「そだねー」の商標登録出願が拒絶された理由|流行に便乗するな|中小企業のためのブランド戦略事例集

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クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)所長、中小企業専門の弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。

目次

はじめに

実際の事例の中から、中小企業のブランドづくり・ブランディングに役立つ事例を紹介・解説する不定期連載企画「中小企業のためのブランド戦略事例集」。

今回の事例は、第三者による商標登録出願が拒絶された「そだねー」です!

「そだねー」の商標登録出願が拒絶された理由|流行に便乗するな

今から約1年前、平昌五輪・カーリング女子代表(LS北見)の選手達が使って流行語になった「そだねー」。

この「そだねー」という言葉を有名菓子メーカー・六花亭や北見工大生協等が商標登録の出願をしたことが話題となりました。
そのときに、こんな記事を書いています。

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そして、昨日(2019.3/14)、六花亭や北見工大生協等の商標登録出願について既に拒絶する旨の通知が特許庁から発送されていることが明らかとなりました。

参考:「そだねー」商標登録の申請却下 北見工大生協と六花亭に特許庁が通知 北海道|HBC

特許庁のデータベース・特許情報プラットフォーム(J-Platpat)を調べたところ、北見工大生協の出願は平成30年11月20日付で、六花亭の出願は平成30年11月30日付で拒絶理由通知が発送されています。

主な理由は、商標法の第3条各号。

ざっくり説明すれば、

この商標は自分の商品と他人の商品を区別するという、商標が本来持っていなければいけない機能(商標の本質的機能)を持っていません。

だから商標登録をすることはできません。

ということです。

拒絶理由が通知されても、その後、40日間は審査結果に対して意見書を提出したり、書類を直す補正書を提出して審査をやり直してもらうこともできます。

しかし、北見工大生協も六花亭も意見書や補正書を提出した形跡がありません。
このままいけば、北見工大生協の出願も六花亭の出願も拒絶が確定するはずです。

今回の「そだねー」について、ブランドづくり・ブランディングの観点から分析してみましょう。

(1)流行に便乗してもブランドは作れない

まず、1点目。流行に便乗してもブランドは作れないということです。

「そだねー」のような流行語を我先に商標登録しようとする人が後を絶ちません。
まぁ、ヤメた方がいいですよ(苦笑)

今回の「そだねー」程の知名度がなければ、そのまま登録されてしまうケースもあるでしょうけれど。

例えば、サッカー日本代表・大迫選手の凄さを物語るエピソード「大迫、半端ないって!」については全くの第三者が商標登録を受けていますしね(商標登録5711702「OSAKOHANPANAITTE」)。

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もしかしたら、話題になって、短期的に見れば商品が売れることもあるかもしれません。
でも、ブランドづくりという観点からすると、完全にマイナスです。

ブランドって、一言で言えば「信頼の証」です。
良い商品・良いサービスを提供することで、会社名・商品名・サービス名に信頼が乗っかってくる。
それを目印にして、ファンやリピーター、新規顧客が集まってくる。

流行や他人の言葉に便乗したところで、そういう効果を得ることはできないんです。

(2)流行に便乗すると信頼を失う

続いて2点目。流行に便乗すると信頼を失うということです。

流行、特に他人が作ったブームにタダ乗りして一儲けしようなんて考えると、今まで蓄積してきた信頼まで失うおそれがあるので要注意です。

この「そだねー」に関しても、六花亭が商標登録の出願をしたとわかった途端、「便乗するな!」のクレームが殺到し、炎上騒ぎとなりました。

つい最近も「ティラミスヒーロー」に便乗しようとした企業が大炎上しています。

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「すいません!そんなつもりはありませんでした」と謝罪しても後の祭りです。

ビジネスの信頼を築き上げていくのに長い期間がかかるものです。
その信頼が安易な便乗行為で一瞬にして失われてしまう。

これは絶対に避けなければいけないことなのです。

(3)流行に便乗せず、自分らしいブランドを作る

最後に3点目。流行に便乗せず、自分らしいブランドを作るということです。

「流行に乗るな」という理由は、「炎上するから」ということだけではありません。
長続きしないんです。

ブームはいつか終わりがきます。
その時、あなたの会社に何が残るんですか?ということです。

流行りの言葉はあなたの会社の強みや個性、独自性を表したものではありません。
これらはブランドを作るために必要な条件ですが、それが入っていないということです。

自分自身の本来的な個性とは違う要素で盛ったり、着飾ったり。
そんなことをしても周りの人たちはすぐに気が付きます。
「こいつ、無理してるな…」と思うわけです。

そういうところに信頼が形成されますか?
されないでしょうね。
段々、自分でもしんどくなってくるはずです。

だったら、そんなものに最初から手を出さない。
あなたの会社の強みや個性、独自性を表す言葉なりシンボルなりを創っていく。
それを素晴らしい商品やサービスと共に地道に発信していく。

それこそがブランドづくりの極意だと思いますよ。

まとめ

以上、「そだねー」を題材にブランドづくりのポイントを挙げてきました。

まとめると、

流行に便乗してもブランドは作れない。
だから、流行に便乗せず、自分らしいブランドを作ろう。

ということです。

ブランドづくりで大事なのは、まず自分を知ることです。
自分の強みや個性、独自性を見つめ直すこと、客観的に把握することが第一歩です。

ぜひ、ご相談にいらしてください。お待ちしています!

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。
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