ネーミングのコツ|商品を買うことで得られる変化をイメージさせる

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)の代表弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。
 

この記事は、「ネーミング」に関する記事です。

「新商品に名前を付けないといけないのに良い名前が思いつかない…。」
「自分にはセンスがないからネーミングは無理…。」

そんなお悩みをよく聞きます。

でも結論から言ってしまうと、ネーミングにセンスは不要です。

確かにセンスはないよりあった方がよいかもしれません。
でも、殆どの人はそれ以前のところで引っかかっています。

ネーミングには理論(ロジック)があります。
理論に則って考えれば、誰でも良いネーミングはできるのです。

弁理士は商標登録の専門家です。
商標登録の依頼を受ける中で、様々なネーミングについて相談されています。
その弁理士が商標登録の実務の中で蓄積してきた、センスに頼らないネーミングのコツをお伝えします。

ネーミングのコツ|商品を買うことで得られる変化をイメージさせる

最近、こんなニュースを見かけました。

 

高級食パン専門店 「明日が楽しみすぎて」
年間約6万本販売の大人気 高級食パン専門店が“最高級チーズ”ד高級食パン”の極上の組み合わせ【ゴロゴロなフロマージュ】を6月12日(金)より販売スタート|PR Times

 

 

この記事は今流行の高級食パン専門店が新商品の販売を開始したことを伝えるものです。

ここで注目して欲しいのが、このお店の店名です。

 

「明日が楽しみすぎて」

 

今回は、この「明日が楽しみすぎて」を題材に、「商品を買うことで得られる変化をイメージさせる」というネーミング手法を紹介します。

 

このネーミング手法のポイントは以下の3つです。

① あえて商品内容を説明しない
② 機能的価値ではなく、情緒的価値を言語化する
③ 買い手が期待している世界観を言語化する
では、個別に説明していきます。

ネーミングのコツ①|あえて商品内容を説明しない

「商品を買うことで得られる変化をイメージさせる」の1つ目のポイントは、

あえて商品内容を説明しない

ことです。

 

日頃、ネーミングや商標登録の相談を受けていると、

「個性がないネーミングだなぁ」
「この名前で本当にお客さんに覚えてもらえる?」

 

と感じることが多いです。

どうしてそうなってしまうのかというと、皆さんが、

「商品名は商品の内容を説明しなければいけない!」

 

と思い込んでいるからです。

 

このような考え方でネーミングをすると、

  • 名前が長くなる
  • ありきたりの名前になる
  • 専門的すぎて、見込客に内容が伝わらない

ということが起こります。

 

具体例を挙げると、

長すぎて覚えてもらえなかった「プレミアム“キャッシュレス”フライデー」

 

 

ありきたりすぎて個性や独自性が出にくい「おいしい牛乳」

 

 

専門的すぎてまるで内容が伝わらない「三陰交をあたためるソックス」
(「まるでこたつソックス」に改名して大ヒット商品となりました)

 

 

等があります。

 

皆さんに覚えておいて欲しいのは、

「商品名は商品の内容を説明しなければいけない!」という呪縛が、個性や独自性がなく、覚えにくい名前を生んでいる

 

ということなんです。

 

これに対し、「明日が楽しみすぎて」。

この店名の中に、パンの話は一切出てきていませんよね!
ここが大事なところです。

ネーミングのコツ②|機能的価値ではなく、情緒的価値を言語化する

「商品を買うことで得られる変化をイメージさせる」の2つ目のポイントは、

機能的価値ではなく、情緒的価値を言語化する

ことです。

 

先程説明したように、商品内容を説明するだけでは、個性や独自性がなく、覚えにくい名前になってしまいます。

では、商品名にはどんな言葉を盛り込めばいいのでしょうか?

