ワープロ文書より手書きのメモ。手書きのメモが記憶の扉を開く

クロスリンク特許事務所(銀座・東銀座・新橋)・弁理士のヤマダ(@sweetsbenrishi)です。

目次

はじめに

皆さんは4年前のことをハッキリ覚えていますか?

明確に覚えているという人は少ないと思います。
でも人間は体験したことを脳の何処かに記憶しているそうです。
ただそれを思い出せないだけ。

今日は記憶の扉を開くのに有効なツール「手書きメモ」の効用についてお話をします。

人は4年前のことでもハッキリ覚えている

ことの始まりは先週。前の勤務先のボスから突然こんなメールが届いたことから始まりました。

「ヤマダさんが担当していた特許出願で審査官から拒絶理由が来ていてね。その件の打ち合わせに参加して欲しいんだけど。」

よくよく話を聞いてみると、お客様から、

・その発明の発明者も知財担当者も退職してしまった
・特許出願した当時の状況を説明して欲しい

という依頼があったということでした。それで当時の状況をよく知っているであろう私が呼び出されたわけです。

そうは言っても、退職してしまった事務所の案件。
しかも4年も前の出願です。
当時の細かい事情まで果たして覚えているかというと、あまり自信はありませんでした。

実際、打ち合わせに先立って特許庁のデータベース(J-Platpat)から出願書類を取り寄せて見てみたのですが、出願書類に書いてある以上のことはなかなか思い出せないというのが正直なところでした。

手書きのメモが当時の記憶を鮮やかに蘇らせた

そして、今日がお客様も交えた打ち合わせの日。

少し早めに事務所に入って、当時の資料を見ながら記憶を辿ってみることにしました。
ボスから渡されたその案件の包袋には、私の手書きのメモがたくさんファイルされていました。

・発明品を手書きで書き起こした図面
・発明品の特徴に関する赤ペンや青ペンでの書き込み
・発明者とやり取りした情報のメモ書き

これらは全て自分の頭で理解したことを自分の手で書き起こしたメモです。
自分の筆跡、文字の配置、図面の書きぶり…。
これらをきっかけに徐々に4年前の記憶への扉が開き、当時の記憶が鮮やかに蘇ってきました。

「発明者は実地試験で日本各地を飛び回っているって言ってたな」とか。
「発明者はこの部品のこの部分を工夫したと言っていたよな」とか。
「発明者はこの部分は簡単そうに見えて意外に難しいと説明していたな」とか。

こうして手書きのメモを見ることによって、打ち合わせ前の30分で当時の記憶をハッキリと復元することに成功したのです。

まとめ

自分が実際に書いた手書きのメモには自分の感情の動きがトレースされています。
だからこそ、その感情に紐付けられた記憶が蘇ってくるのです。

このような芸当はキレイにタイプされたワープロ文書では難しいでしょうね。
感情が見えにくいですから。

「打ち合わせ資料はキレイにタイプ打ちして残しておこう」と思いがちです。
でも実際に記憶を呼び起こすトリガーとしては手書きのメモの方が優れています。

せっかく書いた手書きのメモ。捨ててしまっては勿体ないですよ!

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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