知財ニュースを弁理士が解説!(2018年10月第4週)

目次

はじめに

今週の話題は、

● フィルム農法
● 十勝小麦
● ルビーチョコ
● ハロウィン商戦
● IoT家電
● BEYOND PIZZA
● 木軸シャープ

などです!

知財ニュースを弁理士が解説!(2018年10月第4週)

知的財産やものづくり、ブランドづくりに関するニュースの中からヤマダが独断と偏見でチョイスしたニュースをざっくり解説する「知財ニュースを弁理士が解説!」。

● 技術<特許・実用新案>、デザイン<意匠>、著作物、商品企画等、ものづくりに関するニュース
● ブランド<商標>、不正競争等;ブランドづくりに関するニュース
● その他の気になったニュース

をまとめています。今週も行ってみましょう!

(1)必須条件を疑ってみる|ものづくり、新規事業

元記事:
フィルムからレタスが育つ!?“土を使わない野菜”はスティーブ・ジョブズの言葉から生まれた|INSIGHT NOW!プロフェッショナル

農業と言えば「土作り」。当たり前と言えば当たり前。でも、そういう固定観念が技術の進歩発展・新しいコンセプトの商品の開発を邪魔しているのかもしれません。

一度、自分が持っている常識や必須条件を取っ払ってみましょう。「自分の常識は世間の非常識」。自分の業界・技術分野では当たり前のことでも、他の業界では「えーっ!まだそんなことやってるんですか?」ということもありえます。

他の技術分野についても情報を集める。異業種の企業と交流する。新しい人材を入れる。

狭い世界に留まらず、外の世界への扉を開くことで、新商品開発への突破口も開けるのです。

(2)独自販路を開拓して、顧客の生の声を聞く|ものづくり、販路開拓

元記事:十勝産小麦を使ったパンは他と何が違うのか|東洋経済ONLINE

独自の販路を開拓するメリットは、販売面に留まりません。顧客から商品に関するフィードバックを得られるというのもメリットの一つです。

ネットからの情報ではなく、自分の商品のファンからの生の声は最も信頼できる情報です。製造者目線では気が付かない使用者目線からの貴重な情報をもたらしてくれるでしょう。顧客の生の声を、商品の改良、次の商品の企画開発に活かしていけることが、独自販路を開拓する最大のメリットなのです。

(3)既存商品のファンに新しいジャンルを提案する|ものづくり、商品企画

元記事:ピンク色と酸味が魅力 ルビーチョコが続々商品化|NIKKEI STYLE

お菓子の中でもチョコレートは人気が高い商品です。かなり大きな市場です。

大きい市場の中には色々な属性を持った人がいるものです。趣味や嗜好も様々。そうすると、市場は細分化されていきます。「○○のチョコは食べるけど、△△のチョコは食べない」とか、「カカオは××%以上入っていないとダメ」とか。

そうであれば、そこに新しいジャンルを提案してしまうというのも一つのやり方です。新たな旗を立てて、その旗に共感できる人を集めるわけです。ワインだったら、赤、白、スパークリングといった定番のグルーピングだけでなく、「ボジョレー・ヌーボー」、「チリワイン」といった、新たな切り口の商品を提案するということです。

既存の市場のシェアを奪い合うのではなく、既存の市場を広げる、新しい市場を作る、といった発想を持つことをオススメします。

(4)成熟市場では、より高度な差別化が必要|ものづくり、差別化

元記事:
コンビニが狙うハロウィン商戦、キーワードは“ゆめかわ”|ニュースイッチ

日本でもすっかり定着したハロウィン。ハロウィンの季節になると、コンビニにもデパートにも関連グッズが溢れています。

でも、もうブームの創世記は過ぎて成熟期に入りました。買い手の目が肥えてきています。そんじょそこらのハロウィングッズでは買ってもらえません。

ハロウィン商戦に乗っかるなら、より価値のある商品を提供する必要があります。余力があれば、次のブームの仕掛けを考えてみるのもよいでしょう。

(5)メリットを打ち出す|ものづくり、商品企画

元記事:
「つながる家電」化は白モノ家電を救うのか|東洋経済ONLINE

「IoT家電」と聞いてもピンと来ない人の方がまだまだ多いのではないでしょうか。「家電がインターネットとつながる」。便利になりそうな気もする。でも、具体的なイメージが浮かんでこない。そんな感じです。

例えば、「オリンピックを高画質・大画面で楽しみませんか?」と言われれば、高いテレビを買う人もいるでしょう。でも、「ネットに繋がるエアコンなら、スマホで外出先からでも操作できますよ!」と言われても、「タイマーを使えばいいんじゃないの? 今までのでいいよ。」ということになってしまいます。更に、オプションのアダプターを買ったり、工事が必要だったり、ということになれば、なおさら買ってもらえません。

ネットに繋がることで、ユーザーがどんな利便性を享受できるのか。具体的でキャッチーな言葉を使って説明する必要がありそうです。

(6)「●●が気になるけど、●●したい!」を解決する|ものづくり、商品企画

元記事:100%植物性の進化形ピザ チーズ不使用で低糖質|NIKKEI STYLE

「痩せたいけど、食事制限は嫌」、「運動はしたくない」、「楽に痩せられる方法があるならやってもいい」

どんだけ不精なんだよ!と突っ込みたくなりますが、人間なんてそんなもんです(笑) だから、楽して痩せるグッズはいつの時代も売れるんです。傍から見ていると、「何度も試してうまくいかなかったじゃないか!」と思いますが、「この商品なら!」と飛びついてしまいます。

「●●が気になるけど、●●したい!」を解決するグッズは売れる可能性を秘めているんです。

(7)時計の針を巻き戻す|ものづくり、商品企画

元記事:
【新製品】鉛筆素材の太芯シャープ「木軸シャープ消しゴム付2.0」に新色登場|文具のとびら

太陽光充電のデジタル時計なんかには目もくれず、旧式のゼンマイ時計を愚直に使い続ける人。「スマホが便利なのはわかる。でも俺はガラケーでいい」と、片意地を張る人。「フローリングは落ち着かない。やっぱり日本人は畳じゃないと!」という、こだわりの人。

人の好みは千差万別です。新しい技術、洒落たデザインが好きな人ばかりではありません。あえて古き良き時代のテイストを取り込んだ商品にトライしてみるのもよいでしょう。爆発的には売れないかもしれませんが、一定のニーズはあるはずです。いつの時代も温もりのある商品を欲しがる人はいるのです。

まとめ

今週は、商品の販売戦略という観点でニュースを解説してみました。

日本の製造業は伝統的に、自分たちのコア技術から商品を設計するプロダクトアウトの思想が強いと言えます。「どう売るか」を考え、そこから逆算して商品を設計するマーケットインの思想も大事ですよ!

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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