商品開発のヒント|ヒット商品を作る3つの極意|事例:カシオ「G-SHOCK」

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商品開発のヒント|はじめに

「G-SHOCK」はカシオが開発した腕時計です。

1983年4月に発売されて以来、世界累計で1億個が出荷される大ヒット商品となりました。

 

 

従来の腕時計というと、

  • 精密機械であるが故に壊れやすい
  • 腕に付けた時にじゃまにならない薄型が好まれる
  • 主なユーザーはビジネスマン

といったイメージではないでしょうか?

 

しかし、「G-SHOCK」は、

  • 耐衝撃性に優れ、とにかく頑丈
  • ゴツいデザイン
  • 軍人やスケートボーダー等、激しい動作をする人にファンが多い

と、従来の腕時計とは一線を画した、今までにはなかったタイプの腕時計です。

商品開発のヒント|ヒット商品を作る3つの極意

「G-SHOCK」の商品企画や開発の過程にはヒット商品を作るヒントがあるはずです。
こういう成功例をつぶさに分析することが大事です。

ヤマダは以下の3点がポイントではないかと考えています。

ヒット商品を作る3つの極意。
順に紹介していきましょう。

ヒット商品を作る3つの極意①: 明確なターゲット

「G-SHOCK」を開発した伊部氏の中には明確なターゲットがあったそうです。
それは工事現場の作業員。

先程の記事で伊部氏はこんなことを言っています。

実験をしていたころ、道路工事の現場を見たら、作業している人たちが全員、腕時計をしていなかったんです。
壊れるからでしょうが、屋外で時間がわからないのは不便だろうなと思いました。
だから、その人たちに使ってもらえる丈夫な時計を作ろう、と思っていました

 

工事現場の作業員に壊れ難い丈夫な時計を届けたい。
そんな強い思いが「G-SHOCK」を生み出したと言えるでしょう。

ヒット商品を作るには、

  • 商品のターゲット(見込みユーザー)を明確にすること
  • そのターゲットが抱く従来品への不満を見つけ出すこと
  • 彼らの持つ不満を解決する商品を企画し開発すること

が大事なのです。

ヒット商品を作る3つの極意②: 技術常識を覆すコンセプト

従来の腕時計は、

  • 精密機械
  • 壊れやすいもの
  • 乱暴に扱ってはいけないもの

というのが常識でした。

 

そんな中、伊部氏が提出した提案書には、

  • 落としても壊れない丈夫な時計

という、それまでの技術常識を覆すコンセプトが記載されていました。

従来の技術常識に縛られず、ユーザーの利便性を追求する姿勢。
これこそが優れた商品を産み出す源泉となっているのです。

ヒット商品を作る3つの極意③: 地道な検証の積み重ね

伊部氏は「落としても壊れない丈夫な時計」を作るため、時計に緩衝材のゴムを貼り付け、3階の窓から落下させるという実験を何度となく繰り返しました。

時計が壊れてしまったら貼り付けるゴムを1枚増やす。
そんな作業を繰り返すうち、試作品の時計はソフトボール大まで膨れ上がったそうです。

色々と試してはみるものの、どうにもうまくいかない。
落下の衝撃による電子部品の破損を防ぐことができない。

そんな状況の中、訪れた実験最終日。
公園で女の子がゴムボールをついている姿をぼーっと見ていた時に、伊部氏の頭の中に、

女の子がつくボールの動き ⇒ 時計の落下実験 ⇒ ボールの中に浮かぶ時計の心臓部

というイメージが閃きました。

この時、時計ケースの内部に時計の心臓部を宙吊り状態で固定し、外部からの衝撃を伝わり難くする、という「G-SHOCK」の基本構造のアイデアが完成したのです。

このような閃きは、伊部氏がおびただしい数の試作を繰り返していなければ生まれなかったでしょう。
伊部氏の地道な検証の繰り返しが従来にはない斬新なアイデアを生み出したのです。

まとめ

以上説明したように、ヒット商品を作る3つの極意は、

  • 明確なターゲット
  • 技術常識を覆すコンセプト
  • 地道な検証の積み重ね

です。

まず、その商品を届ける相手(ターゲット)を絞り込む。
次にそのターゲットが従来品に抱いている不満を解消することができるコンセプトを定める。
そして、ひたすら試作や実験を繰り返して、そのコンセプトを実現するアイデアを作り上げる。

これこそがヒット商品を作り出す秘訣なのです。

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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