商標審査に新たに導入されるファストトラック審査。早期審査との違いは何か

クロスリンク特許事務所(銀座・東銀座・新橋)・弁理士のヤマダです。

はじめに

特許庁が商標審査に導入すると発表した「ファストトラック審査」は商標の審査結果を通知するまでの期間を短縮する制度です。

この「ファストトラック審査」の内容と、従来から行われている「早期審査」との違いを説明します。

ファストトラック審査の内容

ファストトラック審査は、商標の審査結果を通知するまでの期間を通常審査より2カ月程度短縮する審査運用です。

現在、通常審査だと審査結果を通知するまで平均で8カ月程度かかりますが、ファストトラック審査の対象となると平均6ヶ月程度で審査結果が通知されます。

ファストトラック審査を利用するための条件

ファストトラック審査を利用するためには、以下の2つの条件を満たすことが必要です。

(1)商標を出願する際に「類似商品・役務審査基準」等に掲載された商品・役務のみを指定すること

商標を出願する際には願書に商標登録を受けたい商標とともに、その商標を使用したい商品・役務を指定します。

ファストトラック審査を利用するためには、特許庁が定めた基準等に掲載された商品・役務のみを指定しなければなりません。

特許庁が定めた基準等としては、

① 類似商品・役務審査基準
② 商標法施行規則
③ 商品・サービス国際分類表(ニース分類)

の3つがあります。

(2)審査に着手する時点までに、指定商品・指定役務の補正を行っていないこと

前記(1)の条件を満たしていても、特許庁が審査に着手するまでの間に、指定した商品や役務について補充・訂正・削除等を行ってしまうと、ファストトラック審査を利用することができません。

ファストトラック審査を利用するための手続

ファストトラック審査を利用するために特別な手続きは不要です。

即ち、通常通り、商標の出願手続きを行えばよいです。その出願の内容が前記の2つの条件を満たす場合には、自動的にファストトラック審査の対象となります。

ファストトラック審査と早期審査の違い

従来から存在する早期審査もファストトラック審査と同様に、商標の審査結果が通知されるまでの期間を通常審査より短縮する制度です。

この2つの制度の違いを説明します。

(1)審査結果通知までの期間

ファストトラック審査においては、通常審査で8ヶ月程度かかる審査結果通知までの期間を平均6ヶ月程度に短縮することを予定しています。

一方、早期審査は、審査結果通知までの期間が平均1.8ヶ月です(平成29年度実績)。

即ち、審査結果通知までの期間という点では早期審査に軍配が上がります。

早期審査を利用した場合、ファストトラック審査を利用した場合よりも平均で4ヶ月程度、審査結果が早く通知されるということです。

(2)制度を利用するための条件

ファストトラック審査では、

● 商標を出願する際に「類似商品・役務審査基準」等に掲載された商品・役務のみを指定すること

という条件が課されています。

早期審査では、この条件に加えて、

● 出願人が、出願商標を指定商品・指定役務に既に使用しているか、使用の準備を相当程度進めていること

という条件が加重されます。

即ち、制度を利用するための条件という点ではファストトラック審査に軍配が上がります。早期審査の方が利用条件が厳しいということです。

(3)制度を利用するための手続

前記(2)の条件を満たす出願は自動的にファストトラック審査の対象となります。ファストトラック審査を利用する際に、特別な書面を提出する必要はないということです。

一方、早期審査を利用する場合には、「早期審査に関する事情説明書」を提出する必要があります。

即ち、制度を利用するための手続という点ではファストトラック審査に軍配が上がります。早期審査よりもファストトラック審査の方が手続きが簡単なのです。

(4)手数料

早期審査もファストトラック審査も審査料は通常審査と変わりません。

どちらの制度を利用する場合も特別な手数料を追加して納付する必要はないということです。

ファストトラック審査を利用する際の注意点

ファストトラック審査も早期審査も、商標の審査結果が通知されるまでの時間を短縮することができるというメリットがあります。

しかし、いずれの制度も商品・役務(サービス)の指定方法に縛りが出てくる点には注意が必要です。

例えば、比較的新しい商品や役務の場合、基準等に自分が指定したい商品・役務が記載されているとは限りません。また、商品・役務について具体的な記載をしたいと思っても、基準等に対応する商品・役務がないというケースもあるでしょう。

私見ですが、審査結果が通知されるまでの期間をたかだか数ヶ月早めるために、これらの制度を利用することはオススメしません。それよりも、事業内容を踏まえ、それを反映した商品・役務をしっかり記載することの方が大事だと考えています。

まとめ

特許庁が商標審査に導入すると発表した「ファストトラック審査」。

特段の手続きをしなくても、通常審査より2ヶ月程、審査結果が早く通知されるという利点がある一方で、商品・役務(サービス)の指定方法に縛りが出てくるという点には注意が必要です。

この制度を利用するか否かについては、担当弁理士さんとじっくり相談することをオススメします。

参考サイト

ファストトラック審査に関する特許庁の資料を挙げておきます。

(*1)ファストトラック審査について|特許庁

(*2)ファストトラック審査|特許庁

(*3)ファストトラック審査に関するQ&A|特許庁

オススメの記事

商標の制度、模倣品対策に関する過去記事はこちら。

 

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プロフィール

山田 龍也(やまだ たつや)
山田 龍也(やまだ たつや)
ものづくりとブランドづくりの専門家/弁理士/ブロガー。
中小製造業のものづくり、個人事業主のブランドづくりを支援中。
特許・実用新案・意匠・商標の権利取得手続; 知財戦略・商品の差別化戦略の立案; 商品の企画・開発に関するアドバイス; 情報発信を用いたブランディング・マーケティング; が得意。