商品開発のヒント|新商品・新規事業の作り方|事例:UHA味覚糖「プロドレ」

目次

商品開発のヒント|はじめに

飴・キャンディーでおなじみのUHA味覚糖が「プロドレ」という全く新しいタイプのダイエットドレッシングを開発したことが話題になっています。

今日はUHA味覚糖「プロドレ」の企画・開発を題材に、新商品・新規事業の作り方を考えていきます。

商品開発のヒント|UHA味覚糖「プロドレ」とは?

UHA味覚糖「プロドレ」はタンパク質を主成分とする新しいタイプのドレッシングです。
オイルを主成分とする通常のドレッシング、オイルをカットしたノンオイルドレッシングに続く「第三のドレッシング」とも言われています。

ダイエットのために野菜サラダを食べる人が増えています。
でも、通常のドレッシングには脂質が多く含まれていてダイエットには不向き。
ノンオイルドレッシングも脂質はカットされているものの、意外に糖質が多く含まれています。
オイルをカットするとコクがなくなるため、それを補うためにブドウ糖などの糖質が添加されているからです。

一方、「プロドレ」に脂質は含まれておらず、糖質も2%未満、タンパク質は40%以上。
脂質ゼロ、糖質わずか、タンパク質豊富な「プロドレ」はダイエットやボディメイクに適したドレッシングとして期待されているのです(*1)。

商品開発のヒント|UHA味覚糖が一見、畑違いのドレッシングを作った理由

UHA味覚糖といえば、飴やキャンディーが主力商品。お菓子の会社というイメージです。

同じ「食」に関する商品ではあるものの、ドレッシングはかなり畑違いのように見えます。
何故、UHA味覚糖は畑違いのドレッシングを企画・開発したのでしょうか?
ざっくり言えば、今回のドレッシングの主成分となるタンパク質について、素材とノウハウを持っていたからです。

UHA味覚糖の商品の中にはグミがあります。
グミはゼラチンを味付けしたもの。
ゼラチンはタンパク質の一種です。
このタンパク質をドレッシングに使ったわけです。

「プロドレ」にはゼラチンの分解物であるコラーゲンペプチド(アミノ酸がいくつか繋がったもの)が使われています。
ドレッシングの主成分とするためにはタンパク質のような大きい分子のままではダメで、ペプチドのような小さい分子に分解した上で加える必要があるのです。

但し、コラーゲンペプチドには固有の苦味があります。
そのままではドレッシングに使えません。
ここで、UHA味覚糖はグミの製造で蓄積してきたノウハウを利用しました。

ゼラチンやコラーゲンの苦味や臭みを消し、さまざまなフレーバーのグミを製造してきたノウハウを転用したのです。
これがUHA味覚糖の強みです。
仮に他社がタンパク質やコラーゲンペプチドをドレッシングに使うことを思いついたとしても、この部分をクリアするのは一朝一夕にはいきません。

長年蓄積してきたタンパク質を扱うノウハウ。
これが他社に対する強力なアドバンテージとなるのです。

商品開発のヒント|新商品・新規事業を作るときのポイント

「プロドレ」を例に、新商品や新規事業を作るときのポイントをまとめてみます。

新商品・新規事業を作るときのポイント①|素材やノウハウを持っていること

新商品や新規事業を作るときに、何もない真っさらの状態から始めるのはかなりのリスクを伴います。

自分達が蓄積してきた素材やノウハウを別の用途で使えないかと考えること(用途開発)が失敗しにくいやり方です。
自分達の得意な部分・アドバンテージを活かして新しい商品や事業を作るということです。

この点、UHA味覚糖は自分達が蓄積してきたタンパク質に関する知見をうまく活かして「プロドレ」を開発したといえます。

新商品・新規事業を作るときのポイント②|従来の商品と差別化されていること

素材やノウハウを活かした商品を開発しても、従来の商品と差別化されていないと、多数の商品群の中に埋没してしまいます。エッヂの効いた商品を企画することが大事です。

「プロドレ」はタンパク質を主成分にしたドレッシングという点で意外性・驚きがあり、脂質ゼロ、糖質わずかという点で、使った時のメリットも非常に解りやすい。

商品としてのインパクトがあります。従来のオイルドレッシングともノンオイルドレッシングとも異なる、第三のドレッシングとしてうまく差別化することができているといえるでしょう。

新商品・新規事業を作るときのポイント③|時流に合っていること

新商品や新規事業が時流に合っていることは成功の追い風となります。

今は低糖質ダイエットがブームです。
低糖質ダイエットでは脂質や糖質に代えてタンパク質を摂取することを推奨しています。
「プロドレ」は、そんな低糖質ダイエットの考え方にピッタリとマッチした商品で、ダイエッターから絶大な支持を受ける可能性があります。

また、UHA味覚糖は「プロドレ」に関し、クラウドファンディングによる資金調達も行っています(*2)。
目標金額は75万円と少額ですが、インターネット上で話題を提供することができ、商品の広告・宣伝や情報拡散には有効です。
この辺りも最近の時流に合ったやり方を取り入れているといえます。

商品開発のヒント|まとめ

いかがでしたか?

新商品や新規事業を作るときのポイントは、

  • 素材やノウハウを持っていること
  • 従来の商品と差別化されていること
  • 時流に合っていること

です。

UHA味覚糖のユニークなアプローチ、「プロドレ」をお手本に、素晴らしい新商品や新規事業を考えていきましょう!

参考サイト

(*1)脂質ゼロで高タンパク 味覚糖がドレッシング作る理由|日経トレンディネット

日本経済新聞
脂質ゼロで高タンパク 味覚糖がドレッシング作る理由 - 日本経済新聞 脂質ゼロ、糖質はわずか2%未満。その一方でタンパク質(プロテイン)が50%近くという前代未聞のドレッシングをUHA味覚糖が開発している。それが、クラウドファンディングの...

(*2)前菜のサラダにかけるだけ!簡単プロテインダイエット「プロドレ」|Makuake

Makuake(マクアケ)
Makuake|前菜のサラダにかけるだけ!簡単プロテインダイエット「プロドレ」|Makuake(マクアケ) こんなドレッシングを待っていた!!! プロドレは、固形分の90%以上がプロテインでできた、ダイエット・筋肉専用ノンオイルドレッシングです。 ドレッシングはノンオ...
山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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