事例・銚子電鉄「まずい棒」から学ぶネーミングのコツ|自虐で同情を誘う

クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)所長、中小企業専門の弁理士・山田龍也(@ta2_ymd)です。

はじめに

商品名やサービス名、お店の名前や会社の名前。
実際の事例からネーミングのコツを探ってみようという不定期連載企画「事例から学ぶネーミングのコツ」。

今回の事例は、銚子電鉄の「まずい棒」です!

事例・銚子電鉄「まずい棒」から学ぶネーミングのコツ|自虐で同情を誘う

千葉県銚子市の私鉄・銚子電気鉄道(銚子電鉄)が「まずい棒」というスナック菓子を販売しています。

 

今日は、この「まずい棒」について、ネーミングのポイントを押さえながら解説していきます。

(1)人気商品を連想させる

第1のポイントは、人気商品を連想させている点です。

「まずい棒」。言うまでもなく、あの人気商品「うまい棒」を意識したネーミングです。

ただ、「うまい棒」に似せた名前にして便乗商法をしようという意図は全く感じられません。
「うまい棒」の真逆の「まずい棒」ですからね(笑)

人気商品の「うまい棒」を連想させつつ、独自のポジションを取っているのが面白いところです。

(2)自虐で同情を誘う

第2のポイントは、自虐で同情を誘っている点です。

普通、食品の商品名に「まずい」という文字は入れません。
食品にとって「まずい(不味い)」はネガティブな言葉だからです。
それをあえて入れている。
これが、「まずい棒」のネーミングの特徴です。

 

でも、実はこの「まずい」。
「お菓子が不味い」という意味ではなかったのです。

パッケージを見ると、「マズいです!経営状況が…」と書いてあります。
「お菓子が不味い」と「経営状況がまずい」をかけた、ダブルミーニング(二つの解釈が可能)となっているわけです。

「なんだ。そっちの『まずい』か!」と、思わずニンマリさせてくれる名称です。

 

そして、「経営がまずい」をおおっぴらに宣言してしまうのもユニークな点です。

いわゆる「自虐ネタ」ですね。
これは、一見、恥ずかしいことのようにも思えます。
しかし、これが武器となる場合もあるのです。

「自虐」は、自分の弱い部分をさらけ出すことです。
それが同じように弱い立場にいる人の共感を得たり、「助けてあげたい」という気持ちに繋がったりするわけです。

実際、この「まずい棒」。
銚子の片田舎で販売されたにもかかわらず、商品を求める人が殺到。
発売から1日で用意していた1万5千本が完売!
半年間の販売本数は60万本を超えたそうです。

自虐で同情を誘う作戦が功を奏したわけです。

(3)商品の背景を丁寧に説明する

第3のポイントは、商品の背景を丁寧に説明している点です。

この「まずい棒」に関しては、かなり入念な背景説明が行われています。

鉄道事業は年間1億円の赤字。
保有する車両は製造から50年以上も経った年代物。

そんな状況を公式サイトで丁寧に説明していく。
それが、「頑張ってほしい」、「助けてあげたい」という思いに繋がり、商品を手に取ってくれる人が増えるわけです。

銚子電鉄は以前にも、「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」というキャッチコピーとともに、「ぬれ煎餅」をヒット商品に押し上げています。

 

決してお涙頂戴ではなく、沿線住民のために鉄道を残したいという銚子電鉄の強い意思。
これを丁寧に伝えていくことが、商品の販売にも繋がっていくのです。

まとめ

今回の「まずい棒」のネーミングのポイントは、

(1)人気商品を連想させる
(2)自虐で同情を誘う
(3)商品の背景を丁寧に説明する

でした。

ちょっとテクニカルなネーミングです。
このやり方をそのまま取り入れるのは難しいかもしれません。

それでも、(3)商品の背景を丁寧に説明する、等は比較的、汎用性が高い手法です。
ぜひ取り組んでみてください!

 

今回のネタ元は以下のニュース記事です。
興味のある方はこちらもご覧くださいね。

参考:銚子電鉄の「まずい棒」、 自虐と同情を引力に|日経ビジネス

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プロフィール

山田 龍也(やまだ たつや)
山田 龍也(やまだ たつや)
ものづくりとブランドづくりの専門家/弁理士/ブロガー。
中小製造業のものづくり、個人事業主のブランドづくりを支援中。
特許・実用新案・意匠・商標の権利取得手続; 知財戦略・商品の差別化戦略の立案; 商品の企画・開発に関するアドバイス; 情報発信を用いたブランディング・マーケティング; が得意。

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