差別化戦略の類型・そのメリットと事例(戦略①:ターゲットで差別化)

目次

はじめに

先日、下記の記事で、私が成功事例を分析して類型化した、ヤマダ式「7つの差別化戦略」を紹介しました。

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今日は、この「7つの差別化戦略」の中から「戦略①:ターゲットで差別化」のメリットと事例を紹介したいと思います。

「戦略①:ターゲットで差別化」の意義

「ターゲットで差別化」は7つの戦略の中でも最も重要な戦略です。

差別化戦略のキモは「特定のターゲット(見込み客)に『刺さる』商品を作る」ということです。ですから、ターゲットの絞り込みなくして、差別化戦略の成功はないのです。

「ターゲットで差別化」は、

● 「ターゲット」を狭い範囲に絞り込む
● 「ターゲット」を変える、ずらす

ことにより、

● 狭い「ターゲット」だけが持っているニッチな要望をあぶり出し、そのニッチな要望を満たす独自の商品を作ることで商品を差別化する
● 既存の商品とは「ターゲット」を変え(ずらし)、新たな顧客を開拓するとともに、その「ターゲット」にマッチする商品を作ることで商品を差別化する

戦略です。

「ターゲットで差別化」によれば、潜在的な顧客を掘り起こすことができるというメリットがあります。今までは商品を買ってくれなかった人が商品を手に取ってくれるようになるのです。

【事例1】「小顔にみえマスク」(ユニ・チャーム)

商品名「小顔にみえマスク」
キャッチフレーズ「わたしたち、マスクは小顔で選びます!」

引用元:http://www.d-unicharm.jp/item/641.html

最初の事例はユニ・チャームの「小顔にみえマスク」です。

本来、マスクは老若男女、幅広い層に使われるものです。しかし、「小顔にみえマスク」はターゲットを若い女性に絞り込みました。こうすることで初めて、若い女性に固有の悩み(マスクを着けると、顔が大きく見えてしまう)を抽出することができるわけです。

そして、この悩みを解決するために、マスクの下端側をラウンドフォルム(円弧状)にし、アゴから耳のラインに沿う形にするという工夫を施しました。このような形状であれば、マスクを着けた時に顔の輪郭からマスクがはみ出しにくいので、マスクを着けても小顔に見えますよね。

「小顔にみえマスク」はマスクを敬遠していた女性にも受け入れられて、新たな顧客の掘り起こしに成功しています。

【事例2】「らくらくスマートフォン」(NTT docomo)

商品名「らくらくスマートフォン」
キャッチフレーズ「家族や仲間ともっとつながる」

引用元:https://www.nttdocomo.co.jp/product/easy_phone/

2番目の事例はNTT docomoの「らくらくスマートフォン」です。

スマートフォンと言えば、そのユーザーは若者やビジネスパーソンというのが常識でした。その常識を覆してお年寄り向けに開発されたのが「らくらくスマートフォン」です。若者やビジネスパーソンからお年寄りにターゲットを変えたわけです。

ただし、お年寄りは操作が難しかったり、画面が見にくいと使ってくれません。そのため、通常のスマートフォンより機能をシンプルにし、画面の表示も大きくする等の工夫をしています。

「らくらくスマートフォン」は今までは顧客でなかったお年寄りを顧客とし、スマートフォンの市場を拡大することに成功しています。

【事例③】「Wii」(任天堂)

商品名「Wii」(任天堂)
キャッチフレーズ「Wiiのある新しい生活」

引用元:https://www.nintendo.co.jp/wii/

3番目の事例は任天堂の「Wii」です。

ゲームと言えば、そのユーザーは子供、若者、ゲームオタクというのが常識でした。そんな中、任天堂がゲーム人口の拡大を狙って開発したのが「Wii」です。お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんにもゲームを楽しんで貰いたい。任天堂はターゲットを子供、若者、オタクの人だけでなく、ファミリー層に広げることがゲーム人口の拡大に繋がると睨んだわけです。

しかし、従来のゲームは操作が難しく、ゲームマニアのためのものでした。そこで、「Wii」では、小さなボタンがたくさんついた操作が難しいゲームコントローラーを廃止し、直感的に操作することができる「Wiiリモコン」を採用しました。「Wiiリモコン」を使えば、体の動きとゲーム画面の動きがシンクロするので、おじいちゃんやおばあちゃんでも簡単に操作をすることができますよね。

家族みんなで楽しめるゲーム。新しいコンセプトのゲーム機「Wii」はたくさんの家庭に受け入れられ、ファミリー層をゲーム市場に取り込むことに成功したのです。

まとめ

「ターゲットで差別化」は差別化のキモとなる戦略です。他の差別化戦略を採用する場合でも「ターゲットで差別化」は外すことができません。

「ターゲットで差別化」は独自性のある商品を作ったり、新たな顧客を開拓するためには不可欠な戦略なのです。

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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