登録商標「断捨離」を勝手に使うな騒動から学ぶ商標の基礎知識(1)|商標とは?

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)所長、弁理士の山田龍也(@ta2_ymd)です。

登録商標「断捨離」を勝手に使うな騒動から学ぶ商標の基礎知識(1)|商標とは?

この記事は「商標登録・基本のキ」というカテゴリーの記事です。

商品名やサービス名、お店の名前や会社の名前。
せっかく付けた名前を護り、ビジネスを大きくしていくためのツールが商標権です。

でも、商標権・商標登録の仕組みは一般の方にはなかなか分かりにくい…。

そこで、このカテゴリーではこれから商標登録に取り組もうとする方に、できるだけわかりやすく商標登録の仕組みを解説していきます。

今回から複数回に渡って、やましたひでこさんの登録商標「断捨離」を勝手に使うな騒動を題材に、商標の基礎知識を解説していきます。

今日のテーマは「商標とは何か?」です。

登録商標「断捨離」を勝手に使うな騒動について

やましたひでこさんは、「断捨離」の提唱者として知られています。
そして、「断捨離」について複数の商標登録もしています(商標登録第4787094号同第5412928号同第5582468号同第5909022号第5948115号)。

最近、その「断捨離」を巡って、こんなニュースがありました。

『ナカイの窓』が「断捨離」使用でトラブル、終了にも影響か|NEWSポストセブン

 

中居正広さんが司会を務めていた、日本テレビ系の深夜番組「ナカイの窓」。
その中に「断捨離の窓」という人気コーナーがありました。

このコーナーに関し、やましたさんサイドからクレームが入ったのです。
「『断捨離』は登録商標だから使うな!」ということです。

 

やましたさんサイドからのクレームが入ったのは日テレだけではありません。
例えば、ミニマリスト系YouTuberのMinimalist Takeruさんもその一人。

Takeruさんは動画のタイトル及び内容から「断捨離」という表示の削除等を求められています。

 

更には、シンプルライフを提唱するブロガーのayakoさんにも通知が。
Takeruさんと同様に、ブログから「断捨離」という表示の削除を求められています。

 

今は個人が手軽に情報発信をすることができる時代です。
その中には、シンプルライフについて発信しているブロガーやYoutuberもいます。
彼らのコンテンツの中には「断捨離」という文言が多数登場しているはずです。

そのため、やましたさんの行動にミニマリスト系発信者は戦々恐々としているわけです。

彼らの中にはコンテンツから「断捨離」を削除した人もいれば、やましたさんの行動に反発する人もいます。
しかし、そのどちらにも商標に対する理解不足が垣間見えます。

こういう状況を見て、商標について本当に基礎の基礎からお伝えしていきたいと思いました。
商標を知っている人からすれば、「こんなの当たり前じゃないか!」と思われるかもしれませんが(笑)

ということで、早速、解説を始めます。

「商標」とは、商売をしている人が自分の商品やサービスについて使う文字やマークである

「商標」。

言葉ではよく聞くけれど、意味内容を知らない人も多いと思います。

商標法では、「商標」を以下のように定義しています。

(商標法第2条第1項から抜粋)

・・・「商標」とは、・・・文字、図形・・・であつて、次に掲げるものをいう。

一 業として商品を生産し・・・又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供・・・する者がその役務について使用をするもの・・・

(注)「図形」は「マーク」、「業として」は「事業として」、「役務」は「サービス」と考えて下さい。

 

ざっくり言えば、「商標」は事業(商売)をする人が使うものだ、ということです。
「業として・・・する者が・・・使用をする」とありますからね。

「商標」というのは、「商売のための標識」。
商売をしている人が自分の商品やサービスについて使う文字やマークなんだ。

そう理解しておけばよいです。

逆に言えば、商売をしていない人が使う文字やマークは「商標」ではないということです。

例えば、専業主婦で何の収益も得ていない人が、「今日、断捨離しましたー!」とブログに書いたとしましょう。
でも、その主婦は商売をしていませんよね。
だから、ブログの中の「断捨離」の文字は「商標」ではないのです。

