YouTubeピアニスト・にとまいこさんに学ぶファン化マーケティング|情報発信、コミュニティ形成、顧客リスト獲得でビジネスは上手くいく

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)所長、弁理士の山田龍也(@sweetsbenrishi)です。

目次

はじめに

演奏家として稼いでいくのは、そう簡単ではありません。
それにも拘らず、Youtube ピアニストの にとまいこさんは他のピアニストとは違うユニークな手法で、一見敷居が高そうなクラシックコンサートをいつも満席にしています。

今日は、にとさんが駆使する「ファン化マーケティング」の手法を紹介します。
音楽業界だけでなく、一般のビジネスにもそのまま使える手法ですよ!

YouTubeピアニスト・にとまいこさんに学ぶファン化マーケティング|情報発信、コミュニティ形成、顧客リスト獲得でビジネスは上手くいく

にとまいこさんは東京音楽大学ピアノ演奏家コースを首席で卒業した、優秀なピアニストです(*1)。

にとさんが他のピアニストとちょっと違うのはYouTubeを駆使していること。
「クラシックを身近に」を合言葉に、自宅で演奏する様子をスマホで撮影し、YouTubeにUPして動画配信しています。

YouTubeチャンネル「ピアニストにとまいこ」は、登録者数 2万1千人、総再生回数 800万回のメガメディアとなっています(*2)。

昨日(2018年3月17日)、にとさんは「クラシックコンサートが満席?! コアなファンができるヒミツ」というタイトルでご自分のビジネス体験を話してくれました。

▲ セミナーに登壇中の にとまいこさん

にとさんが駆使しているのは「ファン化マーケティング」という手法です。
潜在的な見込み客を集め、その見込み客をファンに育て(ファン化)、更にはリピーターに成長させるやり方です。

にとさんはコンサート会場に足を運んでもらうために、いろいろな取組みをしています。
その中で、ヤマダは以下の3つのプロセスが大事であると理解しました。

(1)情報発信

まず、最初の段階は、情報を発信し、まだ面識のない潜在的な見込み客に自分を見つけてもらうことです。

インターネットで情報を発信すれば、web検索で見つけてもらえるからです。
見込み客にとって有用な情報(コンテンツ)を発信し、興味・関心を持ってもらう、好きになってもらう。
そうすれば、将来的に自分の商品やサービスを買ってもらえる可能性が出てきます。
いわゆるコンテンツマーケティングですね。

にとさんの武器はYouTubeチャンネル「ピアニストにとまいこ」にUPされた、220本の演奏動画です。
コンサート会場での演奏をYouTubeにUPするピアニストはいても、にとさんのように自宅での演奏風景をYouTubeにUPするピアニストはあまり見かけません。

このような簡易な手法であれば沢山の動画をUPすることができます。
大きなコンサートの動画だけをUPするよりも、自分を見つけてもらえる可能性は格段に高まるわけです。
実際、一日あたりのチャンネル再生回数は13,000回。
沢山の人がにとさんの動画に辿り着き、再生していることがわかります。

楽曲のジャンルもクラシックに限られず、J-Popやゲーム音楽など、幅広いジャンルの楽曲がUPされていて、様々な属性の人にリーチできるように工夫されています。

因みに、現在の人気楽曲ベストスリーは以下の3曲です。

● 第1位 スーパーマリオブラザーズ <再生回数 137万回>(*3)

● 第2位 ひまわりの約束(ドラえもん主題歌) <再生回数 73万回>(*4)

● 第3位 戦場のメリークリスマス <再生回数 58万回>(*5)

YoutubeはGoogleの傘下に入って以降、Googleに次ぐ検索サイトとも言われています。
にとさんのことを知らなくても、web検索から曲名を頼りに、にとさんのチャンネルに流入してくる人がいるわけです。
にとさんの演奏動画を視て、気に入ってくれれば、将来的にコンサート会場に足を運んでくれる顧客となる可能性が出てきますよね?

