B to BからB to Cへの転換 ~ものづくり系中小企業はどこに向かっているのか~

クロスリンク特許事務所(銀座・東銀座・新橋)のヤマダです。

はじめに

先日、「2015”よい仕事おこし”フェア」という展示会でものづくり系中小企業20-30社の方とお話をしてきました。ものづくり系中小企業はどこに向かっているんでしょうか?

考察してみました!

加工業者のジレンマ

「加工業者」とは、例えば、金属素材の切削、成形、表面処理などについて高度な加工技術を持った業者のことです。加工業者は発注元からの依頼に応じて、複雑な構造の部品や高い精度が要求される部品を製造しています。ただ、加工業者は、高度な加工技術を持っている割には、特許などの知的財産権を持っていないことが多いようです。

それは、おそらく以下のような理由によるものと考えられます。

(1)加工の対象は、発注元の製品や部品であるため、その内容について勝手に特許を取ることはできない。
(2)職人の加工技術は、職人の感覚に依存することも多く、技術としての客観性がないため、特許として認められにくい。
(3)特許を申請すると、技術ノウハウが公開されてしまうため、特許を申請しにくい。

このように、加工業者は高度な技術を持っているにも拘らず、技術の象徴とも言える特許を持つことは難しい
というジレンマがあるのです。

実際、幾つかの企業にインタビューしてみたところ、

「これからは特許を持っていないと、勝負にならない。」
「製品に付加価値を付け、利益を出すためには、特許が必要。」

という頼もしい声もありましたが、このような声はかなり少数派。

特許などの知的財産権の取得については、消極的な姿勢の企業が大多数という印象でした。

B to Bビジネスが抱える問題

加工業者のビジネスは、発注元から注文を受け、製品の加工をし、納品する、いわゆるB to B(企業相手)のビジネスです。B to Bのビジネスにおいては、加工業者は下請け業者と見られがちで、発注元からの厳しい値下げ要求にさらされます。このため、たとえ他にはない高度な加工技術を持っていたとしても、それが企業の利益に結びつきにくいという問題があります。

B to Bビジネスの問題を打破するには?

展示会で色々な企業の方とお話をしてみると、B to Bビジネスの問題を打破する方向性として、以下の2つの方向性があるように見えました。

(1)B to Bビジネスを極める

徹底的な合理化を図ることによって、発注元からのコストダウン要請に応え、部品供給メーカーとして生き残っていく、という方向性です。

今回の展示会では、加工製品を自動車バッテリー用のキャップに絞り込み、高度な加工を自動化・無人化して製造装置を24時間稼働させ、徹底的な合理化によってコストダウンを図っている企業がありました。

この企業は国内シェアの6割以上を獲得し、東南アジアにも製造拠点があるそうです。勢いを感じますね!

(2)B to BビジネスからB to Cビジネスに転換する

自分たちの高度な加工技術を活かして自社製品を開発し、企業ではなく一般の消費者に対して売り込んでいく、という方向性です。いわゆるB to C(個人相手)のビジネスですね。

今回の展示会では、高度な金属加工の技術を活かしてキッチンツールを開発している企業がありました。

B to Cのビジネスは、発注元の事情に左右されず、自分たちで仕掛けていくことができるのが魅力です。加工業者の新たなビジネススタイルとして要チェックですね!

「すみだモダン」は、B to Cビジネスのモデルとなる

最後に、加工業者のB to Cビジネスのモデルとなりそうな取り組み「すみだモダン」を紹介します。

「すみだモダン」は、東京都墨田区が推進する地域ブランド戦略の一つです。

古き良き江戸の風情と、最先端の東京スカイツリーが混在するものづくりの町「すみだ」が、ちょっとなつかしく、そしてあたらしい製品を「すみだモダン」として認証し、ブランド化していく取り組みです。

下の写真は、「kaico」というブランドのケトルです。金属のプレス加工会社である昌栄工業が製造し、すみだモダン2014に認証されました。

 

引用元:「すみだモダン」商品部門認証商品一覧より昌栄工業「kaico」(*1)

 

シンプルなデザインのケトルに見えますが、底に向かって広がる円錐台型のフォルムは製造が難しく、今まであまりなかったデザインとのこと。

外部デザイナーが創り出したモダンなデザインを、昔かたぎの職人が高度な金属プレスの技術で実現する。新しいデザインと、伝統的な技術がガッチリ手を組んだものづくりの新しい形態、ものづくりの未来を示した一品です。

このように、高度な加工技術を製品形態に落としこむができれば、意匠登録などの道も開けるはずです。

まとめ

1.B to Bを極めることで、部品供給メーカーとして生き残っていくことができる。
2.B to Cは、発注元の事情に左右されず、自分たちで仕掛けていくことができる。
3.高度な加工技術を製品形態に落としこむができれば、意匠登録などの道も開ける。

参考サイト

(*1)「すみだモダン」商品部門認証商品一覧より昌栄工業「kaico」

おまけ

「すみだモダン」の他の認証商品は、こちら。



ヤマダが愛用している方眼ノート、オキナさんの「プロジェクトペーパー」も認証されていました!

 

引用元:2011年「すみだモダン」商品部門認証商品一覧よりオキナ株式会社「プロジェクトペーパー」

 

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プロフィール

山田 龍也(やまだ たつや)
山田 龍也(やまだ たつや)
ものづくりとブランドづくりの専門家/弁理士/ブロガー。
中小製造業のものづくり、個人事業主のブランドづくりを支援中。
特許・実用新案・意匠・商標の権利取得手続; 知財戦略・商品の差別化戦略の立案; 商品の企画・開発に関するアドバイス; 情報発信を用いたブランディング・マーケティング; が得意。