2006年11月21日。2006/07 UEFA CL セルティックvsマンU戦。セルティックは中村俊輔がFKを決め、強豪マンUに1-0で勝利。CL初の決勝トーナメント進出を決めた。僕はこの時、スコットランド・グラスゴーのセルティックパークで、あの伝説のフリーキックを目撃した。
2016/17 UEFA CL 、グループステージ開幕!
UEFA CLとは
2016/17 UEFA チャンピオンズリーグ(CL)のグループステージが開幕した。CLは欧州各国の上位クラブがクラブNo.1を競うサッカー界の一大イベント。事実上の世界No.1クラブ決定戦だ。
グループステージに出場するのは32クラブ。8つのグループに分かれ、ホーム&アウェーの総当り2回戦を行う。各グループの成績上位2クラブが決勝トーナメントに進むことができる。
レアルはグループF、アトレティコはグループD
2015/16シーズン優勝のレアル・マドリード(スペイン)はグループF。香川真司のドルトムント(ドイツ)と対戦することとなった。
同じく準優勝のアトレティコ・マドリード(スペイン)はグループD。強豪バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)と対戦する。
セルティックはグループC。初戦でバルサに歴史的大敗
予選を勝ち上がったセルティック(スコットランド)はグループCでバルセロナ(スペイン)、マンチェスター・シティ(イングランド)と同組。この2つの強豪を撃破しない限り、グループリーグの突破は厳しいだろう。
そして迎えた第1節。
セルティックは敵地カンプ・ノウで、メッシ擁するバルセロナに挑んだ。しかし、実力差は如何ともし難く、0-7という歴史的な大敗を喫してしまった。さすがにこの大敗には地元スコットランドも落胆したようだ。
CL初戦で大敗のセルティック 地元紙「ナカムラのようにCLに相応しい選手がいない」と嘆き節|FOOTBALL ZONE
SPFL(Scottish Professional Football League)のYoutubeチャンネルでは、未だに彼の素晴らしいフリーキックのダイジェスト映像を視ることができる。この動画の公開日は2015年6月24日。彼の誕生日に公開された動画だ。視聴回数は2,925,706 回。
彼らにとってNakaは今もアイドルであり、ヒーローであり、レジェンドだ。そして、彼らの眼に未だ強烈に刻み込まれているのは、10年前の「あの試合」なのだ。
2006/07 UEFA CL 現地観戦記|セルティックvsマンチェスターU戦 マッチプレビュー
2006年11月21日
11月下旬のグラスゴーは凍えるような寒さだ。スキー用のインナーを着てきたが、まるで役に立たない。ほんの10分歩いただけでつま先の感覚はなくなった。
寒風吹きすさぶ中、僕はセルティックの本拠地セルティックパークに向かっていた。2006/07 UEFA CL グループステージ。セルティック vs マンチェスターU戦を観戦するためだ。
2週間前
セルティックは、敵地オールドトラフォードでユナイテッドとのアウェー戦に挑んでいた。2-3で惜敗したものの、中村俊輔が芸術的なフリーキックでゴールを奪い、強豪のユナイテッドに肉薄している。
この2週間前の善戦。そして、セルティックのホームゲームでの抜群の強さ。2つの要素がサポーターの期待とスタジアムの熱量を押し上げていた。
2006/07 UEFA CL 現地観戦記|セルティックvsマンチェスターU戦 前半
you’ll never walk alone
試合開始が近づくと、サポーターはロゴ入りのマフラーを掲げ、「you’ll never walk alone」の大合唱を始めた。スタジアムの空気が更に熱を帯びてくる。この大合唱が終わるのを待つことなく、レフェリーは笛を吹いた。キックオフだ。
ユナイテッドの一方的な攻勢。セルティックは防戦一方に
サポーターの期待とは裏腹に(サポーター以外の大方の予想通り)、試合は一方的な展開となった。クリスチアーノ・ロナウド、ウェイン・ルーニー、ライアン・ギグス、ポール・スコールズ、ルイ・サア…。決して本調子には見えないユナイテッドの攻撃陣がセルティックの脆弱なディフェンスラインを次々に切り裂いていく。
