2006/07 UEFA CL、セルティックvsマンチェスターU戦 前半
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2006/07 UEFA CL、セルティックvsマンチェスターU戦 試合は後半へ

沈黙する両軍の攻撃陣
後半開始と同時に、セルティックのマネージャー ゴードン・ストラカンが動いた。早い時間帯での2枚替え。突破力のあるショーン・マロニーを左サイドに投入し、中村を本来のポジション、右サイドに戻す。これが功を奏し、一瞬、セルティックの攻撃が活気づいたように見えた。しかし、主導権を奪うまでには至らず、再び攻撃は沈黙する。
一方のユナイテッドも攻め疲れたのか攻撃の精度を欠く場面が増えていく。圧倒的にボールを保持しているにも拘らずイージーなミスを繰り返し、フィニッシュまで持ち込むことができない。
セルティックがFK獲得。キッカーは中村
お互いに攻め手を欠く展開の中、試合が動いたのは後半残り10分。ユナイテッドのネマニャ・ビディッチがゴール前で痛恨のファウルを犯し、セルティックにフリーキックを与えてしまう。
キッカーは勿論、中村。ゴール前やや右。距離は約30メートル。
ユナイテッドのGKファン・デル・サールは2週間前のことを思い出したに違いない。あの時のフリーキックとほぼ同じ位置だったからだ。
中村のFKが再びゴールネットを揺らす
静かにボールをセットし、5歩、6歩と後ろに下がる中村。軽い助走から左足で強くインパクトされたボールは鋭く弧を描き、名手ファン・デル・サールが必死に差し出す左手の指先をかすめるようにゴール右上に突き刺さった。
ゴール!
2週間前と同じニアサイドを狙ったボールは更に厳しいコースを突いた。このコースは頭に入っていたはずのファン・デル・サールも全くのノーチャンス。ここしかないという絶妙なコースを突いたファインゴールだった。
胸のエンブレムを誇示しながらスタンドのサポーターに駆け寄る中村。力を込めて拳を振り上げる。普段、冷静な彼がここまで感情を露わにするのはあまり見たことがない。それだけの価値があるゴールだった。
セルティックvsマンチェスターU戦 そして歓喜の瞬間へ
スタジアムを包み込む熱気、歓喜、興奮
この時のスタジアムの雰囲気をどう伝えればいいのだろう。おそらく言葉でも映像でも伝えることはできないと思う。
その場に居合わせた人だけが感じられるあの雰囲気。
一瞬の静寂の後、堰を切ったような大歓声とざわめき。そこかしこで行われるハイタッチやハグ。僕の肩を後ろから叩き、笑顔でサムアップする人もいる。
やったな!日本人!!
言葉はわからなくても、数万人の人間が同じ感情を共有しているのがわかる。こんな体験は一生のうちで何度もないだろう。しばらくその興奮が収まることはなく、ただ呆然とピッチを見つめていた。
セルティックは初のグループステージ突破
試合終了間際、相手に与えてしまったペナルティキックも、この日、大当たりのボルッツがストップしてゲームセット。
1-0で勝利したセルティックはグループステージを突破。最終戦を待つことなく、CLで初の16強入りを果たした。
セルティックvsマンチェスターU戦 追記
この日のために購入した新品のデジタルカメラは初期不良で全く使い物にならなかった。試合の写真は一枚も残っていない。でも、今思い返してみると、
この試合はレンズを通さず、自分の眼に直接焼き付けておきなさい
そんな、神様の思し召しだったのかもしれないと思っている。
またCLを観に行きたい。あの感動をもう一度、味わいたい。いつかまた
でも、あの試合以上に僕を興奮させてくれる試合なんてあるんだろうか。僕は死ぬまで、この試合を、あのシーンを忘れることはないだろう。