出版企画書コンペに参加してみた! ~商業出版を実現させるために必要なこと~

目次

はじめに

ヤマダが所属しているコミュニティでは1年に1度、出版企画書のコンペが開催されます。

出版なんて自分には全く縁がない世界です。でも、せっかくの機会だし、出してみるか!ということで、無謀にもコンペに参戦。今回の参加で感じたこと、商業出版を実現させるために必要なこと、についてまとめてみました。

今回のコンペの概要

今回のコンペは一般書・ビジネス書の企画についてのコンペです(専門書は対象外)。

具体的には以下のようなスケジュールで進められました。

● コンサル用の仮企画書を提出(6月11日まで)
● 公開コンサル会(6月13日)
● 本番用の出版企画書を提出(7月11日まで)
● コンペ本番(7月15日)

このコンペは初心者でも企画書を提出することができるよう配慮されていて、参加者が事前に仮企画書を提出すると、出版関係者による公開コンサルを受けることができます。参加者は公開コンサルの内容を受けて仮企画書を修正し、本番用の企画書を作成・提出します。この本番用企画書を出版関係者3名が書類選考(予選)し、15名前後の予選通過者を決定します。予選通過者には、コンペ当日に90秒のプレゼンタイムが与えられます。

コンペ当日には約10名の出版関係者が審査員として参加します。審査員は予選通過者の企画書とプレゼンの内容を審査し、本にしたい企画があれば、「◯(興味あり)」の札を挙げます。懐かしのオーディション番組「スター誕生」形式で企画の採否が決まるというわけです。

出版企画書の書き方

出版企画書の書き方はコンペによっても異なると思いますが、今回のコンペでは以下のような項目を記載しました。

● 書籍タイトル
● 著者名(肩書も含む)
● 企画概要
● 著者プロフィール
● 読者ターゲット
● 構成案・具体的内容(目次形式、箇条書き形式など書式は自由)
● 類書
● 過去の出版経験

用紙はA4縦置きで1枚。各項目には厳格に行数が規定されています。さほどスペースはありません。ポイントを絞って書かないと、すぐに字数がオーバーしてしまいます。

企画書というと、企画概要や構成案に目が行きがちです。しかし、重要なのは著者プロフィールだそうです。どんなバックグラウンド・実績を持っているのか、その本の内容を語るにふさわしい人物なのか、についてはかなり精査されるとのこと。ヤマダの場合であれば、単に「弁理士」と書いただけでは、1万人いる弁理士のうちの1人という存在にすぎないわけで、何か別の要素(プラスα)が必要となるわけです。

出版のプロ・編集者は企画書のココを見ている

予選通過者と審査員の質疑応答の様子を観察していると、出版のプロである編集者が企画書のどこを見ているのかがわかります。ヤマダは、以下の点が重視されているという印象を持ちました。

実績・数字

実績や数字は確実に見られていますね。

例えば、ダイエットの企画の場合、自分が成果を出したというだけでは不十分で、他にどのくらいの人が成果を出しているか、弟子が何人いるのか、セミナーには何人が聴きにきたのか等を確認されていました。

事例が抽象的な表現に留まっていると、その辺りも突っ込まれますね。そのノウハウの効果を数値により具体的に説明することができないと、編集者が納得しないということです。

その手法の独自性

その手法に独自性があるかどうか、これも見られています。

例えば、ビジネスのメソッドを紹介する企画では、類書の手法との差別化ポイントを聴かれます。二匹目のドジョウ的なものでは、企画を通し難いですね。オリジナルのメソッドであることが求められるわけです。

その手法を一般化することができるか

その手法を一般化することができるかという点も見られています。

一部の人、狭い範囲にしか適用することができないノウハウでは、一般書・ビジネス書として売上を期待することはできません。そのようなノウハウでは一般書・ビジネス書の企画にはなり難いということです。

果たしてヤマダの企画書の出来栄えは?

コンペでは49名の応募者のうち、予選通過者の17名、さらに敗者復活枠として5名、合計22名が決勝に進出し、審査員の前でプレゼンを行いました。そのうち、15名の方の企画が採用されました。既に出版経験がある方も複数名いらっしゃって、かなりレベルが高かったようです。

ヤマダはというと、あえなく予選敗退と思いきや、サプライズで敗者復活! プレゼンの時間を頂けたものの、企画採用までには至りませんでした。それでも、初参加で、審査員の前でプレゼンを行うことができたから、良しとしましょう(笑)

プレゼンの質疑応答やコンペ終了後の懇親会で、編集者の方からヤマダの企画について色々なコメントを頂きました。ここで紹介しておきます。

●「タイトルのみでは読者のバリューが分かり難い」
●「×××(この企画のモチーフ)を知らない人には伝わり難いのではないか」
●「×××(この企画のモチーフ)は、ちょっと旬を外してしまった感がある」
●「企画としては面白いし、個人的には応援したい。でもこの本を読む人がどの程度いるのか、この本のターゲット層はそもそも本を読む人なのか、という点がクリアできない」
●「弁理士はそもそも知られていないんだから、もっとストレートに弁理士がどういう風に世の中の人に役立つかを書いた方が良いんじゃないの?」

こういうコメントを貰うことが大事なんですよね。自分ではわかりませんから。

初陣の稚拙な企画書ではありましたが、面白がってくれる方、懇切丁寧にコンサルをしてくださる方もいらっしゃって、ありがたかったです。

まとめ

商業出版を実現させるために必要なこと。それは出版社の収益を確保することができる企画であること、なんでしょうね。

出版社もビジネスで出版をやっている以上、利益を出さないといけません。書籍は初版が出ただけでは利益にならず、重版がかかって漸く利益が出るという話を聞いたことがあります。それが正しいとすると、重版がかかるような企画でなければ、商業出版は難しいということですね。

士業の中でも弁理士の出版は極端に少ないそうです。知財という狭い分野に留まらず、一般の方にも広く使ってもらえるような、斬新なメソッドなり、思考法なりを紹介するものでないと、ちと難しいかもしれません…。とは言え、企画書を書くというのは非常に面白い作業です。また機会があればコンペにトライしてみたいと思っています。

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