事例・白イチゴ「ゆきおとめ」「ホワイトプリンセス」「ミルキーベリー」から学ぶネーミングのコツ|商品の特徴・独自性を入れ込む

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)の代表弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。
 

この記事は、「ネーミング」に関する記事です。

「新商品に名前を付けないといけないのに良い名前が思いつかない…。」
「自分にはセンスがないからネーミングは無理…。」

そんなお悩みをよく聞きます。

でも結論から言ってしまうと、ネーミングにセンスは不要です。

確かにセンスはないよりあった方がよいかもしれません。
でも、殆どの人はそれ以前のところで引っかかっています。

ネーミングには理論(ロジック)があります。
理論に則って考えれば、誰でも良いネーミングはできるのです。

弁理士は商標登録の専門家です。
商標登録の依頼を受ける中で、様々なネーミングについて相談されています。
その弁理士が商標登録の実務の中で蓄積してきた、センスに頼らないネーミングのコツをお伝えします。

事例・白イチゴ「ゆきおとめ」「ホワイトプリンセス」「ミルキーベリー」から学ぶネーミングのコツ|商品の特徴・独自性を入れ込む

先日(2019.1/17)、栃木県が自ら開発した白イチゴの品種について特許庁に商標登録を求めていることがニュースとなりました。

白イチゴ、3種類の商標登録出願 栃木県開発の新品種|毎日新聞

 

名前は「ゆきおとめ」「ホワイトプリンセス」「ミルキーベリー」です。

この3つの名前について、ネーミングのポイントを押さえながら解説していきます。

(1)商品の特徴・独自性を入れ込む

ネーミングのポイント、1つ目は商品の特徴・独自性を入れ込むことです。

特徴や独自性が表現できていないと、他の商品と区別がし難くなるからです。

 

白イチゴの特徴は、本来、赤いはずのイチゴが白いこと。
その色彩に特徴があるわけです。
この「白い」という特徴をいかに表現するかが、ネーミングの出来・不出来を左右するということです。

 

「ゆきおとめ」はイチゴの白い色を「ゆき(雪)」の白さになぞらえています。
「ミルキーベリー」もイチゴの白い色を「ミルク(牛乳)」の白さになぞらえています。
「ゆきおとめ」と「ミルキーベリー」は「白」を比喩的・間接的に表現しているわけです。

一方、「ホワイトプリンセス」は「白」を「ホワイト」と英語に言い換えているにすぎません。
「白」を直接的に表現しているということです。

 

商品の特徴を直接的に表現することがダメだとは言いません。
しかし、ネーミングとしてはひねりがなく、凡庸な印象になりがちです。
「まんまやないかーい!」とツッコミを入れたくなります(笑)

以上のことを踏まえて、「商品の特徴・独自性を入れ込む」について順位を付けるとすると、①「ゆきおとめ」「ミルキーベリー」>②「ホワイトプリンセス」です。

 

ネーミングの意義は商品に良い名前を付け、自分の商品を他社の商品から区別する目印として機能させるためです。
直接的な表現は、単なる商品の説明・普通名称的に捉えられがちで、目印としての機能(識別機能)が弱くなります。
ブランド化に支障を来したり、商標登録を拒絶される理由ともなり得るので注意が必要です。

尤も、この事例では白イチゴに「ホワイト」と名付けたわけではありません。
「ホワイトプリンセス」と命名しています。
「ホワイトプリンセス」全体を見れば、白イチゴを直接的に表現しているとは言えませんよね。
ですので、「ホワイトプリンセス」が直ちにブランド構築が難しい、商標登録の可能性が低いということにはなりません。

(2)何の商品かひと目でわかる

ネーミングのポイント、2つ目は何の商品かひと目でわかることです。

商品名だけを見て何の商品わかる方が名前を覚えてもらいやすいからです。

白イチゴは果物のイチゴです。
商品名を見るだけで、それがイチゴかどうかわかるかが決め手になります。

勿論、「あまおう」のように、名前を見るだけではイチゴとわからない商品名もありますよ。
ですから、この条件は必須というわけではありません。
それでも、「スカイベリー」のように、ひと目でイチゴとわかる方が名前を覚えてもらいやすいのです。