 

それは、

商品の「情緒的価値」

 

です。

 

商品の価値には、機能的価値と情緒的価値の2つがあります。

 

「機能的価値」は、例えば、商品の機能や性能、品質、効果等です。
これらは、頭で考えて理解することができる価値ですよね?
買い手の
理性に訴える価値
と言っても良いでしょう。

一方、「情緒的価値」は、例えば、商品を持つことで得られる生活や行動の変化等です。
これらは、感覚的に理解することができる価値。
買い手の感性・感情に訴える価値
と言えます。

 

「明日が楽しみすぎて」は、情緒的価値を店名にうまく取り込んでいます。

「パンが美味しい」という「機能的価値」ではなく、「パンを買うことで、次の朝が楽しみになる」という「情緒的価値」をきちんと言語化し、アピールしていますね。

 

別の見方をすると、

  • 「機能的価値」は、作り手目線で評価した商品の価値
  • 「情緒的価値」は、買い手目線で評価した商品の価値

とも言えます。

今、日本の商品の機能や性能、品質は向上していて、それだけでは他社品と差別化することが難しくなっています。
だから、ネーミングでも買い手の感情を動かすような要素が必要となってきます。

 

「うちの商品はこんなに性能がいいんだぜ!」ではなく、

「うちの商品を使うと、こんな良い思いをできるよ!」という点を訴える

のが大事なんです。

ネーミングのコツ③|買い手が期待している世界観を言語化する

「商品を買うことで得られる変化をイメージさせる」の3つ目のポイントは、

買い手が期待している世界観を言語化する

ことです。

 

「情緒的価値」は、その商品を持つことで得られる世界観と言い換えることもできます。

人が商品を買うのは、それを買うことによって、自分の周りの世界が変わること(変化)を期待しているから。
そうであれば、その変化後の世界をイメージできるような名前にした方が良いわけです。

 

例えば、時短家電の自動洗濯乾燥機を例に考えてみましょう。

自動洗濯乾燥機の「機能的価値」は、

  • 洗濯の時間を短縮できること
  • 放っておいても洗濯が終わっていること
  • 洗濯物をいちいち干さなくても良いこと

等です。

 

これに対し、全自動洗濯乾燥機の「情緒的価値」は、

  • 洗濯に取られていた時間を自分の趣味の時間に使えること
  • 洗濯をしている間も子供と一緒にいられること
  • 働く女性であっても、少し余裕のある生活を送れること

等です。

忙しいワーママさんから見れば、機能そのものではなく、時間的な余裕を得られることに価値を感じるわけです。

ここを言語化していきましょう。

 

「明日が楽しみすぎて」という店名の場合はどうでしょうか?

会社帰りのOLさんが、いつもより少し奮発して高級なパンを買う。
次の日の朝、お気に入りのパンを口にし、心地よい一日のスタートを切れるように。

そんな情景が目に浮かびませんか?

 

「仕事が忙しくて次の日が来るのが憂鬱…」

 

という人は沢山います。

でも、そういう人でも、

「もっと生き生きとした自分でありたい!」

 

思っているはずです。

「明日が楽しみすぎて」は、そのような人たちが期待している世界観を言語化しています。

こうすることで、お客様は「美味しいパン」ではなく、「楽しい明日」を買いに来てくれるわけです。

ネーミングのコツ「商品を買うことで得られる変化をイメージさせる」のメリット

「商品を買うことで得られる変化をイメージさせる」のメリットは以下の3つです。

① 個性や独自性がある名前を作れる
② 買い手の理性ではなく、感情を揺さぶることができる
③ 商品を手にした時の変化、変化した後の世界をイメージすることができる

ネーミングのコツ「商品を買うことで得られる変化をイメージさせる」|まとめ

「商品を買うことで得られる変化をイメージさせる」のまとめです。

このネーミング手法のポイントは以下の3つです。

① あえて商品内容を説明しない
② 機能的価値ではなく、情緒的価値を言語化する
③ 買い手が期待している世界観を言語化する

 

皆さんには、まず①の「あえて商品内容を説明しない」を試してみて欲しいです。

「商品名は商品の内容を説明しなければいけない!」という呪縛を一刻も早く解き放ってください。

これを実践することで、平凡でつまらない商品名しか思いつかないというお悩みが解決できるはずです。

ぜひ、挑戦してみてください!

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この記事を書いた人
山田 龍也(やまだ たつや)

企業の強みを引き出す言語化マイスター
クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)代表弁理士

化学メーカーで研究職を志すも挫折。
特許の世界に活路を見出し、弁理士を目指すが合格までなんと15年!
独立開業は50歳!
中小企業・個人事業主の支援実績多数。
ブログやセミナーで、センス不要のネーミング術「ロジカルネーミング」、ネーミングを起点としたブランディングのヒントを発信中!
スイーツ大好きスイーツ弁理士

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