孤軍奮闘するGKボルッツ
いつゴールを割られてもおかしくない状況で、なんとか試合のバランスを保っていたのは最後方で孤軍奮闘するポーランド人GK アルトゥール・ボルッツだ。この日のボルッツは抜群の冴えを見せていた。クロスボールの対応で時折頼りなさを覗かせるものの、正面からの一対一にはめっぽう強く、ユナイテッドの嵐のような猛攻をシャットアウトしていった。
前半は0-0のスコアレスで終了
結局、ユナイテッドはボルッツからゴールを奪うことができないまま、前半は0-0のスコアレスで終わった。
2006/07 UEFA CL 現地観戦記|セルティックvsマンチェスターU戦 後半
沈黙する両軍の攻撃陣
後半開始と同時に、セルティックのマネージャー ゴードン・ストラカンが動いた。早い時間帯での2枚替え。突破力のあるショーン・マロニーを左サイドに投入し、中村を本来のポジション、右サイドに戻す。これが功を奏し、一瞬、セルティックの攻撃が活気づいたように見えた。しかし、主導権を奪うまでには至らず、再び攻撃は沈黙する。
一方のユナイテッドも攻め疲れたのか攻撃の精度を欠く場面が増えていく。圧倒的にボールを保持しているにも拘らずイージーなミスを繰り返し、フィニッシュまで持ち込むことができない。
セルティックがFK獲得。キッカーは中村
お互いに攻め手を欠く展開の中、試合が動いたのは後半残り10分。ユナイテッドのネマニャ・ビディッチがゴール前で痛恨のファウルを犯し、セルティックにフリーキックを与えてしまう。
キッカーは勿論、中村。ゴール前やや右。距離は約30メートル。
ユナイテッドのGKファン・デル・サールは2週間前のことを思い出したに違いない。あの時のフリーキックとほぼ同じ位置だったからだ。
中村のFKが再びゴールネットを揺らす
静かにボールをセットし、5歩、6歩と後ろに下がる中村。軽い助走から左足で強くインパクトされたボールは鋭く弧を描き、名手ファン・デル・サールが必死に差し出す左手の指先をかすめるようにゴール右上に突き刺さった。
ゴール!
2週間前と同じニアサイドを狙ったボールは更に厳しいコースを突いた。このコースは頭に入っていたはずのファン・デル・サールも全くのノーチャンス。ここしかないという絶妙なコースを突いたファインゴールだった。
胸のエンブレムを誇示しながらスタンドのサポーターに駆け寄る中村。力を込めて拳を振り上げる。普段、冷静な彼がここまで感情を露わにするのはあまり見たことがない。それだけの価値があるゴールだった。
スタジアムを包み込む熱気、歓喜、興奮
この時のスタジアムの雰囲気をどう伝えればいいのだろう。おそらく言葉でも映像でも伝えることはできないと思う。
その場に居合わせた人だけが感じられるあの雰囲気。
一瞬の静寂の後、堰を切ったような大歓声とざわめき。そこかしこで行われるハイタッチやハグ。僕の肩を後ろから叩き、笑顔でサムアップする人もいる。
やったな!日本人!!
言葉はわからなくても、数万人の人間が同じ感情を共有しているのがわかる。こんな体験は一生のうちで何度もないだろう。しばらくその興奮が収まることはなく、ただ呆然とピッチを見つめていた。
セルティックは初のグループステージ突破
試合終了間際、相手に与えてしまったペナルティキックも、この日、大当たりのボルッツがストップしてゲームセット。
1-0で勝利したセルティックはグループステージを突破。最終戦を待つことなく、CLで初の16強入りを果たした。
セルティックvsマンチェスターU戦 追記
この日のために購入した新品のデジタルカメラは初期不良で全く使い物にならなかった。試合の写真は一枚も残っていない。でも、今思い返してみると、
この試合はレンズを通さず、自分の眼に直接焼き付けておきなさい
そんな、神様の思し召しだったのかもしれないと思っている。
またCLを観に行きたい。あの感動をもう一度、味わいたい。いつかまた
でも、あの試合以上に僕を興奮させてくれる試合なんてあるんだろうか。僕は死ぬまで、この試合を、あのシーンを忘れることはないだろう。
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