「東京ミッドタウン日比谷」のネーミングがひどすぎる件|利用者の目線を意識しろ!

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)の代表弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。
 

この記事は、「ネーミング」に関する記事です。

「新商品に名前を付けないといけないのに良い名前が思いつかない…。」
「自分にはセンスがないからネーミングは無理…。」

そんなお悩みをよく聞きます。

でも結論から言ってしまうと、ネーミングにセンスは不要です。

確かにセンスはないよりあった方がよいかもしれません。
でも、殆どの人はそれ以前のところで引っかかっています。

ネーミングには理論(ロジック)があります。
理論に則って考えれば、誰でも良いネーミングはできるのです。

弁理士は商標登録の専門家です。
商標登録の依頼を受ける中で、様々なネーミングについて相談されています。
その弁理士が商標登録の実務の中で蓄積してきた、センスに頼らないネーミングのコツをお伝えします。

「東京ミッドタウン日比谷」のネーミングがひどすぎる件|利用者の目線を意識しろ!

「東京ミッドタウン日比谷」は、三井不動産が開発し、運営する複合商業施設です(*1)。

地上35階、地下4階からなる大型施設で、下層階には60店の商業テナントとシネコン「TOHOシネマズ日比谷」が入り、上層階はオフィスフロアとなっています(*2)。

”東京都千代田区有楽町一丁目1-2”

 

「東京ミッドタウン日比谷」については、開業早々、「わかりにくい」「紛らわしい」「ややこしい」と、非難の声が殺到しています。

既に赤坂に「東京ミッドタウン」がありますからね。

”東京都港区赤坂9丁目7−1”

 

この点について、運営者サイドは、

「東京ミッドタウン」ブランドは、共通の街づくりビジョンで、”経年優化の街づくり”を実践します。また、大切にする提供価値(バリュー)を街ごとに定めることで、個性を活かした街づくりを行います。

と言っています(*3)。

「東京ミッドタウン」を一つのブランド名として捉えているわけです。

 

確かに、「ブランド名+地名」というネーミング方法はあります。

例えば、「東京ミッドタウン」の運営者である三井不動産が展開している別の商業施設「三井アウトレットパーク」では、全ての店舗名を「三井アウトレットパーク 幕張」のように「ブランド名+地名」という名称で統一しています。

 

しかし、「東京ミッドタウン」の場合は、これとはちょっと事情が異なります。

利用者の感覚としては、「赤坂にある、あの大型商業施設」=「東京ミッドタウン」であり、「東京ミッドタウン」をブランド名とは捉えていないからです。

「東京ミッドタウン」を「東京スカイツリー」や「六本木ヒルズ」のように、その立地と紐付いた固有名詞として捉えているのです。
だから、赤坂以外の場所に「東京ミッドタウン」ができたら困るんですよね。

「俺、朝一で『東京スカイツリーお台場』のお客さんのところに行ってくるわ!」とか、「俺は『六本木ヒルズ代官山』の新店舗の様子を見に行ってくる!」なんてことになったら、紛らわしいことこの上ないじゃないですか(笑)

 

このように、「東京ミッドタウン日比谷」は、ネーミングの色々な部分で失敗をしています。
では、「東京ミッドタウン日比谷」の失敗から、正しいネーミングのコツを考えてみましょう。

(1)利用者の目線を意識する

「東京ミッドタウン日比谷」の1つ目の失敗は、利用者の目線をないがしろにしたことです。

利用者には既に「東京ミッドタウン」が認知され、赤坂という立地に紐付いた固有名詞として捉えられています。

それにも拘らず、「『東京ミッドタウン』はブランド名です。
ブランド名と地名を組み合わせた名称に何か問題でも?」と言わんばかりに、運営者サイドの都合を押し付けてしまいました。

そのため、

● 「東京ミッドタウン」と紛らわしく、わかりにくい
● 「東京ミッドタウン」の二番煎じ感があり、インパクトに欠ける

という問題が生じているわけです。

 

良いブランド名の条件は、

● 覚えやすさ・わかりやすさ
● インパクト
● 商品やサービスの内容・特徴が伝わる

の3つです。

これらは全て利用者の目線を考慮した条件です。
自分たちの思いだけではなく、利用者サイドからその名称がどう捉えられるのかを検討することが大事なのです。

ネーミングにあたっては、まず利用者の目線を意識するということが大事です。

(2)将来的なブランド展開を考慮する

「東京ミッドタウン日比谷」の2つ目の失敗は、将来的なブランド展開を考えていなかったことです。

「東京ミッドタウン」という名称をブランド化したいのであれば、将来的に2号店、3号店ができた時のことを考慮して、1号店の名称を作るべきでした。

仮に、赤坂の「東京ミッドタウン」を「東京ミッドタウン赤坂」としておけば、利用者は「赤坂以外にも『東京ミッドタウン』ができるのかな?」という予測が働きますから、今回ほどの混乱は招かなかったでしょう。

まぁ、これもあまりセンスのある名称ではありませんが(笑)

 

ブランド名を考える際には、将来的なブランド展開も頭に入れて、名称を考えることが大事なのです。

● 1号店で蓄積した信用を2号店、3号店でも利用できるようにする
● その一方で、2号店、3号店では、1号店とは異なる特徴を打ち出せるようにする

という工夫が必要です。

大きなブランドを作っておいて、そこに小さなブランドをぶら下げた名称を作っていくのも一つの方法です。

 

三井不動産は「東京ミッドタウン」「三井アウトレットパーク」以外に、「ララ」という名称を使った商業施設を多数運営しています。

例えば、「ららぽーと」「ララガーデン」「ららテラス」等です。

このようなネーミングをすると、既存店舗との関連性をイメージさせることができ、既存店舗で培った信用を新店舗に利用することができます。

また、後に続く言葉によって、店舗ごとの特徴を出すこともできるわけです。

(3)長い名称はどう省略されるかを考慮する

「東京ミッドタウン日比谷」の3つ目の失敗は、その名称がどう省略されるかについて配慮していなかったことです。

「東京ミッドタウン日比谷」のような長い名称は、そのまま呼ぶのはまどろっこしいため、省略した名称で呼ばれることが殆どです。
最近の人はすぐに省略しますからね(笑)

「東京ミッドタウン日比谷」の場合であれば、「東京ミッドタウン」「ミッドタウン」「ミッドタウン日比谷」等と省略して呼ばれるのではないでしょうか?

しかし、「東京ミッドタウン」「ミッドタウン」では、赤坂の「東京ミッドタウン」と区別がつかず、利用者を混乱させてしまいます。
一方、「ミッドタウン日比谷」だと、本来、ブランド化したい「東京ミッドタウン」を活かせていません。

 

ブランド名はできる限り短くすることをお勧めします。
その方が覚えやすいですからね。

それを理解した上で、やっぱり長い名称を付けたいという場合には、利用者がどう省略して呼ぶかまで考慮することが必要となってきます。

まとめ

「東京ミッドタウン日比谷」のような大型施設であれば、ネーミングに広告代理店やコピーライターが絡んでいそうなものですが、残念な名称になってしまいました。

何か大人の事情でもあったんでしょうか(苦笑)

皆さんは、

● 利用者の目線
● 将来的なブランド展開
● 名称省略の可能性

を考慮して、良いブランド名を考えてくださいね!

参考サイト

(*1)東京ミッドタウン日比谷について|東京ミッドタウン日比谷

(*2)施設概要|東京ミッドタウンについて|東京ミッドタウン

(*3)東京ミッドタウンブランドについて|東京ミッドタウン

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