ダイソンとルンバ 性能追求型の開発と用途展開型の開発

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ダイソンとルンバの開発手法の違い

今日は皆さんおなじみのお掃除家電、ダイソンとルンバのお話です。

ダイソンのサイクロン掃除機とアイロボットのルンバ。
どちらも人気のお掃除家電ですね。
しかし、この2つの製品は「お掃除家電」という点は同じでも、技術開発の進め方が全く違うんです。

ダイソンのサイクロンは掃除機のメイン性能である吸引力を極限まで高めたもの。
とにかく良く吸うわけです(笑)

それまでの掃除機の構造を根本から見直して、極限まで性能を高めて…。
そういった性能の追求が実を結んで生まれた製品

そのような意味で、サイクロンは掃除機の王道を行く、究極の掃除機と言えるでしょう。

これに対して、ルンバは掃除を自動化して家事の手間を省くためのもの。
厳密に言えば、ルンバは掃除機というより、お掃除ロボットです。

ロボット技術を生活家電である掃除機という用途に展開した製品と言えるでしょう。

ルンバは吸引力ではサイクロンに敵いません。
それでも、放っておけば勝手に掃除をしてくれて、部屋は十分綺麗になります。
だからこそ、家事の時間を少しでも減らしたい女性から絶大な支持を受けているわけです。

「高品質・高性能の製品=売れる」の方程式を一旦捨てる

技術者というのは高品質・高性能を追求したい生き物です。
技術者なら誰でもサイクロンのような画期的な製品を作りたいと思うでしょう。
私も元は技術者ですから、よーくわかります(笑)

でもね。

その高品質・高性能がユーザーから本当に求められているかどうかを、よくよく考えてみて欲しいんです。
サイクロンほどの吸引力を必要としていないユーザーが少なからずいるんじゃないか?と。

掃除機以外の例を挙げるなら、高画質で話題の4Kテレビ。
私は欲しいと思いません。
現在のデジタルハイビジョン以上の画質に必要性を感じていないからです。

サイクロンや4Kテレビのような、性能が突き抜けた製品を開発するためには、多額の資金や多数の開発スタッフが必要です。
特に、技術が成熟した分野で、性能が突き抜けた製品を開発するのは簡単ではありません。
このような製品の開発競争は、資金が潤沢で、人員が豊富な大企業が圧倒的に有利になります。

そして、そのような高性能を求めるユーザーは必ずしも多くありません。
下手をすると、一部のマニアのための製品になってしまいます。
マニアのための製品は沢山は売れませんから、多額の開発資金を回収するのは難しくなるでしょう。

技術者は、高性能の製品が評価され、売れると思い込んでいるフシがあります。
しかし性能に優れた製品であれば、常に評価され、沢山売れるというわけではないんです。

「高品質・高性能の製品=売れる」の方程式を一旦捨てる、というのも一考です。

中小企業は用途開発・用途展開を目指せ

日本の中小企業の技術力は高いと言われています。
これをやらせたら敵うところがないという一芸に秀でた企業もあるでしょう。

それならば、その自慢の技術を「現在利用している製品以外の製品」に利用することができないか考える、というのはいかがでしょうか?

自慢の技術の品質や性能を更に突き詰めるのではなく、他の用途への展開を図るということです(用途開発・用途展開)。
吸引力の極みを追求したサイクロンではなく、ロボット技術を生活家電という用途に展開したルンバを目指すってことですね。

新たな用途を見出すということは、その技術に新たな価値を加えることになります。
そうすれば、自慢の技術から、新たな需要を生み出すことも期待できるわけです。

まとめ

  1. 開発の進め方には、性能追求型と用途展開型がある。
  2. 性能に優れた製品であれば、常に評価され、沢山売れるというわけではない。
  3. 中小企業は自慢の技術の用途展開を考えるべし。

おまけ(その1)

ダイソンは、「ダイソン。吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機。」というキャッチフレーズについて商標登録を受けています。

「吸引力にかけては、どこにも負けない!」というダイソンのプライドを感じます(笑)

商標公報抜粋(登録5135136)

おまけ(その2)

ついに、ダイソンも掃除ロボットの販売を発表しました。

ダイソン 360 Eye

同じ掃除ロボットとは言っても、ルンバとはコンセプトや求める性能が違うようです。
こちらの評判も気になるところですね!

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山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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