商標登録は失敗? お金をかけて商標権を取ったのにその効果を感じられない理由|スモールブランディングのヒント

クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)所長、中小企業専門の弁理士・山田龍也(@ta2_ymd)です。

はじめに

「それなりにお金をかけて商標登録をしたけど、あまり効果を感じられないんですよね…」

こんなお悩みをよく聞きます。

さて、商標権は取っても無駄なんでしょうか?

商標登録は失敗? お金をかけて商標権を取ったのにその効果を感じられない理由|スモールブランディングのヒント

「スモールブランディング」とは、中小企業・個人事業主等のスモールビジネスに特化したブランドづくりの手法です。

「スモールブランディングのヒント」では、スモールブランディングのヒントとなる、

● ブランド戦略
● 商標登録・商標権
● ネーミング
● その他、ブランドづくりに役立つ情報

についてざっくり解説します。

 

今日はお金をかけて商標権を取ったのにその効果を感じられない理由について考えていきます。

(理由その1)商標権の効果が「抑止力的な効果」で実感し難いから

理由の1つ目は、商標権の効果が「抑止力的な効果」であるために、その効果を実感し難いということが挙げられます。

 

商標登録を希望して相談に来る方の殆どが、

「他の人に、この名称(会社名、商品名、サービス名等)を真似されたくないんです!」

 

と言ってきます。

他人から自分が事業で使っている名称を真似されず、安心して自分の事業を行うことができることを期待しているわけです。

商標権は独占権ですから、その名称(以下、「商標」と言います)について商標権を取れば、その商標を他人が真似することは難しくなるはずです。
それにも拘らず、商標権の効果を感じられないのは何故か?

それは、商標権の効果は「抑止力的な効果」だからです。

 

たとえはあまり良くないのですが、商標権を持つことは抑止力としての核兵器を持つようなものです。
自分は相手を核攻撃するつもりはない。
でも、相手から核攻撃されるのは避けたい。
だから核兵器を持つ。
そうすれば、相手は反撃を恐れて核攻撃はしてこないだろう。

そういう考え方です。

 

普通、商標権を取られている商標をわざわざ使う人はいません。
商標権侵害となれば、その商標の使用禁止、賠償金の支払い等、面倒なことが起こる可能性があるからです。
だから、こちらから真似するのを止めてくれと言わなくても、勝手に真似するのを自粛してくれるわけです。

でも、商標登録をした人(商標権者)は、

● 他人が自分の商標を使おうとしているかどうか
● 他人が自分の商標権の存在に気づいたかどうか
● 他人が自分の商標権を恐れて、自分の商標を使うことを止めたかどうか

について知る術を持っていません。

抑止的な効果は目に見えないということです。
だから、その効果やありがたみに気が付かないわけです。

(理由その2)商標自体に力がなかったから

理由の2つ目は、そもそも商標が良くなかったから、商標自体に力がなかったということが考えられます。

その商標(会社名、商品名、サービス名等)がキャッチーで素晴らしい名称であれば、その商標を使っている人の事業に好影響を与えていくはずです。
会社のイメージが良くなってお客様が増えるとか、商品・サービスの良さが伝わって売上が上がっていくとかね。

 

でも、その商標がさほどイケてない名称だったら?

お客様も増えないし、商品やサービスの売上も上がっていかないですよね。

商標権の効果がないのではなく、

● 商標自体に力がなかった
● その商標は商標権で護るほどの価値がなかった

ということなのです。

 

実際、商標登録の相談を受けていると、登録したいという名称があまりイケてないというケースも少なくありません。
当然、私も「もう少し色々な名前を考えてみてから決めたらどうですか?」等のアドバイスはするんですよ。

でも、その人は「誰かに真似されたら困る!」、「一刻も早く商標権を取らなければ!」という思いで頭が一杯になっています。
こっちのアドバイスなんて聞いちゃぁいないわけです(笑)
結局、大枚をはたいて、大して価値のない名称を商標登録してしまうことになります。

商標権は価値のある商標を護って初めて、そのありがたみを感じることができます。
登録した商標自体に価値がないのでは、商標権の効果を感じることができないのも当たり前です。

(理由その3)商標をきちんと育てていないから

理由の3つ目は、商標をきちんと育てていないということが考えられます。

商標(会社名、商品名、サービス名等)は良い商品や良いサービスとともにガンガン使っていくことで認知され、その価値が上がっていきます。

本来はその商標をドンドン告知して、世の中に広めていくための活動をしなければいけません。
商標を知ってもらい、親しみを持ってもらうことで世の中に浸透していくんです。

でも、商標登録が済んだら「護られている」ということで安心してしまう。
自分の周りでチョコチョコ使っているだけで、殆ど世の中に露出する活動をしていない。

それでは商標の価値が上がっていくわけありません。

商標の価値が低ければ、商標権で護る価値はありません。
当然、商標権の効果も感じられないのです。

まとめ

今日は、お金をかけて商標権を取ったのにその効果を感じられない理由について考えてみました。

商標登録をして商標権を取るという行為は企業ブランドを高めていくための一つの方法にすぎません。

ブランドづくりは、

● ブランドを創ること(自分の強みを見つける、他社と差別化する、ネーミング等)
● ブランドを育てること(ホームページ、ブログ、SNSによる情報発信等)
● ブランドを護ること(商標登録等)

の三本の矢を揃えることで初めて完成します。
商標登録だけしても達成することはできません。

 

大事なのは、

(1)名称を作る段階から弁理士等の専門家に相談すること
(2)商品やサービスとともに名称を告知し、世の中に広めていく活動をすること
(3)名称を護るために商標登録を行うこと

 

の3つです。

ぜひ、商標とブランドの専門家・弁理士まで相談に来てくださいね。
お待ちしています!

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プロフィール

山田 龍也(やまだ たつや)
山田 龍也(やまだ たつや)
ものづくりとブランドづくりの専門家/弁理士/ブロガー。
中小製造業のものづくり、個人事業主のブランドづくりを支援中。
特許・実用新案・意匠・商標の権利取得手続; 知財戦略・商品の差別化戦略の立案; 商品の企画・開発に関するアドバイス; 情報発信を用いたブランディング・マーケティング; が得意。

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