クロスリンク特許事務所(銀座・東銀座・新橋)のヤマダです。
はじめに
弁理士仲間の知念芳文先生が新サービスをリリースしました。弁理士・弁護士が作成した知的財産契約書のテンプレート集を無料で公開するという太っ腹なサービスです!
今日はその新サービスの内容を紹介します。
ビジネスにおける契約の重要性
ビジネスには多くの人が関わります。認識の違いからトラブルが発生することも少なくありません。そんなトラブルを未然に防止し、万が一、トラブルが発生してしまったとしても早期に解決してくれるツールが契約です。
ビジネス相手と契約書を取り交わすことで、互いが合意した内容が明確化されます。契約書を確認することでトラブルの発生を未然に防止することができるわけです。また、万が一、トラブルが発生してしまった場合でも契約書は法的な証拠資料となるので、トラブルを早期に解決するために役立ちます。
知的財産契約の特殊性
特許・商標などの知的財産を活用していくシーンでは知的財産に関する契約(知的財産契約)を結ぶ必要が出てきます。一口に知的財産契約と言ってもその契約の種類は様々です。例えば、実施権(ライセンス)設定契約、秘密保持契約、共同研究・共同開発契約、共同出願契約…。多種多様な契約があり、契約の内容によって注意すべき事項も異なります。
また、知的財産契約においては知的財産分野の特有の用語が使われます。弁護士は法律のスペシャリストで、契約書の作成業務も得意です。しかし、知的財産の分野は専門性が高く、しかもニッチな分野なので、あまり詳しくない方も多いようです。実際、私のところにも知的財産に関する契約書の内容を確認して欲しいと依頼してきた方がいらっしゃいました。通常の契約書作成業務に精通している弁護士であっても一筋縄ではいかないのが知的財産契約なのです。一方、弁理士の場合、知的財産の分野には明るいのですが、契約書作成業務に長けた方はそう多くないはずです。
ビジネスの場面では特許権や商標権を取得する出願手続きよりもむしろ多いと言える契約手続き。しかし、知的財産契約に関する契約手続きのスペシャリストは意外に少ないのです。
メリットパートナーズ法律事務所がリリースしたサービスの内容
メリットパートナーズ法律事務所は、2017年(平成29年)9月13日、知的財産専門の契約書テンプレート集をリリースしました(*1)。そのサービスの内容をまとめてみます。
(1)知的財産専門の弁護士が作成した契約書の雛形を無料で閲覧することができる
知念先生をはじめ、知的財産に精通した弁護士が作成した契約書の雛形を無料で閲覧することができます。
契約書の雛形には弁護士の経験やノウハウがふんだんなく盛り込まれています。通常なら、秘中の秘。弁護士の利益の源泉になる部分であり、なかなかお目にかかれるものではありません。それを無料で閲覧することができるのです。必要であれば、word形式のデータをダウンロードして使用することも可能です。
(2)雛形の種類が豊富で各種契約書に対応している
雛形は権利の種類ごとに整理されています。主な権利は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権など。各権利について、10-20程度の雛形があり、内容が豊富です。そして、契約の種類も、実施権(ライセンス)設定契約、権利譲渡契約、共同出願契約など各種契約についてカバーされています。
また、知的財産契約には不可欠な、秘密保持や共同開発、研究開発委託に関する契約書の雛形も用意されています。
(3)英文契約書の雛形も用意されている
各契約書の雛形には日本語の雛形だけでなく、英文の雛形も用意されています。国際的なビジネスを展開する企業にとっては英文契約書が必須。ありがたいサービスですね。
まとめ
このサービス、メリットパートナーズ法律事務所のwebサイトから利用者登録を行うことができます(*2)。私も早速登録し、契約書の雛形を眺めて勉強しています。
本来、企業や事業主向けにリリースされたサービスですが、知的財産業務の経験が少ない弁護士、契約業務に詳しくない弁理士にとっても嬉しいサービスだと思います。
参考サイト
(*1)日本初、法律事務所による知的財産専門契約書テンプレート集の無料公開(メリットパートナーズ法律事務所 ニュースリリース)
(*2)利用者情報入力フォーム(メリットパートナーズ法律事務所)
こちらから利用者登録を行うことができます。