AIに仕事を奪われないために磨いておきたい4つの能力|AI時代のサバイバル術

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はじめに

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)所長、弁理士の山田龍也(@sweetsbenrishi)です。

この記事は、「IT(情報技術)」のカテゴリーに属する記事です。
現代のビジネスとは切っても切れないIT(情報技術)やAI(人工知能)をテーマにしています。

今日のテーマは「AI(人工知能)時代のサバイバル術」です。
一瞬でも「AIが普及したら仕事が無くなるかも…(怖)」と思ったことがある人は読んでみてください(笑)

AIに仕事を奪われないために磨いておきたい4つの能力|AI時代のサバイバル術

【1】「AIが普及すると仕事がなくなる!」の根拠・ネタ元

最近、AIが普及すると仕事がなくなる、AIに仕事を奪われる。
そんな話をよく聞きます。

その根拠・ネタ元をいくつかピックアップしてみました。

シンギュラリティ(技術的特異点)

一般には「AIが人間より賢くなる瞬間」と言われています。
2045年頃に訪れると予想されていて「2045年問題」とも呼ばれています。
機械が人間より賢くなる⇒人間の仕事が無くなる、と考えられているわけです。

しかし、シンギュラリティを提唱したレイ・カーツワイルは、2045年よりはるか前の2020年代には「1000ドルのパーソナルコンピュータが人間の知性をエミュレートするために必要なハードウェア性能を持つ」、即ち、AIが人間に追いつくと予想しています。

カーツワイルの言うシンギュラリティは「人間の脳の限界を人間と機械が統合された文明によって超越する瞬間」、「人類の知性と機械の知性(人工知能)との完全なる融合」であり、「AIが人間より賢くなる」のはシンギュラリティに至る通過点なのです(*1)。
この仮説が正しいとすると、2045年より早い段階で人間の仕事がなくなってしまう可能性もありそうです。

雇用の未来

英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が執筆した論文のタイトルです。

この論文には、米国労働省のデータに基づいて、702の職種について今後どれだけコンピューター技術によって自動化されるかを分析した結果が掲載されています。
この結果が「消える職業」、「なくなる職業」として話題になりました。
この論文では、今後10~20年程度で、米国総雇用者の約47%の仕事が自動化される可能性が高い、と結論づけています(*2)。

今後20年の間に、米国に存在する仕事の半分がコンピュータ技術に代替される。
この衝撃的な結論は「仕事がなくなる」の十分な根拠となるでしょう。

エストニア

ヨーロッパ・バルト三国の一つで、人口約131万人の小国です。

しかし、エストニアは「Skype」を産んだIT先進国であり、電子政府化が進んでいます。
「X-Road」というデータベースに国民に関する情報を片っ端から登録することで、国民の預金残高のデータから課税額を自動計算することを可能としてしまいました。
その結果、エストニアでは確定申告が不要となり、税理士と会計士がいなくなってしまったのです(*3)。

税理士・会計士というスペシャリストでさえ、一瞬にして職を失う。
この事実も「仕事がなくなる」という不安を煽るには十分にインパクトのある出来事と言えます。

【2】第三次AIブームのキーワードはディープラーニング

AIは日に日に進歩しています。まずはAIのことを知っておきましょう。

第二次AIブームの主流は「エキスパートシステム」

1980年代に起こった第二次AIブームの主流は「エキスパートシステム」でした。

「エキスパートシステム」は、AIに専門家(人間)の知識を覚え込ませ、その専門家の知識を使ってAIが判断を行うシステムです。

例えば、AIに写真を見せ、そこに写っている動物が猫かどうかを判断させたいとします。
この場合には、まず、人間が猫という動物の定義、猫と他の動物との判別方法などを作り、それをAIに覚え込ませます。
すると、AIは人間が作った定義に一致する動物を猫と判断し、一致しなければ猫以外の動物と判断します。

あくまで人間の知識をベースとし、人間の考えた判断基準に沿ってAIが判断する。
これがエキスパートシステムです。

第三次AIブームのキーワードは「ディープラーニング(深層学習)」

今は第三次AIブームと呼ばれています。

第三次AIブームのキーワードは「ディープラーニング(深層学習)」です。
「ディープラーニング」は人間の脳の仕組みを模倣して作られたニューラルネットワーク(神経回路)を何層か用意しておき、一層目のニューラルネットワークに情報を処理させ、その処理結果を二層目のニューラルネットワークで更に処理させる、という操作を何度か繰り返す(階層的な処理を行う)ことで、AIに複雑な情報処理をさせる方法です(*4)。

