差別化戦略の類型・そのメリットと事例(戦略⑥:商品の再定義で差別化)

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はじめに

下記の記事の中で紹介したヤマダ式「7つの差別化戦略」。

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今日は、この「7つの差別化戦略」の中から「戦略⑥:商品の再定義で差別化」のメリットと事例を紹介します。 

「戦略⑥:商品の再定義で差別化」のメリット

「商品の再定義で差別化」は、商品の根幹となる機能を変更し、商品の定義を根本から変えてしまうことによって、商品を差別化する戦略です。

「商品の根幹となる機能」とは、

  • その機能を変えてしまったら、もはやその商品ではなくなってしまうような商品の機能
  • その機能を変えてしまったら、商品の定義を変えざるを得ないような機能

です。

そして、「商品の再定義で差別化」では、

  • 従来の商品と用途(使い道)は同じだけれども、機能(役割)が異なる商品

を提供することで、商品を差別化します。

例えば、従来の商品が「縦型・渦巻き式の洗濯機」であった場合の「ドラム式の洗濯機」が「商品の再定義」に当たります。
「縦型・渦巻き式の洗濯機」も「ドラム式の洗濯機」も服を洗うという「用途(使い道)」は同じです。
しかし、「縦型・渦巻き式の洗濯機」は渦巻き式の水流の中で汚れを落とす方法、「ドラム式の洗濯機」はドラムの中で服を叩きつけることで汚れを落とす方法を採用していて「機能(役割)」が異なります。

「商品の再定義で差別化」は、

  • 従来の商品とは全く異なる活用シーンをイメージさせることができる
  • その商品の新たな市場を開拓することができる

というメリットがあります。

ターゲットは、新しもの好きな人、流行に敏感な人(アーリーアダプター)です。

アーリーアダプターは常に新しいものがないか、今より便利なものがないかをサーチしています。
そして、アーリーアダプターが商品を購入することで、他の人達もその商品を買い始め、その商品が普及していきます。

従って、「商品の再定義で差別化」では、新しもの好きな人、流行に敏感な人(アーリーアダプター)が食いつくような商品を作れるかどうかが鍵になります。

また、再定義された商品はまだ何の実績もない新しい商品ですから、商品の活用シーンやメリットをうまくイメージさせることが大事です。
これらがイメージできないとターゲットの感情を揺さぶることができないからです。

【事例6-1】「ルンバ」(アイロボット)

商品名「ルンバ」
キャッチフレーズ「忙しいあなたを床掃除から解放します」

引用元:http://www.irobot-jp.com/roomba/index.html

最初の事例は、アイロボットの「ルンバ」です。

「ルンバ」は、

  • ロボット技術を採用し、自動で掃除をしてくれる

点に特徴があります。

以前の掃除機は「ノズルを手に持って動かす」というのが常識でした。
「部屋の掃除をする」という用途は同じでも、以前の掃除機とは機能が全く異なります。
「ルンバ」は「掃除機」を「掃除ロボット」に再定義することによって差別化に成功したのです。

さらに、「ルンバ」は、

  • ノズルがなく、自走式の掃除ロボットであることが一見して明らか

であることから、「戦略③:形状+機能で差別化」を使っているとも言えるし、

  • 「掃除をしてキレイな部屋で過ごしたい」「でも忙しいから掃除をする時間がない」「掃除をするのは面倒くさい」という二律背反の課題を解決している

という点からすると、「戦略④:いいとこ取りで差別化」を使っているとも言えます。

ヒット商品の多くは複数の差別化戦略をうまく組み合わせることで、差別化に成功しているのです。

【事例6-2】「ハリナックスプレス」(コクヨ)

商品名「ハリナックスプレス」
キャッチフレーズ 「穴をあけずにプレスで美綴じ」

引用元:http://www.kokuyo.co.jp/com/press/2014/10/1611.html

2番目の事例はコクヨの「ハリナックスプレス」です。

コクヨは「ハリナックスプレス」の前に「ハリナックス」という商品を世に出しています。

「ハリナックス」は、

  • 紙を綴じるのに針を使わない
  • 紙の撃ち抜き部分を折り込むことで紙を綴じる

という斬新な機能で、従来のステープラー(ホチキス)を再定義した製品でした。

そして、この「ハリナックスプレス」は、更に進化した商品で、紙を撃ち抜くことすらしません。

  • プレスロック方式(金属歯で紙に凸凹をつけて強い力で圧着する)

を採用し、型押しするだけで複数の紙を綴じることができます。

「ハリナックスプレス」はステープラー(ホチキス)を再定義した「ハリナックス」を更に再定義したのです。

まとめ

「商品の再定義で差別化」は

  • 従来の商品とは全く異なる活用シーンをイメージさせることができる
  • 新しもの好きな人、流行に敏感な人(アーリーアダプター)の購買欲をそそることができる
  • アーリーアダプターがその商品を購入すれば他の人達もその商品を買い始め、その商品が普及する

というメリットがあります。

新たな顧客の開拓という意味では非常に魅力のある戦略です。
ぜひ取り組んでみてください!

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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