弁理士試験論文式筆記試験(必須科目)を振り返る。困ったときの対処法

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)の代表弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。

7月1日(なんと弁理士の日!)に弁理士試験の二次試験、論文式筆記試験(必須科目)が行われました。この試験は弁理士試験の最大の山場です。

ヤマダがこの試験に合格したのは平成20年。もう10年も前のことです。

今日は、この論文式筆記試験(必須科目)について振り返ってみたいと思います。

目次

続出するトラブル、ハプニング、アクシデント…

平成20年6月29日(日)。

その日は雨が降っていました。
試験会場は白金台にある明治学院大学のキャンパスでした。

この日は朝からお腹の調子が良くありませんでした。

会場に向かう電車の中で腹痛が始まり、会場に着くまでに何度も駅のトイレに駆け込む始末。
冷や汗をかきながら、何とか会場に辿り着きました。

試験前には、PHSがスリープモードにならない不具合が発生。
電源ボタンも機能せず、電源を切ることもできません。
万が一、試験中にベルが鳴ったら迷惑をかけてしまいます。

仕方なく、試験直前にPHSを試験官に預ける手続きをとりました。
こういうイレギュラーな行動は神経をすり減らします。

今、考えてみると電池を外してしまえばよかったのかもしれません。
冷静さを欠いていたんでしょうね。

アクシデントはこれで終わりではありませんでした。

1科目目の特許・実用新案法の時間に最大のアクシデントが起こってしまったのです。

アクシデントを乗り切る対処法は冷静さを取り戻すこと

試験開始前、1科目目の特許・実用新案法が最大の難関になるだろうと考えていました。

特許・実用新案法は、120分の間に論文問題を2問解答しなければいけません。

ヤマダは、書くスピードが遅く、あまりたくさんの文章を書けないという弱点がありました。
それをカバーするために、出題者の意図を正確に把握し、ピンポイントの解答を導き出し、コンパクトな記載で効率よく書き、逃げ切るという戦略を立てていました。

ところが、その戦略を根底から崩壊させるようなアクシデントが起きてしまったのです。

第1問と第2問の問題の内容にざっと目を通し、比較的書きやすそうだった第2問から解くことに決めました。
しかし、あろうことか解答用紙を取り違えてしまい、第1問用の解答用紙に第2問の解答を書き始めてしまったのです。

解答用紙の取り違えに気がついたのは、A4 4枚分の解答用紙のうち、1枚目をほぼ書き終わった後。心臓が止まったかと思いました。
全身から汗が吹き出してきて、体温がすーっと下がっていくのを感じました。

こういうアクシデントが起きたときの対処法はただ一つ。
冷静さを取り戻すことです。

既に書き終わった文章を削除して書き直すか?

いや、それをやったら時間が足らなくなる。間に合わない!

ヤマダはここで静かに挙手し、監督官に試験用紙を取り違えてしまったことを説明しました。

すると、監督官から、

解答用紙の「第1問」の表示を「第2問」に修正し、そのまま書き進めなさい。

という指示が出て、難を逃れることができたのです。

難問や苦手な問題への対処法は自滅を防ぐこと

この年は、かなり毛色の変わった問題、過去問対策だけでは乗り切れない難問が多数出題されました。

特許・実用新案法では「意匠から実用新案への出願変更」という、かなりマニアックなテーマが出題されたり、商標法では「小問が7問」という、今まで見たことのない形式の問題が出たり。

こういうときでも、

他の受験生も困ってるだろうなぁ。

と思うと、意外に落ち着けるものです。
初見の問題なのは自分だけではないんですから。

そうは言っても、書くスピードが遅いという致命的な弱点があるヤマダにとっては、商標法の「小問が7問」という形式の問題はかなりの難題でした。

ここで考えたのは、

何としても7問全てについて回答しなければならない。
前半の問題で書きすぎたら、最後の問題までたどり着けない!

ということでした。

そこで、1問に対する記載量を極力押さえるという作戦で臨み、何とか第7問までたどり着くことができたのです。

難問や苦手な問題が出てしまったときに大事なのは、いかに自滅を防ぐかということです。

できないものはできないんですから、落ち着いて自分にできることを最大限やるしかないんです。
得点を取りに行かずに失点を防ぐ。

逆に、パニックに陥って訳のわからないことを書いてしまったらアウトです。
「他の受験生も大して書けないだろう」くらいの開き直りが必要ですね(笑)

まとめ

特許・実用新案法120分、意匠法90分、商標法90分。
回らない頭をフル回転させ、論文を書きまくりました。

終わったときには性も根も尽き果てて、地下にある学生ホールの暗い空間の中、ぐったりとへたりこんだまま、動くことができなかったのを覚えています。

本当にトラブル、ハプニング、アクシデントの連続で、普段の自分であれば、途中で気持ちがブツっと切れてしまってもおかしくありませんでした。

それでも、何故かこの時は最後まで集中力が切れなかったんですよね。
最低限、その時、自分にできることはした、これでダメなら仕方ないという感覚を持つことができました。

試験のときに急に実力が上がるわけではありません。
それまでに積み上げてきたものをどれだけ出せるかの勝負だと思います。

7月後半には、二次試験・選択科目も控えています。
最後まで全力で、決して諦めず頑張ってください。
そうすれば、必ず結果はついてくるはずです。

祈・合格!

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