ネーミングのコツ|自虐で同情を誘った銚子電鉄「まずい棒」

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)の代表弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。
 

この記事は、「ネーミング」に関する記事です。

「新商品に名前を付けないといけないのに良い名前が思いつかない…。」
「自分にはセンスがないからネーミングは無理…。」

そんなお悩みをよく聞きます。

でも結論から言ってしまうと、ネーミングにセンスは不要です。

確かにセンスはないよりあった方がよいかもしれません。
でも、殆どの人はそれ以前のところで引っかかっています。

ネーミングには理論(ロジック)があります。
理論に則って考えれば、誰でも良いネーミングはできるのです。

弁理士は商標登録の専門家です。
商標登録の依頼を受ける中で、様々なネーミングについて相談されています。
その弁理士が商標登録の実務の中で蓄積してきた、センスに頼らないネーミングのコツをお伝えします。

ネーミングのコツ|自虐で同情を誘った銚子電鉄「まずい棒」|本日のポイント

千葉県銚子市の私鉄・銚子電気鉄道(銚子電鉄)が「まずい棒」というスナック菓子を販売しています。

 

銚子電鉄の「まずい棒」、 自虐と同情を引力に|日経ビジネス

 

今日は、この「まずい棒」が題材です。

「まずい棒」から学びたいネーミングのコツは以下の3つです。

人気商品を連想させる
自虐で同情を誘う
商品の背景を丁寧に説明する
では、「まずい棒」からネーミングのコツを学んでいきましょう!

ネーミングのコツ①|人気商品を連想させる

ネーミングのコツ、1つ目は

人気商品を連想させる

ことです。

 

「まずい棒」。

言うまでもなく、あの人気商品「うまい棒」を意識したネーミングです。

ただ、「うまい棒」に似せた名前にして便乗商法をしようという意図は全く感じられません。
「うまい棒」の真逆の「まずい棒」ですからね(笑)

人気商品の「うまい棒」を連想させつつ、独自のポジションを取っている

のが面白いところです。

ネーミングのコツ②|自虐で同情を誘う

ネーミングのコツ、2つ目は

自虐で同情を誘っている

ことです。

普通、食品の商品名に「まずい」という文字は入れません。
食品にとって「まずい(不味い)」はネガティブな言葉だからです。
それをあえて入れている。

これが、「まずい棒」のネーミングの特徴です。

でも、実はこの「まずい」。
「お菓子が不味い」という意味ではなかったのです。

パッケージを見ると、「マズいです!経営状況が…」と書いてあります。

「お菓子が不味い」と「経営状況がまずい」をかけた、ダブルミーニング(二つの解釈が可能)となっている

わけです。

「なんだ。そっちの『まずい』か!」と、思わずニンマリさせてくれる名称です。

 

そして、「経営がまずい」をおおっぴらに宣言してしまうのもユニークな点です。

いわゆる「自虐ネタ」ですね。
これは、一見、恥ずかしいことのようにも思えます。
しかし、これが武器となる場合もあるのです。

 

実際、この「まずい棒」。

銚子の片田舎で販売されたにもかかわらず、商品を求める人が殺到。
発売から1日で用意していた1万5千本が完売!
半年間の販売本数は60万本を超えたそうです。

「自虐」は、自分の弱い部分をさらけ出すことです。

「自虐」は、

● 同じように弱い立場にいる人の共感を得られる
●「助けてあげたい」という気持ちに繋がる

といった効果があるのです。

「まずい棒」の場合、自虐で同情を誘う作戦がまんまと功を奏したわけです。

ネーミングのコツ③|商品の背景を丁寧に説明する

ネーミングのコツ、3つ目は、

商品の背景を丁寧に説明する

ことです。

それが、「頑張ってほしい」、「助けてあげたい」という思いに繋がり、

商品を手に取ってくれる人が増える

からです。

 

この「まずい棒」の「経営がまずい」に関しては、かなり入念な背景説明が行われています。

鉄道事業は年間1億円の赤字。
保有する車両は製造から50年以上も経った年代物。

そんな状況を公式サイトで丁寧に説明していく。

銚子電鉄は以前にも、「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」というキャッチコピーとともに、「ぬれ煎餅」をヒット商品に押し上げています。

 

決してお涙頂戴ではなく、沿線住民のために鉄道を残したいという銚子電鉄の強い意思。
それが商品に込められているわけです。

商品提供側の思いやストーリーを丁寧に伝えていく

こと。

これが商品の販売促進に繋がっていくのです。

ネーミングのコツ|自虐で同情を誘った銚子電鉄「まずい棒」|まとめ

「まずい棒」から学びたいネーミングのコツは、

人気商品を連想させる
自虐で同情を誘う
商品の背景を丁寧に説明する
でした。

 

今回はちょっとテクニカルなネーミングです。
このやり方をそのまま取り入れるのは難しいかもしれません。

それでも、③ 商品の背景を丁寧に説明するは比較的、汎用性が高い手法です。

ネーミングは商品名だけで完結するものではありません。
様々な媒体を組み合わせることで、その効果を発揮するんです。

ぜひ取り組んでみてください!

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