はじめに
今週の話題は、
● 任天堂vsマリカー
● ライオン「トップ ハレタ!」
● ファミマの色商標
● JR西日本・車椅子用乗降装置
● 高級コードレス掃除機
● 「とんぐばし」
● シリコン耳かき「耳かきスト」
などです!
知財ニュースを弁理士が解説!(2018年10月第1週)
知的財産やものづくり、ブランドづくりに関するニュースの中からヤマダが独断と偏見でチョイスしたニュースをざっくり解説する「知財ニュースを弁理士が解説!」。
● 技術<特許・実用新案>、デザイン<意匠>、著作物、商品企画等、ものづくりに関するニュース
● ブランド<商標>、不正競争等;ブランドづくりに関するニュース
● その他の気になったニュース
をまとめています。今週も行ってみましょう!
(1)大事なのは争いを避けること|ブランドづくり、商標・不正競争
大事なのは争いを避けること。
たとえ法律的にクロでなくても、争いになればビジネスに悪影響を及ぼします。世間からの共感も得られません。
法律的な境界ギリギリを攻めるのではなく、緩衝地帯を設けておくのが大事です。https://t.co/LxlkgKK4mL#知財 #知的財産 #不正競争 #弁理士 #マリカー— ローテク弁理士®ヤマダ(たまにスイーツ弁理士) (@sweetsbenrishi) September 28, 2018
商標登録をする理由の一つは「争いを避ける」ということです。
ブランドについて独占権を持っている、それを世の中に示すことで、第三者はそのブランドを無断で使用する行為(侵害行為)をし難くなります。侵害行為の抑止力として機能するということです。
しかし、商標登録された「ブランド」がその会社の独自のものとは言い難く、他の会社を連想させるような紛らわしいものだったらどうでしょうか? その商標登録が争いの元となってしまうことだってあるのです。
今回のケースでは、マリカー側(MARIモビリティ開発)は、乗物・自動車の貸与について商標「マリカー」を登録していました。しかし、裁判所はマリカー側の行為が不正競争行為であるとして、任天堂キャラクターのコスチュームを貸与すること等を禁止し、損害賠償金を支払うよう命じています。
中小企業の場合、このようなトラブルは会社にとって致命的なダメージとなりかねません。大事なのは、商標登録をできるか否か、商標権の侵害に該当するか否かだけではなく、「如何に争いを生じさせないか」なのです。
(2)対症療法ではなく、原因療法の商品を作る|ものづくり、商品企画
対症療法ではなく、原因療法の商品を作る。
洗濯物をふんわり仕上げるために、柔軟剤を使うのではなく、洗濯物がごわつく原因を解明し、そこを直接叩く。
外干しと部屋干しの違いをつぶさに観察したのが功を奏しています。https://t.co/8LlJasFN4m#ものづくり #弁理士 #トップハレタ #ライオン— ローテク弁理士®ヤマダ(たまにスイーツ弁理士) (@sweetsbenrishi) September 29, 2018
病気の対応策には、個々の症状を抑える対症療法と、病気の原因を叩いて根治を目指す原因療法があります。ものづくりで言えば、悪臭対策として、芳香剤を使うのは対症療法、悪臭の原因物質を分解するのが原因療法です。
対症療法はその場しのぎになりやすく、根本的な解決策とはなりません。「問題が生じているそもそもの原因は何か?」と考えることで、新しい商品のアイデアが浮かんでくるのです。
(3)企業イメージを色で表す|ブランドづくり、商標
企業イメージを色で表す。
セブンイレブンに続き、#ファミリーマート も #色商標 の登録に成功しました。
正直、色商標の登録はハードルが高いです。
でも、企業のイメージカラーは企業の認知度を上げ、顧客に覚えてもらえる効果があります。https://t.co/G118QjpPzt#商標 #ブランド #弁理士— ローテク弁理士®ヤマダ(たまにスイーツ弁理士) (@sweetsbenrishi) September 30, 2018
お店の名前を覚えていなくても、お店の独特のカラーリングは覚えている。そんな事はありませんか?
