知財ニュースを弁理士が解説!(2018年10月第1週)

クロスリンク特許事務所(銀座・東銀座・新橋)・弁理士のヤマダです。

はじめに

今週の話題は、

● 任天堂vsマリカー
● ライオン「トップ ハレタ!」
● ファミマの色商標
● JR西日本・車椅子用乗降装置
● 高級コードレス掃除機
● 「とんぐばし」
● シリコン耳かき「耳かきスト」

などです!

知財ニュースを弁理士が解説!(2018年10月第1週)

知的財産やものづくり、ブランドづくりに関するニュースの中からヤマダが独断と偏見でチョイスしたニュースをざっくり解説する「知財ニュースを弁理士が解説!」。

● 技術<特許・実用新案>、デザイン<意匠>、著作物、商品企画等、ものづくりに関するニュース
● ブランド<商標>、不正競争等;ブランドづくりに関するニュース
● その他の気になったニュース

をまとめています。今週も行ってみましょう!

(1)大事なのは争いを避けること|ブランドづくり、商標・不正競争

元記事:速報: 任天堂がマリカーに勝訴。コス貸与禁止や損害賠償金支払い命じる地裁判決|engadget 日本版

 

商標登録をする理由の一つは「争いを避ける」ということです。

ブランドについて独占権を持っている、それを世の中に示すことで、第三者はそのブランドを無断で使用する行為(侵害行為)をし難くなります。侵害行為の抑止力として機能するということです。

しかし、商標登録された「ブランド」がその会社の独自のものとは言い難く、他の会社を連想させるような紛らわしいものだったらどうでしょうか? その商標登録が争いの元となってしまうことだってあるのです。

今回のケースでは、マリカー側(MARIモビリティ開発)は、乗物・自動車の貸与について商標「マリカー」を登録していました。しかし、裁判所はマリカー側の行為が不正競争行為であるとして、任天堂キャラクターのコスチュームを貸与すること等を禁止し、損害賠償金を支払うよう命じています。

中小企業の場合、このようなトラブルは会社にとって致命的なダメージとなりかねません。大事なのは、商標登録をできるか否か、商標権の侵害に該当するか否かだけではなく、「如何に争いを生じさせないか」なのです。

(2)対症療法ではなく、原因療法の商品を作る|ものづくり、商品企画

元記事:使い込んだタオルの弾力が復活 部屋干しでもカラッと|NIKKEI STYLE

 

病気の対応策には、個々の症状を抑える対症療法と、病気の原因を叩いて根治を目指す原因療法があります。ものづくりで言えば、悪臭対策として、芳香剤を使うのは対症療法、悪臭の原因物質を分解するのが原因療法です。

対症療法はその場しのぎになりやすく、根本的な解決策とはなりません。「問題が生じているそもそもの原因は何か?」と考えることで、新しい商品のアイデアが浮かんでくるのです。

(3)企業イメージを色で表す|ブランドづくり、商標

元記事:緑・白・青のファミマカラー、「色だけ商標」登録|財経新聞

 

お店の名前を覚えていなくても、お店の独特のカラーリングは覚えている。そんな事はありませんか?

文字よりも色の方が印象に残りやすく、覚えやすいのです。銀行だったら、赤は三菱UFJ、青はみずほ、緑と黄緑のツートンなら三井住友。赤い靴底(レッドソール)なら、クリスチャン・ルブタン。このように印象に残りやすい色をブランドづくりにも活かせれば強力な武器となります。

色商標の登録、特に単色の色商標の登録は簡単ではありません。それでも、イメージカラーを作ることは、会社や商品の認知度を上げるのに効果的です。このような取り組みは「ブランドづくり」という観点から意義深いことと言えます。

(4)アイデアを提案できればビジネスが広がる|ものづくり、新規事業

元記事:車いすでも一人で乗降できる装置の実現へ JR西日本が共同開発企業を募集|財経新聞

 

自前主義を見直す企業が増えています。

現代では、一つの商品を開発するにも多様な素材、多様な技術が求められます。全てを自前で開発するのは難しいのです。他にそれを得意とする企業があるなら、そこに任せる。その方が自分は得意なところに専念できるわけですから。

