知財ニュースを弁理士が解説!(2018年9月第2週)

クロスリンク特許事務所(銀座・東銀座・新橋)・弁理士のヤマダです。

はじめに

今週の話題は、

● ダンロップ
● Appleはクリエイティブじゃない?
● iPhone Xs Max
● LIP THE COLOR
● 「COACH」と「高知」?
● 「一蘭」もどき
● 特許庁長官が商標権者に

などです!

知財ニュースを弁理士が解説!(2018年9月第2週)

知的財産やものづくり、ブランドづくりに関するニュースの中からヤマダが独断と偏見でチョイスしたニュースをざっくり解説する「知財ニュースを弁理士が解説!」。

● 技術<特許・実用新案>、デザイン<意匠>、著作物、商品企画等、ものづくりに関するニュース
● ブランド<商標>、不正競争等;ブランドづくりに関するニュース
● その他の気になったニュース

をまとめています。今週も行ってみましょう!

(1)ブランドづくり は一点突破してから拡げる|商標、ブランドづくり

元記事:住友ゴム工業、テニスを通じたダンロップブランド価値向上の取り組みを発表|ゴム報知新聞

 

「ブランドづくり」はブランドの認知度を上げること、と言っていいでしょう。

その会社で売上や生産量がNo.1の製品であっても一般の方がそれを知っているとは限りません。

まず、誰もが知っている製品を切り込み隊長としてブランドの認知度を上げていく。一点突破です。

そうすると、「テニスラケットで有名なダンロップはタイヤも作っているんだ!」ということになって、テニス分野で獲得した認知度や信用をタイヤにも波及させていくことができるのです。

(2)中小企業は特許の数ではなく戦略で勝負|特許、ものづくり

元記事:「最もクリエイティブな企業」でAppleがまさかの11位~不公平との指摘も|iPhone Mania

 

特許の取得数と技術力や創造性が正比例の関係にあるわけではありません。

その会社の経営戦略、知的財産戦略、特許のために割く予算の規模…。色々な要素が絡んでいます。

特に中小企業の場合、大企業のような資金力はありません。多数の特許で技術を囲い込むような戦略を採るのは現実的ではないでしょう。

どの技術について特許を取るのか、どんな形で特許を取るのか、技術面ではなくマーケティングやブランディングの面から特許を取る必要はないか(技術ブランディング)、特許を取るのではなく技術ノウハウを社内に蓄積する方がよいのではないか(クローズ戦略)等、戦略を駆使することが必要となります。

(3)名前はブランドイメージを作る|ブランドづくり

元記事:「iPhone Xs Max」なんて名前はガッカリだ
慎重にブランディングしてきたはずなのに…|東洋経済ONLINE

 

「Appleらしさ」と言えば、「時代の先端」、「クリエイティブ」、「スタイリッシュ」等のワードが思い浮かびます。

しかし、「iPhone Xs Max」は、そういう「Appleらしさ」が微塵も感じられない残念なネーミングとなってしまいました。

ブランド戦略には一貫性が必要です。

企業名、ブランド名、商品名…。これらの全てから、ブランドの理念、ミッション、メッセージが等しく伝わるようなネーミングを心がけましょう。

(4)常識から離れる|ものづくり

元記事:橋本環奈のポスターが目を引く色つきリップ以上口紅未満、皮膚の角層を染める『LIP THE COLOR(リップザカラー)』を使ってみた!|おためし新商品ナビ

 

人は知らず知らずのうちに常識に流されています。自分では画期的な新技術だと思っても、実は従来の技術の延長線上にある、ただの改良技術にすぎないケースがよくあります。

技術的なブレイクスルーを起こしたければ、一旦、その技術の常識から離れましょう。技術を客観視し、その製品で得たい機能、得たい効果が何か、ということを根本から見つめ直してみましょう。

口紅は女性の唇に色を付けるものではなく、女性の唇を美しく見せるためのものと考えれば、新しい技術が生まれる可能性があるのです。

(5)地名の商標登録は難しい|商標、ブランドづくり

元記事:「COACH」じゃなくて「高知」ブランドに注目あつまる…商標登録は認められる?|弁護士ドットコムNEWS

 

「COACH」に引っ掛けて「高知」。ダジャレです(笑)

ただ、「高知」等の地名はみんなのもの。誰か一人に独占させるべきものではありません。このため、地名については誰でも自由に使えるように、個人から地名に関する商標が出願されても登録を認めずあえて空けておく、というのが特許庁の考えなのです。

「フランク三浦」が本家「フランク・ミュラー」からの商標登録無効の訴えを退けた事件を見て、「あー。こういうのでも認められるんだ!」と思った人は多いでしょう。その後、今回の「高知」のようなパロディ商標が多数出願されたことは容易に想像することができます。

でも、商標には登録を受けるための条件がいくつも決められています。素人考えで商標を出願する前に、商標の専門家である弁理士のアドバイスを仰ぎましょう。

 

「高知」の商標登録出願はこちら。商願2017-162030「高知」

「フランク三浦」事件に関する記事はこちら。

(6)他人の信用に只乗りしてもブランド は作れない|商標、ブランドづくり

元記事:
店はソックリ、味は「全く…」 人気ラーメン店の”パクリ”店舗に本家困惑!|FNN PRIME

 

世の中で「パクリ」と言われるものに色々な種類があります。

① 模倣品・海賊版のような丸パクリ(偽ブランドバッグ等)
② よく見ると違うけど、本家と紛らわしいもの(「コメダ珈琲店」の店舗外観・内装を真似した「マサキ珈琲」等)
③ 明らかにダジャレ・パロディとわかるもの(前記の「フランク三浦」、「adidas」のパロディ「adides」<鯵です。三枚の葉っぱが鯵の図柄になっている>等)

①丸パクリがダメなのは勿論ですが、②や③も他人の信用に乗っかって商売をしようとするもの。商標を登録できるか、商標権侵害になるかどうかは別にして、あまり褒められたものではありません。

自分のブランドを作りたいなら、他人からの借り物ではなく、自分の個性、独自性を打ち出すようにしましょう。

(7)特許庁長官、初めて商標権者となる|その他

元記事:特許庁、初めて自ら商標権取得 担当者「極めて例外的な措置です」|神戸新聞

 

特許庁も商標が必要となるケースはあると思います。ただ、自分の出願を自分で審査するというのはどうなんでしょうね。

弁理士ブロガーのアッカー先生が、商標権を持てるのは自然人(個人)か法人だから、「特許庁長官」が商標権者というのはおかしいのではないか?という指摘をしていました。「特許庁長官」は単なる役職名ですからね。ご尤も…。

この商標登録はちょっと物議を醸すかもしれませんね。

 

商標登録6036291号。カラー版。権利者は「特許庁長官」となっています。

商標登録6036292号。商標登録6036291号と同じロゴマークのモノクロ版。

まとめ

今週はものづくりやブランドづくりの戦略に関する事例が多かったように感じました。

知財も闇雲に取り組むだけでは成果はで期待できません。何をやるにも大事なのは戦略。ぜひ参考にしてみてください!

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「知財ニュースを弁理士が解説!」の過去記事はこちら。

 

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プロフィール

山田 龍也(やまだ たつや)
山田 龍也(やまだ たつや)
ものづくりとブランドづくりの専門家/弁理士/ブロガー。
中小製造業のものづくり、個人事業主のブランドづくりを支援中。
特許・実用新案・意匠・商標の権利取得手続; 知財戦略・商品の差別化戦略の立案; 商品の企画・開発に関するアドバイス; 情報発信を用いたブランディング・マーケティング; が得意。