文字よりも色の方が印象に残りやすく、覚えやすいのです。銀行だったら、赤は三菱UFJ、青はみずほ、緑と黄緑のツートンなら三井住友。赤い靴底(レッドソール)なら、クリスチャン・ルブタン。このように印象に残りやすい色をブランドづくりにも活かせれば強力な武器となります。
色商標の登録、特に単色の色商標の登録は簡単ではありません。それでも、イメージカラーを作ることは、会社や商品の認知度を上げるのに効果的です。このような取り組みは「ブランドづくり」という観点から意義深いことと言えます。
(4)アイデアを提案できればビジネスが広がる|ものづくり、新規事業
アイデアを提案できればビジネスが広がる
大企業も一社単独で開発するより、その分野が得意な #中小企業 と組んだ方がスピーディーに開発を進められると考えています。
社内のアイデアや技術を棚卸しし、提案できそうなネタを物色しておきましょう。https://t.co/SxnH2xiOBq#ものづくり #弁理士— ローテク弁理士®ヤマダ(たまにスイーツ弁理士) (@sweetsbenrishi) October 1, 2018
自前主義を見直す企業が増えています。
現代では、一つの商品を開発するにも多様な素材、多様な技術が求められます。全てを自前で開発するのは難しいのです。他にそれを得意とする企業があるなら、そこに任せる。その方が自分は得意なところに専念できるわけですから。
このような分業が盛んになってくると、「お宅の会社、これできる?」と、仕事を振ってもらえるように日頃から情報発信をしておくことが大事になってきます。自分の会社の強みを棚卸しし、それを他の会社にも見えるように開示しておく。そうすることで、他社から仕事を振ってもらうことができ、更にその強みの幅を広げていくことができるわけです。
(5)誰に売るか、何を売りにするか|ものづくり、商品企画
誰に売るか、何を売りにするか。
掃除機と言えば、吸引力のダイソン、自動のルンバ。
人気商品に勝ち、あなたの商品を選んでもらうには理由が必要です。誰にどんな理由で買ってもらう商品か意識して企画しましょう!https://t.co/wx1qoMRiwD#ものづくり #弁理士 #中小企業 #商品企画 #差別化戦略
— ローテク弁理士®ヤマダ(たまにスイーツ弁理士) (@sweetsbenrishi) October 2, 2018
「商品の良さ」は、人によって基準が違います。
とにかく部屋を綺麗にしたいというキレイ好きの人なら吸塵力の高さに魅力を感じるでしょうし、手間は掛けたくないけど部屋をキレイにしたいという人は自分が動かなくても勝手に掃除をしてくれるロボット掃除機に魅力を感じるでしょう。
● コードレスクリーナーを買う人はどういう属性の人なのか?(誰に売るか)
● その属性の人は通常の掃除機のどんな部分に不満を感じ、どんな機能を求めているのか?(何を売りにするのか)
闇雲に「性能が良い商品」を作ることに意味はありません。買って欲しい人の前に、その人が求めている商品をポンと置く。そうすれば自然に商品を買ってもらえるのです。
(6)潜在的な不満を解消する|ものづくり、商品企画
潜在的な不満を解消する。
菜箸はものを摘みにくい。でも普通の箸より長いからしょうがない。
こんな、誰もが感じているけれど、表立って口には出さない不満を意外な方法で解消してくれる商品が支持されるのです。https://t.co/rMERey2ki2#ものづくり #弁理士 #中小企業 #商品企画— ローテク弁理士®ヤマダ(たまにスイーツ弁理士) (@sweetsbenrishi) October 3, 2018
「良い商品を作りたい!」 その気持ちはわかります。
でも、人は長所より欠点が気になる生き物です。たくさん良い部分があるのに、ちょっとした欠点があるだけで評価がぐんと下がってしまいます。逆に、何となく心に引っかかっていた、ちょっと気になる欠点をうまく解消してくれた商品には「すごい!」と感動して、パッと手を伸ばしてくれます。
70点の商品を80点に改良した時の良さを理解し、そこに食いつくのは一部のマニアの人です。一般の人に広く支持されたいなら、30点、40点の商品を60点まで引き上げて、明らかな欠点を合格点レベルまで引き上げた方が効果的です。
(7)手持ちの素材を活かす|ものづくり、新規事業
手持ちの素材を活かす。
得意とする素材があるなら、それを突き詰めるべきです。素材の特性を一番良く知っているのに、それを活かした商品を作らないのでは宝の持ち腐れ。常に用途探索を行いましょう。https://t.co/9N7wT7Pg70#ものづくり #弁理士 #商品企画 #差別化 #耳かきスト #ときわ商会
— ローテク弁理士®ヤマダ(たまにスイーツ弁理士) (@sweetsbenrishi) October 4, 2018
元記事:ときわ商会『「耳かきスト」シリコン耳かき』チョー気持ちいい! シリコンを知り尽くした職人の技がキリリと光る逸品|おためし新商品ナビ
「新規事業を立ち上げる」といっても、何の武器も持たず知らない業界に入っていっても勝てるわけがありません。そこには先駆者たちがいるのですから。
● 今、自分が持っている武器は何か?
● その武器を使える他分野、異業種がないか?
● その分野、業種で自分の武器がアドバンテージとなるか?
この辺りを検討すると良いでしょう。
「耳かきスト」は、シリコン(シリコーン樹脂)の職人が研究に研究を重ねて作った逸品です。シリコーンを知り尽くした職人の知恵、これが他の耳かき製造業者に対するアドバンテージになっているのです。
自分の中にある強みは何か。それを明らかにすることで、新規事業の方向性が見えてくるはずです。
まとめ
今週は、「良い商品とは何か?」「ブランドとは何か?」という、ものづくりやブランドづくりの根幹をなす問題に触れるニュースが多かったように感じました。
「良い商品」「支持されるブランド」を作るには、自分の目線だけではなく、お客様目線が大事です。自分たちの商品やブランドが、お客様からどう見えているか、今一度、確認してみてください!