このような分業が盛んになってくると、「お宅の会社、これできる?」と、仕事を振ってもらえるように日頃から情報発信をしておくことが大事になってきます。自分の会社の強みを棚卸しし、それを他の会社にも見えるように開示しておく。そうすることで、他社から仕事を振ってもらうことができ、更にその強みの幅を広げていくことができるわけです。

(5)誰に売るか、何を売りにするか|ものづくり、商品企画

元記事:手軽・強力・長時間 個性競う高級コードレス掃除機|NIKKEI STYLE

 

「商品の良さ」は、人によって基準が違います。

とにかく部屋を綺麗にしたいというキレイ好きの人なら吸塵力の高さに魅力を感じるでしょうし、手間は掛けたくないけど部屋をキレイにしたいという人は自分が動かなくても勝手に掃除をしてくれるロボット掃除機に魅力を感じるでしょう。

● コードレスクリーナーを買う人はどういう属性の人なのか?(誰に売るか)
● その属性の人は通常の掃除機のどんな部分に不満を感じ、どんな機能を求めているのか?(何を売りにするのか)

闇雲に「性能が良い商品」を作ることに意味はありません。買って欲しい人の前に、その人が求めている商品をポンと置く。そうすれば自然に商品を買ってもらえるのです。

(6)潜在的な不満を解消する|ものづくり、商品企画

元記事:
トングと菜箸のイイとこどり!『とんぐばし』で料理がもっと楽しくなる!|おためし新商品ナビ

 

「良い商品を作りたい!」 その気持ちはわかります。

でも、人は長所より欠点が気になる生き物です。たくさん良い部分があるのに、ちょっとした欠点があるだけで評価がぐんと下がってしまいます。逆に、何となく心に引っかかっていた、ちょっと気になる欠点をうまく解消してくれた商品には「すごい!」と感動して、パッと手を伸ばしてくれます。

70点の商品を80点に改良した時の良さを理解し、そこに食いつくのは一部のマニアの人です。一般の人に広く支持されたいなら、30点、40点の商品を60点まで引き上げて、明らかな欠点を合格点レベルまで引き上げた方が効果的です。

(7)手持ちの素材を活かす|ものづくり、新規事業

元記事:ときわ商会『「耳かきスト」シリコン耳かき』チョー気持ちいい! シリコンを知り尽くした職人の技がキリリと光る逸品|おためし新商品ナビ

 

「新規事業を立ち上げる」といっても、何の武器も持たず知らない業界に入っていっても勝てるわけがありません。そこには先駆者たちがいるのですから。

● 今、自分が持っている武器は何か?
● その武器を使える他分野、異業種がないか?
● その分野、業種で自分の武器がアドバンテージとなるか?

この辺りを検討すると良いでしょう。

「耳かきスト」は、シリコン(シリコーン樹脂)の職人が研究に研究を重ねて作った逸品です。シリコーンを知り尽くした職人の知恵、これが他の耳かき製造業者に対するアドバンテージになっているのです。

自分の中にある強みは何か。それを明らかにすることで、新規事業の方向性が見えてくるはずです。

まとめ

今週は、「良い商品とは何か?」「ブランドとは何か?」という、ものづくりやブランドづくりの根幹をなす問題に触れるニュースが多かったように感じました。

「良い商品」「支持されるブランド」を作るには、自分の目線だけではなく、お客様目線が大事です。自分たちの商品やブランドが、お客様からどう見えているか、今一度、確認してみてください!

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プロフィール

山田 龍也(やまだ たつや)
山田 龍也(やまだ たつや)
ものづくりとブランドづくりの専門家/弁理士/ブロガー。
中小製造業のものづくり、個人事業主のブランドづくりを支援中。
特許・実用新案・意匠・商標の権利取得手続; 知財戦略・商品の差別化戦略の立案; 商品の企画・開発に関するアドバイス; 情報発信を用いたブランディング・マーケティング; が得意。

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