石屋製菓が「白い恋人」のロゴを消した理由|中小企業のためのブランド戦略・参考事例集

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クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)所長、中小企業専門の弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。

目次

はじめに

実際の事例の中から、中小企業のブランドづくり・ブランディングに役立つ事例を紹介・解説する不定期連載企画「中小企業専用。ブランド戦略・参考事例集」。

今回の事例は、「白い恋人」でお馴染み、石屋製菓です!

石屋製菓が「白い恋人」のロゴを消した理由|中小企業のためのブランド戦略・参考事例集

Jリーグ・北海道コンサドーレ札幌の胸ロゴが変わりました。
スポンサーである石屋製菓が、胸ロゴを「白い恋人」から「ISHIYA」に変更したのです。

「白い恋人」と言えば、誰でも知っている石屋製菓の看板商品です。

石屋製菓が何故、ロゴから「白い恋人」を消したのか、ブランドづくり・ブランディングの観点から分析してみましょう。

(1)日本語表記からアルファベット表記への変更

今回のロゴ変更の狙いとして、石屋製菓のグローバル戦略があります。

「白い恋人」という日本語表記を「ISHIYA」というアルファベット表記に変更することで、日本語圏のみならず広く世界の人に親しんでもらうという狙いです。

昨シーズン、コンサドーレはシーズン4位に躍進し、アジアチャンピオンズリーグに手が届くところまで来ています。
これからアジア、そして世界の舞台で活躍する可能性を秘めています。

その時に、胸ロゴが日本語表記の「白い恋人」だったらどうか?

せっかく、コンサドーレがアジアの舞台で活躍したとしても、大多数の人はその意味内容を理解できないということになりかねません。

石屋製菓は世界に打って出るために、ブランドの表記・表現方法を変えたのです。

(2)商品ロゴから企業ロゴへの変更

また、今回のロゴ変更は石屋製菓の認知度向上も目的の一つです。

「白い恋人」の知名度は全国で驚異の98%!
日本のどこに行っても殆どの人が知っているわけです。

これに対し、石屋製菓の知名度は30%にも達していません。
「白い恋人」は知っているけれども、それを作っている石屋製菓のことはあまり知られていないわけです。

企業の地力を上げていくために、企業そのものを知ってもらい、「白い恋人」以外の商品・事業についても発展させて行く。

そんなビジョンの下、石屋製菓はロゴの主体を商品から企業に変えたのです。

(3)スタイリッシュなロゴデザインへの変更

更に、今回のロゴ変更はコンサドーレのユニフォームの販促という目的もあります。

従来のロゴは、水色の矩形状のベタ塗りの上に白い太文字で「白い恋人」と表示されていました。
広告・宣伝目的としては良いのでしょうが、ユニフォームのデザインとして見るとイマイチ。
あまりカッコいいとは言えませんでした。

今回は背景なし、細い書体の小さい文字で「ISHIYA」。
かなりシンプルでスタイリッシュなデザインになりました。

最近、スポーツアイテムを取り入れたスポーツミックスのファッションが流行っています。
スタイリッシュなデザインのユニフォームであれば、コンサドーレのサポーターだけでなく、一般の人にも着てもらえるかもしれません。
コンサドーレのユニを着た人が街を歩いてくれれば、石屋製菓の宣伝になりますよね。

コンサドーレのユニを起点として、石屋製菓のファンを拡大していく。

今回のロゴ変更にはそんな目的もありそうです。

まとめ

今回の石屋製菓のロゴ変更はターゲットを意識したものです。

● アルファベット表記(世界の人に知ってもらう)
● 企業ロゴへの変更(日本国内での認知度を上げる)
● スタイリッシュなデザイン(サッカーファン以外の人にもユニフォームを着てもらう)

ブランドづくり・ブランディングにおいて、ターゲットを誰にするかは極めて重要です。

まず、ターゲットを決め、その人達に受け入れられるにはどんなブランド展開をしていけばよいか考えてみましょう!

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。
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