柔道日本代表「ゴジラジャパン」のネーミングがひどすぎる件|「ゴジラ松井」との決定的な違い

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)所長、弁理士の山田龍也(@ta2_ymd)です。

はじめに

最近、目につくイケてないネーミング…。
そんなネーミングの失敗事例を反面教師にしてネーミングのコツを探ってみようという不定期連載企画「●●のネーミングがひどすぎる件」。

今回の失敗事例は、違和感満載な柔道日本代表の愛称「ゴジラジャパン」です!

柔道日本代表「ゴジラジャパン」のネーミングがひどすぎる件|「ゴジラ松井」との決定的な違い

全日本柔道連盟(全柔連)が柔道日本代表の愛称を「ゴジラジャパン」に決定しました。

 

全柔連は、

● ゴジラの力強さが柔道のイメージと一致すること
● ゴジラが日本を代表する怪獣であること
● 対戦相手を分析するシステムの愛称が「ゴジラ(GOJIRA:Gold Judo Ippon Revolution Accordance)」だったこと

 

等を決定の理由としています。

が、しかし。
この愛称、賛否両論どころか違和感ありまくりなんですよね…(汗)

今日はこの「ゴジラジャパン」のどこがまずかったのか、ネーミングのポイントを押さえながら解説していきます。

(1)ネーミング対象が本来持っているイメージを抽出する

名は体を表すと言います。

ネーミングでも全く同じです。
名前はネーミングの対象である商品やサービス、会社等をシンボリック(象徴的)に表すものでなければいけません。
名前とネーミングの対象が表裏一体、一心同体の関係になる必要があるということです。
さもなければ、その名前は世の中に受け入れられず、浸透していかないからです。

今回の例で言うなら、「ゴジラジャパン」という愛称と柔道日本代表の持つイメージ。
これがきちんとシンクロしているかどうかを考える必要があるわけです。

 

全柔連の言う、「ゴジラは力強さの象徴」というイメージは間違ってはいません。
但し、ゴジラの持つイメージは力強さだけではありません。
その強い力で街を破壊する「破壊」の象徴とも言えるのです。

一方、柔道は対戦相手を叩き潰すスポーツではありません。
礼節を重んじ、相手に対して敬意を払う。
これもまた柔道というスポーツの持っている大事な要素の一つです。
この柔道が持つ「礼節」、「相手を敬う」というイメージと、ゴジラが持つ「破壊」というイメージは明らかにミスマッチです。

また、ゴジラは人間にとって巨大で圧倒的な存在です。
これに対し、日本の柔道のイメージは「柔よく剛を制す」、「小よく大を制す」です。
圧倒的なパワーを持った外国人選手に対し、小兵でパワーに劣る日本人選手がその技術力で対抗していく。
そういう部分に魅力を感じる人にとっては、自らが圧倒的な力を備えているゴジラのイメージはしっくりこないでしょう。

そして、残念ながら近年の日本柔道は、世界の中でゴジラのような圧倒的な強さを誇っているわけではありません。
リオデジャネイロ五輪で獲得した金メダルは男女14階級中でたった3つ。
そんな日本代表の象徴に、唯一無二の絶対的な存在・ゴジラを持ってくると、完全に名前負けしてしまいますよね。

 

ネーミングにおいて大事なのは、単にインパクトのある名前をつけるということではありません。

ネーミング対象が本来持っている特徴や独自性、キャラクター等のイメージを抽出する。
そして、それをシンボリック(象徴的)に表せる言葉を選び出す。

これこそがネーミングで大事なことなのです。

(2)固有名詞はなるべく使わない

固有名詞は地名や人名等、特定の対象を表す言葉です。

ゴジラは固有名詞ですよね。東宝の映画に出てくる架空の怪獣です。
モスラではないし、キングギドラでもないし、ミニラとも違う。
核実験により生み出され、口から放射能を吐き出す恐竜のような巨大生物、あれがゴジラです。

固有名詞は特定の対象と一対一の関係で強固に結びついています。
だから、固有名詞は既にイメージが染み付いている言葉と言えます。
このため、固有名詞を使ってネーミングをすると、固有名詞が持つイメージにネーミング対象のイメージが大きく左右されるのです。

今回のケースで言うと、「ゴジラジャパン」といった瞬間に、

● 柔道を象徴するシンボルにすぎなかったはずのゴジラのイメージが前面に出てきてしまう
● 主役の柔道よりも、シンボルにすぎないはずのゴジラの方が目立ってしまう

ということが起こります。
これでは本末転倒なわけです。

 

代表チームの名称として比較的受け入れられているものとしては、

● 侍ジャパン(野球日本代表)
● SAMURAI BLUE(サッカー日本代表)
● なでしこジャパン(サッカー女子日本代表)

等があります。

これらは全て普通名詞です。
「侍」も「なでしこ」も対象が抽象的で、特定の対象とは結びついていません。
だから、それぞれの人が自分のイメージを膨らませることができる余白がある。
イメージを押し付けられた感じがしない。

これが多くの人に受け入れられる理由だと考えられます。

 

ネーミングにおいては、主役はあくまで名付けられる対象。
名前ではありません。

そうすると、既にイメージが固まっている固有名詞はなるべく使わない方が無難です。

(3)「ゴジラ松井」と「ゴジラジャパン」の決定的な違い

ところで、野球の松井秀喜選手も「ゴジラ松井」という愛称を付けられていましたよね。
こちらはさほど違和感なく受け入れられていた印象があります。

日本人離れした圧倒的なパワーで相手チームの投手を粉砕するイメージ。
物静かで孤高な存在。
若さに不似合いな圧倒的な存在感。
日本で成功して海外にまで進出し、そこでも結果を残した抜群な実績。

 

松井選手の持つこれらのイメージがゴジラのキャラクターにうまくマッチしたということです。

言い換えると、松井選手はゴジラに名前負けしない程の大きな存在になった。
だからこそ、「ゴジラ松井」の愛称は世間に受け入れられ、定着したと言えます。

 

果たして、今の柔道日本代表にゴジラを凌駕する程の力があるかというと…。
かなり疑問ですな(笑)

まとめ

「ゴジラジャパン」を反面教師としてネーミングのポイントを考えるならば、

(1)ネーミング対象が本来持っているイメージを抽出する
(2)固有名詞はなるべく使わず、普通名詞を使う

ということです。

インパクトばかり考えて、目立つ名前を付けても名前負けしてしまいます。

商品やサービスの特徴を深掘りし、他の競合品との差異点を見つけ、それを的確な言葉で表現する。
これがネーミングのコツです。

ぜひ取り組んでみてください!

 

今回のネタ元は以下のニュース記事です。
興味のある方はこちらもご覧くださいね。

参考:柔道 日本代表の愛称は「ゴジラジャパン」|NHK NEWS WEB

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プロフィール

山田 龍也(やまだ たつや)
山田 龍也(やまだ たつや)
ものづくりとブランドづくりの専門家/弁理士/ブロガー。
中小製造業のものづくり、個人事業主のブランドづくりを支援中。
特許・実用新案・意匠・商標の権利取得手続; 知財戦略・商品の差別化戦略の立案; 商品の企画・開発に関するアドバイス; 情報発信を用いたブランディング・マーケティング; が得意。
 

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