特許相談で弁理士に発明の内容を的確に伝える方法

目次

はじめに

先週末、アキバの某家電量販店に行って、bluetoothイヤホンとコンパクトデジカメを探していました。

オーディオ売り場のお兄さんと、カメラ売り場のお兄さんが商品の説明をしてくれたんですが、この2人の説明には圧倒的な差がありました。

特許の相談でも、説明が上手な方とあまり上手くない方がいらっしゃいます。説明が上手いと、弁理士も発明を十分に理解することができて、室の高い出願書類を作ってくれるので、絶対にお得です(笑)

家電量販店のお兄さんを例に、特許相談で弁理士に発明の内容を的確に伝える方法をお伝えします。

オーディオ売り場のお兄さんの説明

bluetoothイヤホンを眺めていると、つかつかと近づいてきたオーディオ売り場のお兄さん。

「どんなイヤホンをお探しですか?」

今まで使っていたイヤホンが壊れてしまったこと、主に移動中に使うので、動いても外れないものがよいこと、眼鏡をかけるので、できれば耳掛け式でないものがよいこと、を伝えたところ、

「それならスポーツ用がいいと思います。」

「スポーツ用ならこれ一択です。」

「これなら音もバッテリーの持ちもいいですよ。」

他におススメの商品がないか聞いてみたところ、

「ないですねぇ。これがダントツです!」

カメラ売り場のお兄さんの説明

色々なカメラをあれこれ眺めていると、「ご説明しましょうか?」と登場したカメラ売り場のお兄さん。

「これが最新モデルなのでおススメです。」

「隣のモデルと画素数は殆ど同じなんですけど、こちらは光学ズームが40倍。隣のは4倍です。だいぶ違いますよ。試してみますか?」

カメラ売り場のお兄さんの説明に軍配!

特許相談で弁理士に発明の内容を的確に伝えられそうなのは、ダントツでカメラ売り場のお兄さんです。こういう説明なら特許相談に行っても、弁理士にうまく発明の内容を伝えられそうです。

カメラ売り場のお兄さんの説明の中で良かった点は以下の2点です。

(1)対比しながら説明している

カメラ売り場のお兄さんの説明が良かった点。1つ目。2つのカメラを比べながら説明していた点、です。

2つのカメラを比べることで、新製品の特徴や良さをうまく表現していました。

特許庁の審査官も、

● 従来の技術と、出願された発明を並べて(対比して)みて、構造的にどこが違うのか。
● 構造が違うことによって、性能はどう違ってくるのか。
● それらの違いを思いつくのは簡単なのか。

そんな見方で特許の審査をしています。

特許では、この「対比」という考え方が非常に重要です。特許相談で発明について説明するときも、他の人の発明と「対比」しながら説明することで、自分の発明製品の良さや特徴が浮き彫りになるのです。

一方、オーディオ売り場のお兄さんは、イチ推しのイヤホンだけしか説明せず、他の商品と対比をしませんでした。これだと、実際にそのイヤホンが良い製品だったとしても比較の対象がないために、その製品の良さや特徴が見えにくくなってしまいます。

(2)数値を使って具体的に説明している

カメラ売り場のお兄さんの説明が良かった点、2つ目。数値を使って説明していた点、です。

カメラ売り場のお兄さんは光学ズームについて、「40倍」、「4倍」という具体的な数値を出して説明していました。数字というのは具体的で、しかも客観的なデータなので、説明に説得力を持たせたり、インパクトを与えることに役立ちます。

発明相談の時も、ただただ、自分の発明が素晴らしいというだけでは、弁理士さんに「ホンマかいな?」と疑念を持たれてしまいます(笑) そこは数値を使って説明に迫力を出していきましょう!

オーディオ売り場のお兄さんは、単に「バッテリーの持ちがよい。」としか言っていませんでした。「連続使用で8時間もちます」と説明すれば、もっと説得力のある説明になっていたかもしれませんね。

まとめ

以上、説明したように、発明品を説明するときは、

● 似たものと対比しながら説明する。
● 数値を使って具体的に説明する。

ということが大事です。

カメラ売り場のお兄さんがお手本ですよ!

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山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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