遂に閉店!? ティラミスヒーローのパクリで失敗した「HEROS」から学ぶブランドづくりのコツ|中小企業のためのブランド戦略事例集

BRANDING

クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)所長、中小企業専門の弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。

目次

はじめに

ティラミスヒーローのロゴパクリ事件で話題となった、あの「HEROS」がついに閉店に追い込まれるようです。

今日は、「HEROS」の失敗例からブランドづくりのコツを学んでみましょう!

遂に閉店!? ティラミスヒーローのパクリで失敗した「HEROS」から学ぶブランドづくりのコツ

実際の事例の中から、中小企業のブランドづくり・ブランディングに役立つ事例を紹介・解説する不定期連載企画「中小企業のためのブランド戦略事例集」。

今日の事例はティラミスヒーロー・パクリ事件で話題となった、あの「HEROS」です。

ティラミスヒーロー・パクリ事件については、以前にもお伝えしています。
ご存じない方は、まずこちらをどうぞ。

[blogcard url=”https://yamadatatsuya.com/archives/6362″]
[blogcard url=”https://yamadatatsuya.com/archives/6385″]

3日前(2019.3.23)、こんなニュースがありました。

参考:【衝撃】パクリティラミス店「HEROS」が閉店 / 表参道店が撤去作業開始|ガジェット通信

「HEROS」はパクリ問題の発覚以降、客足は途絶え、開店休業状態だったようです。
そして今回、店舗の撤去作業も始まったことから、閉店が決定したと言われているわけです。

「HEROS」はこの事件によって、ビジネス上、計り知れない大きなダメージを負いました。
安易な模倣行為で、事業を行っていく上で最も大事な「市場からの信頼」を失ってしまったわけです。

この事例を基に、中小企業のブランドづくりのコツ・ブランド戦略で大事なことを検証していきます。

(1)良い商品・良いサービスを継続的に提供する

ブランドづくりのコツ、1点目は、良い商品・良いサービスを継続的に提供することです。

ブランドは顧客からの信頼の象徴です。
ブランドを作るためには顧客が何に対して信頼を置いてくれるのかを考えなければいけません。

まずは、一定のブランドネーム・ブランドロゴの下で、良い商品・良いサービスを継続的に提供することです。

こうすることで、顧客はそのブランドネーム、ブランドロゴが付いた商品・サービスを安心して購入することができるようになります。
内容をいちいち精査しなくても、「このお店の商品(サービス)なら大丈夫!」という顧客との信頼関係が構築されます。
これが大事です。

しかし、「HEROS」は、元祖「ティラミスヒーロー」のロゴをパクることで、元祖「ティラミスヒーロー」が構築してきた顧客との信頼関係を、あたかも自分のものであるかのように顧客を騙そうとしたわけです。

これでは顧客からの信頼を集めることなどできません。
安易な模倣で短期的な成功を目指すと、こういう失敗に繋がるので要注意です。

ブランドづくりには、良い商品・良いサービスを継続的に提供し、地道に顧客の信頼を集める努力が必要なのです。

(2)自分の強みを活かした商品・サービスを作る

ブランドづくりのコツ、2点目は、自分の強みを活かした商品・サービスを作ることです。

顧客からの信頼を獲得し、ブランドを作っていくには一定の時間がかかります。
良い商品・良いサービスを長期間に渡って提供し続けなければいけません。

単に「今、流行っているから」とか、「儲かりそうだから」ということで、自分の強みとは違う商品・サービスに飛びついてしまうと、後がしんどくなってきます。
本来の自分の強みではないところで勝負をしているからです。

自分の強みを活かせる商品・サービスを作ることで、良い商品・良いサービスを継続的に提供し易くなるわけです。

自分の強みを活かした商品・サービスは何か?
これに知恵を絞ること、熟考することが大事です。

今回、「HEROS」は自分で知恵を絞らず、元祖ティラミスヒーローの「瓶入りティラミス」という商品コンセプトを丸パクリしています。
ここに「HEROS」の強みはないでしょう。

だから、「パクリ商品」というレッテルを貼られてしまったのです。

(3)他社とは違う独自の商品・サービスを作る

ブランドづくりのコツ、3点目は、他社とは違う独自の商品・サービスを作ることです。

自分の強みを活かせる商品・サービスであっても、他社が似たような商品・サービスを展開していたら、あなたの会社の存在価値は薄れてしまいます。
価格競争ということにもなりかねません。

他の商品・サービスにはない独自性、個性、希少性。
そういったものを誰が見ても明らかなように打ち出していくことが大事です。
それが「選ばれる理由」に繋がっていきます。

大企業は大きな市場を作る必要があります。
そうすると、商品・サービスは最大公約数的なもの、誰にでも受け入れられるものになりやすい。
ここが中小企業の狙い目です。

現在では消費者のニーズは多様化しています。
誰もが自分にピッタリのものを求めています。
そのニッチなニーズをいかに見つけ、事業化できるか。
ここが中小企業のブランドづくりに大事なところです。

今回、「HEROS」は、ロゴマークから始まって、「瓶入りティラミス」という商品形態、イメージキャラクターの使用等、元祖ティラミスヒーローにガチガチに寄せていく戦法を取りました。
ここには独自性のかけらもありません。

顧客が信頼を寄せるのは、そのお店ならではこだわりであったり、商品づくりの姿勢であったりするわけです。
「HEROS」の商品からはそういうものは伝わって来ませんよね。

これでは、真のブランドを作ることなどできないのです。

まとめ

今日は「HEROS」を例に、中小企業のブランドづくりのコツ・ブランド戦略で大事なことを検証してきました。

ポイントは、

(1)良い商品・良いサービスを継続的に提供する
(2)自分の強みを活かした商品・サービスを作る
(3)他社とは違う独自の商品・サービスを作る

ということです。

「うちはHEROSみたいに悪いことはしないよ(笑)」と思っている方。
私のところに相談に来る方の話を聞くと、結構、危なっかしいことをやっている人がいますよ。

素人判断をせず、商標とブランドの専門家・弁理士まで相談に来てください。
お待ちしています!

BRANDING

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次