事例・靴下「まるでこたつソックス」から学ぶネーミングのコツ|売上を17倍にしたネーミングの秘訣とは?

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)の代表弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。
 

この記事は、「ネーミング」に関する記事です。

「新商品に名前を付けないといけないのに良い名前が思いつかない…。」
「自分にはセンスがないからネーミングは無理…。」

そんなお悩みをよく聞きます。

でも結論から言ってしまうと、ネーミングにセンスは不要です。

確かにセンスはないよりあった方がよいかもしれません。
でも、殆どの人はそれ以前のところで引っかかっています。

ネーミングには理論(ロジック)があります。
理論に則って考えれば、誰でも良いネーミングはできるのです。

弁理士は商標登録の専門家です。
商標登録の依頼を受ける中で、様々なネーミングについて相談されています。
その弁理士が商標登録の実務の中で蓄積してきた、センスに頼らないネーミングのコツをお伝えします。

事例・靴下「まるでこたつソックス」から学ぶネーミングのコツ|売上を17倍にしたネーミングの秘訣とは?

寒い冬を乗り切るための必需品・防寒グッズ。

中でも、冷え性に悩む人の絶大なる支持を受けているのが「まるでこたつソックス」です。

 

参考:「まるでこたつソックス」が、ネーミングを裏切らない想像以上の暖かさ!|LEE

 

ちょっと変わったこの商品名。
ネーミングのポイントを押さえながら解説していきます。

(1)ユーザーメリットを比喩的に表現する

このネーミングのポイントは、何と言っても「まるでこたつ」の部分です。

こたつと言えば、冷えた足を入れて温める家電です。
外から帰ってきて、着替えるのもそこそこにこたつの中に足を突っ込む。
こたつの温かさが、感覚がなくなる程、冷え切っていた足を徐々にほぐしていく。
足が温まると、今度はその熱が身体全体をポカポカさせてくれる。
日本人なら、こんな経験を持っている人は少なくないでしょう。

こたつを使う家庭は以前より減っているのかもしれません。
それでも、「こたつにみかん」は、伝統的な日本の冬を象徴する光景。
誰もが、「こたつ」=「温かいもの」というイメージが刻み込まれているわけです。

 

靴下の温かさを表現したいなら、「ポカポカ」、「あったか」等でもよさそうです。

でも、これだと直接的・説明的すぎるんですよね。
どこの会社でも、その程度の名前は思いつきます。
商品名に独自性を出しにくい。

だから、「まるでこたつ」という比喩的な表現を持ってきたわけです。
「こたつ」という言葉で、温かさを端的に表現する。
そうすることで、「こたつみたいに温かいのか!それなら買ってみよう」という人が出てくるのです。

(2)商品の技術や機能は見込客に響きにくい

この商品は、東レ、東洋紡、岡本の3社で共同開発した特殊な保温・発熱生地を使用し、独自の編み方をすることによって、今までにない温かさを実現した商品です。

参考:鼻セレブやカレーメシも、「改名後」にヒットした商品たち/改名効果で売り上げ17倍! 「まるでこたつソックス」|DIAMOND online

 

でも、商品自体は良いはずなのに、最初は全く売れませんでした。
その一つの原因が商品名のネーミングにあったのです。

元々の商品名は「三陰交をあたためるソックス」。

三陰交は冷えに効くツボです。
でも、「三陰交」と言われても、一般の人には分かりにくいんですよね。

パッケージを見ても、「特殊温熱繊維+パイル編み」、「明治国際医療大学共同開発」、「特許出願中」の文字が並び、優れた技術であることをアピールする戦略をとっていました。
ユーザーメリットは「足の冷え対策に!」という、何ともありきたりな一文だけ。

これは製造業にありがちな失敗です。
自分達の商品の技術性ばかりに目が行って、ユーザーを置いてけぼりにしてしまうんですよね。
見込客にとっての第一の関心事は、その商品が自分にどんな恩恵を与えてくれるかです。
その商品がいかに優れた技術を採用しているかではありません。

だから、まず第一に見込客が関心を持っているメリットを訴えたというのが、「まるでこたつソックス」の勝因です。
実際、商品名変更後の年間売上は発売当初の17倍以上となりました。

商品名を変えたことで商品に関心を持つ人が増え、そこで初めて商品の良さが伝わったのです。

(3)シリーズ展開して、他の商品も買ってもらう

この「まるでこたつソックス」。
岡本の展開する「靴下サプリ」というシリーズの一角を占める商品です。

この「靴下サプリ」というシリーズ名も秀逸なネーミングです。
「靴下」をサプリメント(栄養補助食品)になぞらえて、靴下を履くことが健康促進につながることをアピールしているわけです。
これもまた、ユーザーメリットを訴求するネーミングと言えるでしょう。

 

因みに、「靴下サプリ」には、「まるでこたつレッグウォーマー」、「まるでこたつ足首ウォーマー」等の「まるでこたつシリーズ」の他、「うずまいて血行を促すソックス」、「ふくらはぎ押し上げサポーター」等の関連商品が含まれています。

これらを「靴下アプリ」シリーズに含めることで、「まるでこたつソックス」を気に入ったユーザーが別の商品に対する関心を持つ、購入してくれるという波及効果も望めるというわけです。

まとめ

商品名の変更で売上が17倍!

こういう話を聞くと、ネーミングに取り組んでみたくなりませんか?

でも、間違えないで欲しいのは、良い名前を付けたら商品が売れるというわけではないことです。
商品自体が素晴らしい商品であること。
これが大前提です。

今回の「まるでこたつソックス」も素材や編み方を突き詰めた素晴らしい商品でした。

良い商品なのにその良さが伝わらない。

この問題を解決する一つの方法がネーミングだという点は忘れないようにしてくださいね!

 

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