W特許製法! 月桂冠「糖質ゼロ」に学ぶ、ちょっと変わった特許の使い方 ~技術ブランディング~

目次

はじめに

今日は下戸の私が日本酒を題材に特許の話をします(笑)

「技術の独占だけが特許の役割じゃないんだぜ」そんなお話です。

月桂冠、「W特許製法」を前面に打ち出す!

最近、こんな記事を見つけました。

「月桂冠 日本酒『糖質ゼロ』シリーズのパッケージを刷新 特許製法を前面にPR」

【2016年8月25日】月桂冠は8月29日、日本酒「糖質ゼロ」シリーズのパッケージをリニューアルし、独自開発の特許製法、「糖質スーパーダイジェスト製法」「後味スッキリ製法」を前面に押し出したデザインとした。

引用元:プリント&プロモーション(印刷とユーザーをつなぐニュースサイトのプリプロ)

リンク先に写真があります。パックの左肩の部分に「おいしさの秘訣 W特許製法」と表示されています。赤の塗りつぶしで目立つように表示されていますね。

「糖質スーパーダイジェスト製法(GSD製法)」は「清酒の醸造法」という名称で、「後味スッキリ製法」は「清酒における糖質の低減方法および清酒の製造方法」という名称で、製法技術に関して特許を取得しています(特許4673155、特許5851957)。これらを合わせて「W特許製法」と称しているわけです。

月桂冠はこれまでも「おいしさの秘訣【GSD製法】」、「糖質ゼロ」の文字が入ったパッケージ商標(商標登録5739043)について商標登録をしたり、文字商標「月桂冠 後味スッキリ製法」(商願2016-068592)を出願するなど、独自製法をアピールする商標を出願してきました。

(商標登録5739043)

今回、パッケージに「W特許」の文字を入れて目立たせることで、購買者に対して「特許」をよりアピールする戦略をとったと言えるでしょう。この例では、「特許」を「商標」と同様に自社ブランドの構築のために使っていると言えます。ざっくり言えば「特許の商標的な利用」です。

中小企業もモデルにしたい「特許の商標的な利用」

今回の月桂冠のやり方は、特許に取り組む中小企業にも真似をして欲しいやり方です。

特許の本来的な役割は「技術の独占」です。しかし、この月桂冠の事例でもわかるように、使いようによっては商標的に使えるわけです。ブランドイメージを構築したり、品質の良さを訴求したり、技術力があり、知的財産にきちんと取り組んでいる会社であることをアピールしたり。技術の独占とは違うアプローチで市場に影響力を及ぼしていくことができます。

中小企業の場合、特許を技術の独占や侵害訴訟の武器と考えると、その質や数の面で不十分なこともあります。そのような場合でも、特許を商標的に利用することは可能です。製法特許のような弱い特許、技術の独占には不十分な権利範囲が狭い特許も、商標的な利用によって有効に活用することができるのです。

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