スモールブランディングのヒント|2019年1月11日

クロスリンク特許事務所(銀座・東銀座・新橋)・弁理士のヤマダです。

目次

はじめに

「スモールブランディング」とは、中小企業・個人事業主等のスモールビジネスに特化したブランドづくりの手法です。

「スモールブランディングのヒント」では、スモールブランディングのヒントとなる、

● ブランド戦略
● 商標登録・商標権
● ネーミング
● その他、ブランドづくりに役立つ情報

に関するニュースの中からヤマダが独断と偏見でチョイスしたニュースについてざっくり解説します。

スモールブランディングのヒント|2019年1月11日

(1)名は体を表す|ネーミング

「山田うどん」が屋号を「山田うどん食堂」に変更しました。

これは新たな顧客を開拓するための方策です。

「山田うどん」はうどん以外のメニューにも力を入れています。でも、「山田うどん」という看板を見て頭に浮かぶのは「うどん」です。だから、「うどん」を食べたい人がお店に入ってくるわけです。

これが、「山田うどん食堂」という看板だったらどうでしょうか?

「食堂」の文字が入ったことによって、「うどん」以外のメニュー(例えばご飯物)もあるのかな?と期待してもらえます。これでうどんには興味がないお客さん(例えばファミリー層)もお店に入ってきてくれる可能性が高まるわけです。

大事なのは、商品やサービスの内容を的確に伝えることです。ちょっとした工夫ですが、客層を広げるという点で効果的な対策です。

元記事:
埼玉発「山田うどん」が熱烈に支持されるワケ|東洋経済ONLINE

(2)「看板に偽りあり」は信用を失う|キャッチコピー

「肉の万世」が「30分390円、飲み放題」というキャッチコピーで「大人のドリンクバー」というサービスを展開しています。

この「30分390円、飲み放題」というキャッチコピーがあまりよろしくありません。

このキャッチコピーを見れば、「390円払えば、30分間はフリードリンク!」と考える人が殆どだと思います。でも、このサービスを受けられるのは60分から、しかも料理を1品オーダーしないといけません。390円払って、30分間だけお酒を好き放題飲みまくれるというわけではないのです。

「万世」からしたら「それでも得だ!」と言いたいのでしょうが、キャッチコピーからイメージした期待を裏切っていることになりますよね。

せっかく良いサービスを提供していても、キャッチコピーが嘘・偽りと捉えられたり、紛らわしいと思われたら顧客の信頼を失います。キャッチコピー・宣伝文句は分かり易さと誠実さが第一なんです。

元記事:
肉の万世、話題の390円「酒のドリンクバー」に行ったら大後悔…「高くても普通に飲みたい」|ビジネスジャーナル

(3)略語を商標登録するメリット|商標登録・商標権

近江兄弟社は現在、「メンソレータム」の略語「メンターム」を使用しています。

「メンソレータム」といえば近江兄弟社というイメージですが、「メンソレータム」の商標権者はザ・メンソレータム・カンパニーです。近江兄弟社はメンソレータム社からライセンスを受けて「メンソレータム」という商標を使っていたわけです。

しかし、近江兄弟社は経営破綻によってこのライセンスを失い、「メンソレータム」の使用権はロート製薬が保有することになりました。

しかし、近江兄弟社は「メンソレータム」の略語「メンターム」を商標登録していました。このため、商標「メンターム」を使って商売を続けられているわけです。

長い商標は略語で呼称されるケースがあります。元の商標と略語は必ずしも似ているとは限りません。そのような場合には、略語についても商標登録をしておく方が無難です。

元記事:「メンターム」「メンソレータム」…なぜ似ている?|日刊スポーツ

(4)ネーミングには説明の匂いを漂わせない|ネーミング

オーラルケア商品「NONIO」のネーミングについて。

「NONIO」は「No!匂い」に由来して命名されています。「No!匂い」ですから、 商品内容のニュアンスは残っています。でもベタな説明にはなっていません。ターゲットである若者を意識し、ちょっとおしゃれでライトな名前にしています。

商品内容をそのまま説明したような商標(記述的商標)は商標登録され難いです。ネーミングの際には少しひねりを加えましょう。

元記事:
若者の心をつかむライオンの“口臭ケア”|ニュースイッチ

(5)パッケージで差別化する|ブランド戦略

金太郎飴本店がパッケージデザインを統一しました。

包装やパッケージは意外に重要です。一番最初にお客様の目に触れる部分だからです。包装やパッケージがしょぼいと中身を見る前に「程度が低い商品」と見られてしまいます。

その包装を一目見るだけで、どこの商品かわかるような特徴的なデザインにする。商品の価値に見合ったきちんとした包装にする。そうするだけで商品の価値は上がります。これも立派なブランド戦略なのです。

元記事:
金太郎飴の老舗 統一感ないパッケージ一新で劇的復活|NIKKEI STYLE

まとめ

「メンソレータム」にこんな裏話があったとは、ヤマダも全く知りませんでした。

商標登録は顧客目線、競合会社目線でどんな商標を押さえるべきか検討しないといけません。本丸だけ押さえていたら、略語をライバル会社に持っていかれた!なんてことのないように注意しましょう(笑)

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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