知財ニュースを弁理士が解説!(2018年9月第4週)

目次

はじめに

今週の話題は、

● 美脚サンダル
● サカナイフ
● 伝統工芸・博多織の生き残り策
● WORKMAN Plus
● ビストロボス
● 二酸化塩素でプラスチックと金属をくっつける
● ユニクロの「無縫製ニット」

などです!

知財ニュースを弁理士が解説!(2018年9月第4週)

知的財産やものづくり、ブランドづくりに関するニュースの中からヤマダが独断と偏見でチョイスしたニュースをざっくり解説する「知財ニュースを弁理士が解説!」。

● 技術<特許・実用新案>、デザイン<意匠>、著作物、商品企画等、ものづくりに関するニュース
● ブランド<商標>、不正競争等;ブランドづくりに関するニュース
● その他の気になったニュース

をまとめています。今週も行ってみましょう!

(1)強みを活かして異分野の商品を開発する|ものづくり、商品企画

元記事:ダンス用品メーカーが開発!美脚サンダル『goopo(グーポ)』を履くだけでシェイプアップは本当か!?|おためし新商品ナビ

自分の強みは、今、自分がビジネスを展開している業界限定の強みなのか? もしかしたら、他の業界でも通用するのではないか?

新規事業を開拓するにはこのような視点が必要になります。

バレエ・ダンス用品メーカーのチャコットは、体軸を意識させ、下半身の筋力アップを図り、美しい姿勢を保つという他の靴メーカーにはないコンセプトで美脚サンダル「goopo(グーポ)」を開発しました。

ダンス用品のメーカーには、ダンサーが求める機能に関するノウハウが蓄積されています。例えば、動きやすい、激しい動きをしても壊れにくい、姿勢やポーズがを美しく見える、華やかさを演出する等など。

これらはダンス用品の世界では当たり前でも、他の業界では当たり前とは限りません。そのアドバンテージを活かすことで、全く新しい分野に参入しても勝てる可能性が出てくるわけです。

(2)「●●したいけど面倒臭い」を解決する商品は売れる|ものづくり、商品企画

元記事:伝説のレーシングカーデザイナーがつくる【サカナイフ専用ケース】と新色サカナイフ|Makuake

ユーザーアンケートの通りのものを作ったのに思ったほど売れなかったということはありませんか?

作り手でないユーザーの想像力の範囲はせいぜい現行品の延長線上、現行の改良品に留まり、画期的な発想というのは出てこないからです。そのような製品は現行品よりは良くなっているのでしょうが、大した驚き、インパクトはなく、ヒットには繋がりません。

まずは現行品のユーザーの不満を拾うこと。そして、その不満を解消する新しい形の製品を提案することが大事です。

(3)創れて売れれば生き残れる|ものづくり

元記事:伝統工芸の生き残りをかけたブランディング 岡野、海外ブランドの歴史から得たヒントとは|ニュースイッチ

昔の製造業はただ良いものを作っていれば良かった。それでも製品は売れた。

でも、今はそうはいきません。

業界での成功者をロールモデルにし、ユーザーと向き合う。新しい製品を提案する、製品の良さをアピールする、従来とは異なる売り方を模索する。そんな取り組みが必要です。老舗の暖簾や職人の腕の良さにすがるだけでは生き残って行けないのです。

(4)販売チャネルを変えて新規顧客を獲得する|ものづくり、販路開拓

元記事:激安の機能性ウエアが武器 作業服大手が一般市場進出|日経トレンディ

同じ商品でも売る場所を変えると、新たな顧客を獲得することができる場合があります。

最近は、他の人が持っていない「自分だけのオリジナル」、「こだわりの一品」、「プロ仕様の特注品」を持ちたい人が増えています。

作業着のように特定のターゲットを顧客にしていたニッチな商品を、都市部の大型商業施設のような人目に触れる場所に置く、手の届きやすい場所に置く。そうすることで、一般の人にも市場が広がる可能性があるのです。

(5)将来の事業展開も考慮してブランド を作る|商標、ブランドづくり

元記事:あなたの新たな相棒『ビストロボス コク旨い、粒たっぷりコーンスープ / 玉ねぎとビーフの旨み、スパイシーコンソメスープ』新登場!|おためし新商品ナビ

スターバックスは当初のロゴに入っていた「STARBACKS COFFEE」の文字を削除しました。コーヒー以外のものも売るようになって、「COFFEE」の文字がじゃまになってしまったわけです。

特定の商品やサービスを直接連想させるような名称をブランド化してしまうと、商品やサービスのラインナップが広がったときに今一歩しっくりこないということになりかねません。

だから、ブランドを作るときにはその時に実際に行っている事業だけでなく、将来的に行うであろう事業も頭に入れておくことが大事です。

(6)開発した技術に別の使い道がないか考える|ものづくり、新規事業

元記事:
プラスチックの表面酸化で金属と接着、メッキなどに応用へ|ニュースイッチ

この技術では「二酸化塩素」がキー化合物になっています。ここの研究室は「二酸化塩素」のことを誰よりもよく知っているわけです。

そうであれば、この「二酸化塩素」を他の用途でも使えないか、もっと付加価値の高い使い方はないか、社会的に大きな問題を解決することはできないか…。

色々と知恵を巡らせることで、「二酸化塩素」を使った様々な技術を開発することができます。あなたの会社の独自技術も、まだまだ隠れた使い道があるはずです。掘り起こしてみましょう!

(7)時流に乗れば技術が活きる|ものづくり

元記事:ユニクロ「無縫製ニット」を支える黒子の正体 島精機はアパレル業界の構造を変えられるか|東洋経済ONLINE

ここで紹介したホールガーメントの技術。花が開くまでにかなりの時間を要しています。

前身となる全自動手袋編機が開発されたのが1964年。ホールガーメントの初号機が開発されたのが1995年。3-4倍の高速化を達成し、実用ベースに乗ったのが2015年。

一つの技術を突き詰めていたら、そこに漸く時代が追いついた。

時代に合わなかったとお蔵入りになっている技術の中にお宝が埋もれているかもしれませんよ。

まとめ

今週は、せっかく開発した独自技術の別の使い道を考える(用途展開)の話を中心にお送りしました。

一つの分野で突き抜けた技術であれば、他の分野でも突き抜けられる可能性があるはずです。他の業界でその技術を欲しがっている人がいないか探してみてください!

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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