にとさんは音楽を扱うビジネスのため、YouTube(動画)で情報発信をしています。
他のビジネスであれば、ブログ(文字、画像)で情報を発信し、そこを起点にコンテンツマーケティングを展開するやり方の方が取り組みやすいかもしれません。

(2)コミュニティ形成

次のステップは、自分を知ってくれた人をコミュニティに誘導することです。

情報発信で見込み客が集まっても、情報を見て満足し、そのまま離脱されてしまっては何の意味もありません。
その人に情報を発信し続けられる環境を作り、継続的に接点を持つことで自分の商品やサービスを買ってもらえる可能性が更に高まるのです。

にとさんは、週に一度、YouTubeライブで演奏を生配信することでファンとのコミュニティを形成しています。
演奏動画をUPし、配信するスタイルが一方的な情報発信であるのに対し、YouTubeライブにはリアルタイムでコメントのやり取りをできる双方向性があります。
にとさんがファンのコメントに反応したり、ファン同士がコメントをやり取りすることで、にとまいこファンのコミュニティが形成されていくわけです。

コミュニティが心地良いものであれば、毎週、YouTubeライブを視にくるファンが増えてきます。
接触頻度が高くなれば、親近感が増しますから、「次はコンサートを観に行こう」という人も出てくるでしょうね。

コミュニティには、通りすがりの動画視聴者を真のファンに育てていく機能があるのです。

(3)顧客リスト獲得

最後のステップは、顧客リストの獲得です。

誰かがYouTubeの動画を視にきても、その人が誰かはわかりません。
こちらからその人に直接コンタクトする手段もありません。
何らかの形でその人に直接連絡するための情報を取りたいですよね。
そうすれば、後の営業にも役立ちますから。

にとさんは演奏動画を視にきてくれた人にメールマガジン(メルマガ)の登録を促しているそうです。
メルマガに登録してもらえれば、その人のメールアドレスがわかります。
即ち、メールアドレスという顧客情報のリストを獲得することができ、その人に対して直接アプローチすることができるようになるわけです。

メルマガはYoutubeやブログと違って、インターネット上に公開されていないクローズドのメディアです。
登録してくれた人(ファン or その予備軍)だけに配信するメディアなので、濃い情報を発信することができるのです。

SNSやブログのような交流を主目的とするメディアで、頻繁にコンサートの告知をすると、売り込み色が強くなり、見込み客が離れていってしまうおそれがあります。

一方、メルマガのように自分から登録してくれた人は、かなりファン度が高い人。
こういう濃いファンの人にコンサートの告知をすれば、嫌がられることはないし、コンサートに来てくれる可能性も高いですよね。
効率的な営業ができるわけです。

また、ブログやSNSはそこに見に来た人にしか情報を届けることができません。
でも、メルマガは自分から相手に情報を届けることができます。
継続的に情報を発信することができるので、一度、コンサート会場へ足を運んだ人に再度、来場してもらう(リピーターになってもらう)ためにも有効な方法と言えます。

メルマガ登録により顧客リストを取るというやり方は、一般のビジネスでもよく行われている方法ですね。

まとめ

こうして、にとさんの取り組みを眺めてみると、一般のビジネスでも有効と言われている手法を採用し、それを愚直に実行していることがわかります。
ただ、こういう取り組みをしているピアニストはまだまだ少ない。
だからこそ、ピアニストの中で圧倒的な存在になれるわけですね。

同じように、そうした手法があまり行われていない業界なら、他の人よりいち早く取り組むことで、その業界の中では圧倒的な存在になれるかもしれませんよ。

ぜひ試してみてください!

おまけ

にとさんは動画配信に関する合宿セミナーで知り合って以来のお友達です。

ヤマダも、にとさんの動画やLive配信を視て、2回程、コンサート会場に足を運びましたから、彼女の術中にまんまとハマっているということですね(笑)

クラシックの演奏もいいですが、ミッションインポッシブル(6)やトルコ行進曲のジャズアレンジ(7)なども面白いですよ。

ぜひ聴いてみてください!

参考記事

(*1)プロフィール|ピアニストにとまいこ オフィシャルサイト

(*2)ピアニストにとまいこ|YouTube

(*3)スーパーマリオブラザーズ クラシックのプロピアニストが弾いてみたらこうなった!Super Mario piano!|YouTube

(*4)ドラえもん 主題歌 ひまわりの約束 ピアニストが弾いてみた!|YouTube

(*5)戦場のメリークリスマス ピアニストが弾いてみた!|YouTube

(*6)ミッションインポッシブルをクラシックピア二ストが弾いてみた!|YouTube

(*7)トルコ行進曲ジャズアレンジを弾いてみた!|YouTube

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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