即ち、その主婦はやましたさんの登録商標「断捨離」を使用したことにはならない。
やましたさんの「断捨離」に関する商標権を侵害したことにもならないわけです。

商標は選択物にすぎず、創作的な価値は認められない

「商標」の中には、センスの良い言葉やカッコいいマーク等もありますよね。

しかし、商標法の中では、「商標」は選択物という扱いです。
既に世の中にある文字や図形を拾い集めてきただけのものとして扱われるのです。

言い換えると、「商標」に創作的な価値は認められません。
有名なコピーライターが考えた素敵な言葉でも、新進気鋭のデザイナーが創ったイケてるマークでも同じです。

この点、

● 特許の対象となる発明(技術に関する高度なアイデア)
● 実用新案登録の対象となる考案(技術に関するアイデア)
● 意匠登録の対象となる意匠(製品デザイン)

が創作物として扱われ、それを創ったこと自体に価値を認めてもらえるのとは決定的に異なっています。

 

何故、そんな扱いになっているんでしょうか?

それは、「商標」の価値は「商標」自体というよりも、「商標」の上に乗っかった業務上の信用にあるからです。
業務上の信用は「商標」を商品やサービスとともに使うことによって、商標の上に蓄積されていきます。
作ったばかりで未だ使っていない「商標」には業務上の信用が乗っかっていないのだから、何の価値もないということです。

そして、たとえあなたが独自に作った造語でも、それが選択物にすぎない以上、その造語は誰のものでもありません。
自分のものだと主張するためには、その造語を商標登録出願する必要があるのです。
早い者勝ちですね。
この点には本当に注意する必要があります。

よく、「私が考えた言葉をパクられました(怒)」と相談に来る人がいます。
でも、元々、誰のものでもないんですから、原則、「パクリ」という概念はないんですよ。

「パクリ」と言えるとしたら、その言葉やマークが既に沢山使われていて、相当有名になっている場合です。
例えば、ちょっと前に話題になった「ティラミスヒーロー」のようなケースですね。

ティラミスヒーロー・ロゴパクリ事件に学ぶ、商標の本質・商標登録の意味

 

今回の「断捨離」を勝手に使うな騒動でも、

● 「断捨離」はやましたさんが作った造語ではない
● やましたさんは他人の商標をパクった

と言っている人がいますが、そういうことではありません。

先に説明した通り、「商標」の価値は「商標」の上に乗った業務上の信用にあります。
商標法の枠の中で考える限り、仮にやましたさん以外の人が「断捨離」という商標を作ったとしても、その人が商標「断捨離」をろくに使っていなければ、そこに価値は生じません。

「断捨離」を世の中に認知させ、普及させ、「断捨離」を価値あるものにしたのはやましたさんに他ならないですよね?
そうであれば、その部分は認めてあげた方がよいのではないか。

私はそう考えています。

まとめ

今日のポイントをまとめてみると、以下のとおりです。

(1)「商標」は、商売をしている人が自分の商品やサービスについて使う文字やマークである
(2)有名でない商標にパクリという概念はないと言ってよい
(3)文字やマークを自分のものだと主張するためには、それを商標登録出願する必要がある

 

この騒動には学ぶべき要素が沢山ありますね。
一記事では収まり切らないので、シリーズ化しようと思います!

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プロフィール

山田 龍也(やまだ たつや)
山田 龍也(やまだ たつや)
ものづくりとブランドづくりの専門家/弁理士/ブロガー。
中小製造業のものづくり、個人事業主のブランドづくりを支援中。
特許・実用新案・意匠・商標の権利取得手続; 知財戦略・商品の差別化戦略の立案; 商品の企画・開発に関するアドバイス; 情報発信を用いたブランディング・マーケティング; が得意。
 

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