「ディープラーニング」によれば、人間が定義や判断基準を用意する必要がありません。
AIが大量のデータを処理する中で、自ら定義や判断基準を構築し、人間の知識を使わずに判断を行うことができるようになります。
例えば、AIに猫の画像データをひたすら見せ続けると、AIが「猫はこんな動物だ」という定義や判断基準を構築します。
この定義や判断基準は人間が考えるものとは全く別ものです。
AIは自ら構築した定義や判断基準に基づいて、画像中の動物が猫かどうかを判断するわけです。

ビッグデータを利用することができる環境が整い、コンピュータの処理速度が爆発的に向上したことで、このような方法が可能となったのです。

【3】AIに仕事を奪われないために磨いておきたい4つの能力

万能に見えるAIですが、苦手な分野だってあるはずです。

だとすると、AIが苦手なことをできる人間、得意な人間になっておけば、AIに仕事を奪われずに済むわけです。

ヤマダは以下の4つの能力を磨いておけば、この過酷なAI時代も生き残っていけると考えています。

クリエイティビティ(創造性)

AIは現在存在しているデータをフィードバックすることを本質としています。

そうであるとすると、データが存在しなければ、AIはその能力を発揮することができません。
AIは今までにデータがないものは苦手なのです。

それならば、過去にないものを新たに創り出すクリエイティビティ(創造性)を磨いておけば、AI時代を生き残っていく一つの強みになるはずです。

例えば、発明は「既知の要素の未知の組合せ」と言われています。
今までにある技術を今までにはない形で組み合わせて新しいものを創り出す。
そんな能力を持つ人であれば、AI時代でも貴重な人材として重宝されるでしょう。

コミュニケーション能力

AIは定型的な処理は得意です。
一方、状況に応じたきめ細かな対応は苦手なのではないでしょうか?

例えば、ホテルの受付業務をロボットで代替することは可能だとしても、人間の行うそれとは明らかに違うはずです。
相手の様子を伺い、その様子に応じて繊細な対応を行うのは人間ならではの能力だからです。

コミュニケーション能力を磨いておくことは、AI時代を生き残っていくために役に立ちそうです。

直感

AIは過去のデータを分析することが得意です。
膨大なデータから傾向を割り出し、適格な判断をすることができます。

何手も先を読むことができる、普通の人にはない特殊能力を持った将棋の棋士がAIに負けてしまう。
これは、過去の膨大な棋譜を解析し、状況に応じた手を探し出すという点ではAIの方が棋士よりずっと優れているからです。

しかし、AIは従来のデータから割り出された傾向とは全く異なる行動をとる人に対応するのは苦手です。
直感を活かし、過去のデータからは導き出せない妙手を繰り出してくる天才肌の棋士であれば、AIに勝てるかもしれません。

理屈では割り切れない直感力。これを鍛えておくこともAI時代を生き抜く術の一つになるでしょう。

イレギュラーな事象への対応力

AIは大量のデータから一般的な傾向を導き出すのは得意ですが、例外を拾い出すのは得意ではありません。
AIはイレギュラーな事象は苦手なのです。

先程、猫の画像解析の話をしました。
AIが猫を判別することができるのは、大量の猫の画像データから猫の一般的な傾向を導き出しているからです。
では、仮に「極めて犬っぽい猫」がいた時に、AIはそれを「猫」と判別することができるでしょうか?
なかなか難しいでしょうね。

微妙な差異を敏感に感じ取れる力。
その差異に応じて、適格な対応をすることができる対応力。

これらの力を磨いておくことによって、過酷なAI時代も必ずや生き残っていけるものと考えています。

まとめ

AI時代のサバイバル術、いかがでしたか?

これからの過酷なAI時代を生き残っていくために、

● クリエイティビティ(創造性)
● コミュニケーション能力
● 直感
● イレギュラーな事象への対応力

の4つの能力を鍛えていきましょう!

参考サイト

(*1)技術的特異点|Wikipedia

(*2)金融×IT対談(Financial Information Technology Focus 2016.3)

3)クラウドが描く未来。東欧の小国エストニアから税理士が消えたわけ|MFクラウド公式ブログ
4)ディープラーニングは何が「ディープ」なのか グーグルに学ぶディープラーニング(上)|日経ビッグデータ

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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