クロスリンク特許事務所(銀座・東銀座・新橋)のヤマダです。
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はじめに
JXTGエネルギーがガソリンスタンドのブランドを「ENEOS」に統一することを発表しました(*1)。これにより長年親しまれてきた「ESSO」「Mobile」「ゼネラル」の3ブランドの消滅が決まりました。
今日は企業合併・経営統合によるブランド統一について解説します。
JXTGエネルギーとは
JXTGエネルギーはJXTGホールディングスの傘下にある日本最大の石油元売会社です。
あまり耳慣れない会社名ですが、あの日本石油(日石)の流れを汲む会社です。日本石油は企業合併や経営統合を繰り返しながらその規模を拡大してきました。下の図で簡単にその系譜を説明すると、
● 日本石油と三菱石油の合併により日石三菱が誕生
● 日石三菱が新日本石油に社名変更
● 新日本石油と新日鉱ホールディングスの経営統合によりJXホールディングスが誕生
● JXホールディングス傘下のJXエネルギーが東燃ゼネラル石油を吸収合併してJXTGエネルギーが誕生。JXホールディングスはJXTGホールディングスに社名変更
と言った具合です。
企業合併・経営統合とブランドの関係
企業が合併したり、経営を統合すると、合併・統合前の会社が使っていたブランドの扱いが問題となります。
合併・統合前の複数のブランドをそのまま使い続ければ、合併・統合前のブランドイメージがそのまま保たれます。以前からのファンも違和感なく商品を購入したり、サービスを利用したりすることができます。
しかし、通常はブランドを一本化することが多いようです。ブランドを一本化することにより、ブランドイメージを一つに集中させることができ、合理化を図ることもできます。元々、経営の合理化を目指して、合併なり統合をするわけですから、ブランドも一本化する方が理にかなっているのです。
ブランドを一本化する方法。新ブランドの立ち上げとブランドの統廃合
ブランドを一本化する方法としては、全く新しいブランドを立ち上げて、それに統一する方法と、合併・統合前の会社が使っていた複数のブランドの中から一つを選択し、そのブランドに統一する方法があります。
日本石油と三菱石油が合併した際には、合併の3年後に全く新しいブランドを立ち上げる方法が採られました。それが「ENEOS」ブランドです。逆に、今回のJXエネルギーと東燃ゼネラル石油の合併では、合併・統合前の会社が使っていた複数のブランドの中から一つを選択する方法が採られました。具体的には、東燃ゼネラル石油の保有していた「ESSO」「Mobile」「ゼネラル」の3ブランドが廃止され、JXエネルギーの保有していた「ENEOS」にブランドが統一されたのです。
(ロゴマーク引用元:http://www.noe.jxtg-group.co.jp/company/about/gaiyou/brand.html)
「ENEOS」ブランドの保有会社は合併・統合の度に、合併相手のブランドを飲み込み、廃止に追いやってきました。2008年には九州石油の「STORK」、2010年にはジャパンエナジーの「JOMO」、そして今回、2017年には東燃ゼネラル石油の「Esso」、「Mobile」、「ゼネラル」。他のブランドの生き血を吸って?成長してきたブランドとも言えそうです。
まとめ
今回の経営統合・ブランド統廃合で「ENEOS」のブランド価値は高まり、JXTGは国際競争力をもった企業として成長していくことが期待されます。ブランドの成長はそのまま企業の信用力の向上に繋がるのです。
しかし、その裏には老舗ブランドの廃止があります。特に「Esso」、「Mobile」は、オイルメジャー、セブン・シスターズとも称されたエクソン・モービルのブランドです。私が子供の頃はガソリンスタンドでよく見かけたんですけどね。ちょっと寂しい感じもします。
参考サイト
(*1)SSブランドの「ENEOS」への統一について(JXTGエネルギー ニュースリリース)