事例・とんかつ屋「とんかつは飲み物。」から学ぶネーミングのコツ|意外性やギャップでインパクトを出す

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)の代表弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。
 

この記事は、「ネーミング」に関する記事です。

「新商品に名前を付けないといけないのに良い名前が思いつかない…。」
「自分にはセンスがないからネーミングは無理…。」

そんなお悩みをよく聞きます。

でも結論から言ってしまうと、ネーミングにセンスは不要です。

確かにセンスはないよりあった方がよいかもしれません。
でも、殆どの人はそれ以前のところで引っかかっています。

ネーミングには理論(ロジック)があります。
理論に則って考えれば、誰でも良いネーミングはできるのです。

弁理士は商標登録の専門家です。
商標登録の依頼を受ける中で、様々なネーミングについて相談されています。
その弁理士が商標登録の実務の中で蓄積してきた、センスに頼らないネーミングのコツをお伝えします。

事例・とんかつ屋「とんかつは飲み物。」から学ぶネーミングのコツ|意外性やギャップでインパクトを出す

「とんかつは飲み物。」は今年の7月にオープンした池袋のとんかつ店です(*1)。

ネーミングテク「意外性やギャップでインパクトを出す」

とんかつはあくまで食べ物であって、飲み物ではありません。
日本語的には明らかに誤りです。

でも、この「とんかつは飲み物。」というフレーズには相当のインパクトがあります。
ネットメディアでもかなり話題となりました。
そして、「とんかつが飲み物?」という意外性が人々の興味を惹き、たくさんのお客さんをお店に呼び込むこととなったのです。

 

この「とんかつは飲み物。」というフレーズは、故・ウガンダ・トラさんの「カレーライスは飲み物」という名言(迷言?)が元になっています。

ウガンダさんはグッチ裕三さんやモト冬樹さんと一緒に、コミックバンド・ビジーフォーで活躍していた巨漢の大食い・早食いキャラです。
「カレーなんて食べ物のうちに入らないよ。あんなものは飲み物だよ。」ということなんでしょうね(笑)

 

実はこのお店の系列店には既に「カレーは飲み物。」がありました。
「とんかつは飲み物。」は「カレーは飲み物。」の流れを汲んでのネーミングなのです。

「とんかつは飲み物。」だけを見ると、無理筋・やり過ぎな感じもします。
でも、ウガンダさんの「カレーライスは飲み物」や系列店の「カレーは飲み物。」を知っている人達からすると、「カレーならまだしも、『とんかつは飲み物。』はさすがに言いすぎだろ!」と笑ってツッコめるレベルに収まっているとも言えます。

通常の概念からのギャップ・意外性がある。
でも、無理筋・やり過ぎまでは至っていない。
そんな絶妙なラインをついているところが、このネーミングの秀逸なところなのです。

メリットはギャップや意外性が作るインパクトで他店の差別化を図れること

通常、「とんかつは…」と来たら、その次に続くワードは、「サクサク」、「ジューシー」、「軟らか」、「厚切り」といったところでしょう。

これらのワードは「とんかつ」という商品が持っている魅力を直接的に表すワードです。
わかりやすいし、イメージが湧きやすい。
ネーミングの手法としてはこういうワードを持ってくることの方が王道なのかもしれません。

その反面、普通といえば普通です。
定石通りで驚きがありません。
これらのワードではインパクトが弱く、他のお店との差別化が難しいのです。

このため、「とんかつは飲み物。」は、あえて商品「とんかつ」とは直接結びつかないようなワード「飲み物」を持ってきて、意外性やギャップを作り出したわけです。

このワードを選んだことにより、インパクトと面白さを兼ね備えた店名となりました。

まとめ

ギャップや意外性を使う手法では、商品とそれに組み合わせるワードの距離感が命です。

商品との距離を離した方がギャップを大きくすることができる一方で、商品との距離があまりに遠くなってしまうと「何だそりゃ?」となって、スベってしまう危険もあります。

「食べ物」を「飲み物」に、「カレーは飲み物。」を「とんかつは飲み物。」に。
「とんかつは飲み物。」は、少しずつワードをズラしてギャップを作ったことが絶妙な距離感を生んだと言えます。

参考サイト

(*1)とんかつ専門「とんかつは飲み物。」

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