はじめに
前回は「ショ~シュ~リキ~♪」でお馴染み、エステーの鈴木会長のお話からモノづくり系中小企業の生き残り戦略、特に「市場選び」について考えてみました(*1)。
今日は、鈴木会長が「モノづくり」についてどのような考え方をしているか探ってみたいと思います。
小さな中堅企業でも勝てる戦略。モノづくりの「3ない」
とあるインタビュー記事で、鈴木会長が「『良いものを作れば売れる』は開発者の驕りにすぎない」というテーマで話をされていました(*2)。
この記事を読めば、鈴木会長がどのようなスタンスで「モノづくり」に向き合っているかがわかります。
ヤマダなりにポイントを3点にまとめてみました。
- 生活必需品を作らない
- 無闇に新商品を作らない
- モノマネ商品は作らない
これが鈴木会長のモノづくりに関する考え方。モノづくりの「3ない」です。
生活必需品を作らない
鈴木会長は、
とコメントしています。
前回お話しした「市場の3ない」の中の「マスプロダクト(大量生産品)に手を出さない」に通ずる部分ですね。
大企業が得意とする戦場では戦わないということです。
それでは何を作るのかというと、鈴木会長は、
と言っています。
洗剤やシャンプーのような生活必需品は「ないと困るもの」「(満足であろうが不満足であろうが)必要だから使っているもの」です。
これに対して、エステーが作っているのは「消臭剤」「脱臭剤」「防虫剤」「除湿剤」など。
確かに、あってもなくてもいい商品です。
「これがないと生活することができない!」というほどの商品ではありません(笑)
それでも、何某かの効果を感じられるものであれば、何箇月かして効果がなくなった時に、また買いたくなるんですよね。
リピーターが付くんです。
更に、鈴木会長は、
と説明しています。
「あってもなくてもいいもの」について効果を感じてもらう。
数箇月でなくなるようなものを作って、それを継続的に買ってもらう。
これがエステーのモノづくりについての考え方なのです。
無闇に新商品を作らない
モノを売りたいと思うと、次々に新しい商品を企画・開発したくなるものです。
しかし、鈴木会長はこんな警鐘を鳴らしています。
また、鈴木会長は、
とも言っています。
あまり色々なものに浮気せず、商品を絞って、じっくり取り組めということですね。
単発のヒット商品を狙うより、丁寧にロングセラーの商品を作っていく。
エステーはこういう地道な取り組みで、「消臭力」や「脱臭炭」をロングセラーに育て上げたのです。
モノマネ商品は作らない
「無闇に新商品を作らない」とは言っても、何も工夫をしなければロングセラー商品は産まれません。
鈴木会長は、
と言っています。
- 数少ない商品に本気で取り組む
- 既存の商品に絶えず工夫を加えていく
- 少しずつでも使い勝手を良くし、ユーザーの満足度を上げていく
ということでしょうね。
派手さはない。
でも地道な努力をする。
これがロングセラー商品を作っていく秘訣だと思います。
まとめ
小さな中堅企業でも勝てる戦略。モノづくりの「3ない」は、
- 生活必需品を作らない(あってもなくてもよいけれど、効果がわかる商品を作る)
- 無闇に新商品を作らない(数少ない商品をロングセラーに育てる努力をする)
- モノマネ商品は作らない(少しだけでもいいから新しいものを作り、それに絶えず工夫を加えていく)
の3つです。
「地道にしこしこやる」がキーワードですよ!
参考サイト
(*1)エステー鈴木喬会長に学ぶ 中小企業の生き残り戦略(1)|市場選びの鉄則
(*2)『良いものを作れば売れる』は開発者の驕りにすぎない|ダイヤモンド・オンラインから引用しています。
おまけ
今回引用した記事のタイトル「『良いものを作れば売れる』は開発者の驕りにすぎない」。
これはヤマダも事あるごとにお客様にお伝えしていることです。
開発者が自分の作った商品に自信を持つのはいいことです。
でも開発者から見た良い商品、技術的に優れた商品が売れるとは限りません。
「技術的に優れている」と「ユーザーが効果を感じる」の間には思っている以上に大きな隙間があるんですよね。