という商標についても既に出願を完了しています(4、5、*6)。
「ロボネコデリバリー」はオンデマンドの配送サービス、「ロボネコストア」は買い物の代行サービスです。
今後、「ロボネコヤマト」が有名商標となった時のことを考え、先手を打って商標の戦略を展開しているのです。
参考サイト
(*2)商標公報4939120「クロネコヤマト」(特許情報プラットフォーム)
(*3)商標公報5926354「ロボネコヤマト」(特許情報プラットフォーム)
(*4)商標公開2017-051685「ロボネコ」(特許情報プラットフォーム)
(*5)商標公開2017-051686「ロボネコデリバリー」(特許情報プラットフォーム)
(*6)商標公開2017-051687「ロボネコストア」(特許情報プラットフォーム)
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