事例・最中「モーなか」から学ぶネーミングのコツ|誰でも知ってる「あの音感」を拝借する

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)の代表弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。
 

この記事は、「ネーミング」に関する記事です。

「新商品に名前を付けないといけないのに良い名前が思いつかない…。」
「自分にはセンスがないからネーミングは無理…。」

そんなお悩みをよく聞きます。

でも結論から言ってしまうと、ネーミングにセンスは不要です。

確かにセンスはないよりあった方がよいかもしれません。
でも、殆どの人はそれ以前のところで引っかかっています。

ネーミングには理論(ロジック)があります。
理論に則って考えれば、誰でも良いネーミングはできるのです。

弁理士は商標登録の専門家です。
商標登録の依頼を受ける中で、様々なネーミングについて相談されています。
その弁理士が商標登録の実務の中で蓄積してきた、センスに頼らないネーミングのコツをお伝えします。

事例・最中「モーなか」から学ぶネーミングのコツ|誰でも知ってる「あの音感」を拝借する

「モーなか」は北海道常呂郡佐呂間町の和菓子店・大月菓子店が販売している最中です(*1)。

 

▲ 箱を開けるとこんな感じ。牛の形をしています。

 

牛の形をした皮の中に、北海道産の小豆を使ったつぶあんと求肥(ぎゅうひ)が入っています。
つぶあんはしっかりとした甘みでコクがあります。
皮が普通の最中よりしっとりしています。
パサパサしないので食べやすいですね。

 

「モーなか」は、北海道のお土産新作コンクールでネーミング賞を取っています。

「最中に『モーなか』ってどうなのよ?(笑)」と思う方もいるかもしれません。
しかし、このネーミングは結構、考えられています。

(1)どんなお菓子かすぐわかる

その商品がどんなお菓子か、一発でわかりますよね。

「もなか」の「も」と「な」の間に長音符を1つ噛ましただけ。
中身は最中以外ないじゃないですか(笑)

最近、シャレた商品名を付ける人が増えてきました。
しかし、あまりにシャレた名前を付けてしまうと、その中身が一体何なのかわかりにくくなります。

例えば、「萩の月」。

今では有名なお菓子ですから、誰でも知っています。
でも、発売当初のまだ認知度が低い段階では、名前だけではどんなお菓子か分からなかったはずです。
いちいち説明しないと、中身をわかってもらえない。

その点、「モーなか」は説明不要の優等生です。

(2)商品の特徴もすぐわかる

商品の特徴もわかりやすいですよね。

商品は、牛の形をした「最中」。
牛の鳴き声は「モー」。
「最中」と「モー」を組み合わせて、「モーなか」。

わかり易すぎる(笑)

(3)誰でも知ってる「あの音感」を使っている

「モーなか」って、どこかで聞いたことある音に似ていませんか?

そう。「モー娘。」(もーむす)。
「モーニング娘」の「モー娘。」です。

作った人がここまで意図していたかどうかはわかりませんけどね。
ただ、こういう耳馴染みのある音感にしておくと、お客さんに商品名を覚えてもらえます。
口コミも発生し易くなるはずです。

誰もが知ってるあの音感、聞き覚えのあるあの音感を拝借する。
イメージをダブらせる。

これは覚えておきたいネーミングテクニックです。

おまけ・「モーなか」のネーミングの惜しいところ

「モーなか」は、お土産新作コンクールでネーミング賞を取っただけあって、非常にいいネーミングです。

これだけ、商品の普通名詞である「もなか」に近い音だと、商標登録もハードルが上がるんですが、しっかり商標登録も取れてますしね(*2)。

ただ、ちょっと惜しいなと思う部分もあります。
もう1つ2つ、捻ると更に良い名前になるからです。

(1)原材料

惜しかった点の1つ目。

原材料です。

「モーなか」の包装紙には、「牧場のまち佐呂間」「さろま牧場」の文字、のデザインがプリントされています。
そして、最中の皮はの形をしていて、商品名にもの鳴き声「モー」が入っています。

「当然、原材料にも牛乳を使ってるんだよね?」と思うじゃないですか。
でも、原材料表記を見る限り、牛乳が入ってない!

「うーん。なぜ、角を取らない…」(by 児玉清)

実に勿体ない。
地元特産の牛乳を使った名産品を作れる可能性があったのに、単に「牛の形をした最中」になってしまいました…。

(2)まる

惜しかった点の2つ目。

「まる」です。

ここは「モーなか」でしょう。
「まる」を1つ入れるだけで、「モー娘。」を強くイメージさせることができます。
シャレが効いてきて、商品を手に取った人がニヤニヤしてくれると思うんだけどなぁ。

ここはちょっと残念…。

まとめ

「モーなか」の分析、いかがでしたか?

ちょっと惜しい部分もありましたが、なかなか良いネーミングです。

 

皆さんもネーミングをする際には、

● 商品の種類がわかるような名前にする
● 商品の特徴・アピールポイント・固有の魅力がわかる名前にする
● いつかどこかで聴いたことがある、あの音感を拝借した名前にする

という点を意識して、センスの良い商品名を考えてみてくださいね!

参考サイト

(*1)御菓子司 大月

(*2)登録5420243号公報|特許情報プラットフォーム(J-Platpat)

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