 

「ミルキーベリー」は「イチゴ」を英語に言い換えた「ベリー」という言葉で直接的に表現しています。
「ゆきおとめ」は商品の内容であるイチゴを、栃木が誇るイチゴの品種「とちおとめ」を連想させる「おとめ」で表しています。
「ホワイトプリンセス」にはイチゴを連想させる言葉は入っていません。

(1)でも説明したように、ネーミングとしては直接的な表現より、間接的な表現の方が洗練された印象になります。
ベタな感じがしませんから。
そういう意味では、「ミルキーベリー」の「ベリー」はそのまんま「イチゴ」ですよね。

 

これらを考慮して、「何の商品かひと目でわかるか」について順位をつけるなら、①「ゆきおとめ」>②「ミルキーベリー」>③「ホワイトプリンセス」という順番になるでしょう。

(3)余分な言葉が入っていない

ネーミングのポイント、3つ目は余分な言葉が入っていないことです。

長い商品名は覚えてもらえないからです。
商品名は文字数を少なくし、商品の特徴や内容を端的に示す方が良いのです。

 

それぞれの名称の文字数を見てみると、「ゆきおとめ」は5文字、「ミルキーベリー」は7文字、「ホワイトプリンセス」は9文字。「ホワイトプリンセス」は若干文字数が多めですね。

 

そして、商品の特徴や内容を端的に示すという意味では、「(商品の特徴<白い>)+(商品の種類・内容<イチゴ>)」というパターンのネーミングが良く用いられます。

「ゆきおとめ」は「雪」+「(とち)おとめ」、と「ミルキーベリー」は「ミルク」+「ベリー」で、この条件を満たしています。

一方、「ホワイトプリンセス」は「ホワイト」は「白」ですが、「プリンセス」は何でしょうか?
白イチゴのどんな特徴を示している言葉なのか、今ひとつ不明確ですよね。
これは余分な言葉と言ってよいでしょう。

 

「余分な言葉が入ってない」について採点すると、①「ゆきおとめ」>②「ミルキーベリー」>③「ホワイトプリンセス」の順番になります。

(4)商品の特徴を誤認させない

ネーミングのポイント、4つ目は商品の特徴を誤認させないことです。

これは、ポイント(1)「商品の特徴・独自性を入れ込む」を補足する条件です。
買い手に商品内容を誤解させたり、過度な期待を抱かせると、クレームになりかねないからです。

 

「ホワイトプリンセス」の「ホワイト」は「白い」という特徴そのままを表しています。
「ゆきおとめ」の「雪」を「冷たい」と解釈する人はいないでしょうから、「白」を表現していると言っていいでしょう。

 

でも、「ミルキーベリー」の「ミルキー」はどうですか?

確かに「ミルキー」⇒「ミルク」⇒「白い」という連想も成り立ちますが、「ミルキー」⇒「甘い」という連想もあり得ます。

最近のイチゴは糖度が高く、甘いので、それも一つの特徴なのかもしれません。
しかし、「ミルキー」は「白い」と「甘い」の2つのイメージを持つ多義的な言葉です。
そうすると、一番の特徴である「白い」がボケてしまうことになりかねません。

 

「商品の特徴を誤認させない」について評価するならば、①「ホワイトプリンセス」>②「ゆきおとめ」>③「ミルキーベリー」の順番となります。

(5)ヤマダの評価

以上、ネーミングの4つのポイント

(1)商品の特徴・独自性を入れ込む
(2)何の商品かひと目でわかる
(3)余分な言葉が入っていない
(4)商品の特徴を誤認させない

について、評価してきました。

ヤマダのイチ推しは「ゆきおとめ」です。

栃木県が誇るブランドイチゴ「とちおとめ」の系譜を感じられますし、商品の特徴である「白」を雪になぞらえて端的に表現しています。
文字数も5文字と少ないので覚えやすいですね。

まとめ

ネーミングもなかなか奥が深いです。
でも、セオリーはありますからね。
基本原則を押さえることで、良い名前を付けられるようになりますよ!

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