差別化戦略の類型・そのメリットと事例(戦略⑦:附属品・付帯機能で差別化)

目次

はじめに

下記の記事の中で紹介したヤマダ式「7つの差別化戦略」。

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今日は、いよいよ最後の戦略。
「戦略⑦:附属品・付帯機能で差別化」のメリットと事例を紹介します。 

「戦略⑦:附属品・付帯機能で差別化」のメリット

「附属品・付帯機能で差別化」は、商品の本筋ではない部分、枝葉の部分に付加価値を付けることによって、商品を差別化する戦略です。

  • 「付属品」とは、商品の本体以外の部分・部品
  • 「付帯機能」とは、商品の主たる機能ではない機能

です。

そして、「附属品・付帯機能で差別化」では、

  • 商品の本体以外の部分・部品に工夫を施す
  • 商品の主たる機能ではない、おまけ的な機能を付加する

ことによって、商品を差別化します。

「附属品・付帯機能で差別化」は、

  • 商品自体の価値ではないが、おまけの価値が付き、結果的に商品の価値が上がる

というメリットがあります。

但し、附属品や付帯機能は商品の本質的な部分ではありません。
附属品や付帯機能がなくても商品としては成立します。

そうすると、よっぽど魅力的な附属品・付帯機能でなければ、それを理由にターゲットが商品を買うということはないでしょう。

ターゲットの隠れたニーズや趣味嗜好を十分にリサーチして、ターゲットの心を掴むような附属品、付帯機能を考えることが大事です。

【事例6-1】「Trick Cover」(ニットー)

商品名「Trick Cover」
キャッチフレーズ「無駄にかっこいいヌンチャク系iPhoneケース」

引用元http://www.trickcover.com/

最初の事例は、ニットーの「Trick Cover」です。

「Trick Cover」は、

  • iPhoneを収納する「ケース」の側面にスリット(切り込み)が入っている
  • iPhoneを覆う「カバー」には内向きにピンが立っている
  • 「カバー」のピンは「ケース」のスリットに差し込まれ、ピンとスリットが噛み合っている
  •  「ケース」は「カバー」に連結された状態で、スリットの範囲内で自由にスライドする

という構造になっています。

この構造によって、iPhoneをヌンチャクのように振り回すことができるのです。

文章で説明すると、なんのこっちゃという感じですね(笑)

商品サイトに動画がありますので、こちらをどうぞ。

引用元https://youtu.be/ILltB8bHxeE

どうですか? このヌンチャクアクション。作り手の「遊び心」が感じられる商品ですよね!

スマホケースの本来的な機能は

  • 耐衝撃性(スマホを落としてもスマホが壊れない)
  • 耐傷性(スマホをぶつけてもスマホを傷つけない)
  • デザイン性(スマホの見た目をよくする、自分好みにカスタマイズする)

等です。

ヌンチャクアクションは本来的な機能と殆ど関係ありません。まさに付帯機能です。

しかし、ヌンチャクアクションを「面白い!」「カッコイイ!」と感じた人の一部は「Trick Cover」を購入するのです。

「他人が持っていないモノ」、「今までになかったモノ」、「最先端のモノ」を欲しい・使いたい、使っているところを見て欲しい、という人はいつの時代にもいます。

「Trick Cover」は、そんな人達の心を掴むことで差別化に成功し、ヒット商品になったのです。

【事例7-2】「タタミジョーズ」(王子ネピア)

仕組みの名前「タタミジョーズ」

引用元:実公昭62-7540公報(一部加筆)

2番目の事例は王子ネピアの「タタミジョーズ」です。

「タタミジョーズ」は商品名ではなく、ティシュペーパーのカートン(箱)の仕組みの名称です。

昭和62年に公報が出ていますから、ずいぶん大昔の技術です。
それでも未だに使われている、ということは有用な技術ということですね。

「タタミジョーズ」は、

  • 箱の貼り合わせの部分にミシン目が入っている
  • 箱が空になった後、箱の側面を内側に押し込むと、ミシン目が破れて簡単に箱を解体することができる

という仕組みです。

箱入りティシュを買う目的はティシュです。
ティシュが入っている箱は付属品にすぎません。

それでも、今のようにゴミの分別収集やリサイクルが一般的になると、箱を潰したり、解体するのが面倒だという人も出てきます。
誰でもゴミ捨てに手間をかけたくありませんからね。

そうすると、「タタミジョーズ」のような解体機構を持たない箱に入ったティシュよりは、ゴミ捨てが楽な「タタミジョーズ」を使ったティシュを選ぶという選択をする人もいるはずです。

まとめ

「附属品・付帯機能で差別化」は、

  • 附属品・付帯機能によって、商品に付加価値が付き、商品の価値が上がる

というメリットがあります。

但し、「附属品・付帯機能で差別化」は商品を斜めに見た、変化球的な戦略です。
ターゲットの心をうまく掴めなければ空振りに終わるというリスクもあります。

そのような意味では他の戦略とうまく組み合わせて補助的に使っていくという形がよさそうです。 

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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