はじめに
ちょうど一週間前、10/15(日)からスタートした話題のドラマ「陸王」。
期待通り、初回視聴率14.7%と好調なスタートを切りました。
ところが、なんと今週は選挙特番で1回お休み。
ということで、今日は第1回の放送を振り返り、そのストーリーの中から中小企業のものづくりに必要な3要素を探ってみました!
ドラマ「陸王」のあらすじ
ドラマ「陸王」は、ベストセラー作家・池井戸潤の小説をドラマ化したものです。
一昨年、年間視聴率1位を記録した「下町ロケット」と同様に、ものづくりに携わる中小・零細企業の再生を描いています。
ドラマの舞台は埼玉県行田市。足袋づくり100年の歴史を誇る老舗の足袋屋「こはぜ屋」。
足袋の需要が年々減少し、資金難に陥った「こはぜ屋」は新規事業の立ち上げを迫られます。
そこで、「こはぜ屋」が足袋に代わる新たな商品として目をつけたのが裸足感覚のランニングシューズ。
その名も「陸王」!
長年培った足袋の製造技術を活かして開発に取り組むものの、開発経験に乏しい「こはぜ屋」は悪戦苦闘。
それに加えて、社員からの反対、銀行の貸し渋り、世界的スポーツブランドとの競争と様々な問題が降りかかります。
果たして「陸王」は無事完成に至るのか?!というストーリーです。
中小企業のものづくりに必要な3要素
このドラマの世間的な話題は、
- 役所広司が15年ぶりに連ドラ主演
- 竹内涼真と山崎賢人のイケメン対決
- 63歳で女優デビューの阿川佐和子にブレイクの予感
辺りに集まっていますが、それは置いておいて…。
ヤマダは弁理士目線で、専ら「ものづくり」という観点から、このドラマを見ています。
「下町ロケット」も、ものづくりに携わる中小企業にとって有用な示唆をたくさん含むドラマでした。
「陸王」もきっと何某かのヒントを与えてくれるはずです。
実際、第1回放送でも、中小企業のものづくりに必要な要素についていくつかの示唆がありました。
その中からポイントを3つ程挙げてみます。
(1)卓越した技術
新規事業・新商品の開発には卓越した技術が必要です。
素人が全く下地のない分野にいきなり参入したところで勝負になりません。
「こはぜ屋」のご自慢の技術は、100年の長きに渡って培ってきた足袋の製造技術。
素足に履く足袋はフィット性が命です。
このフィット性が足袋とは異分野のランニングシューズを作る上でもアドバンテージとなります。
一般的なシューズメーカーとは全く違うアプローチで作るため、今までにない斬新なランニングシューズができ上がる可能性が高いわけです。
そして、ミシンを使うとは言え、足袋の製造は職人の手作業で行われます。熟練の職人の手先の感覚を頼りに紡ぎ出されるランニングシューズ。
機械による大量生産品とは全く異なる、唯一無二の商品ができ上がる可能性は十分にありそうです。
(2)良きアドバイザーの存在
商品を企画開発した経験に乏しい中小・零細企業にとって、良きアドバイザーの存在は不可欠です。
良きアドバイザーの存在が開発経験の少なさを補い、新商品の企画開発を正しい道に導いてくれるのです。
第1回の放送でも、こはぜ屋にとって頼もしいアドバイザーが何人も登場しました。
- スポーツショップ経営者でランニングアドバイザーの有村(光石研)
- 高校時代に長距離選手だったセールスドライバーの江幡(天野義久)
- 銀行マンで、こはぜ屋の融資担当の坂本(風間俊介)
有村は技術アドバイザーとして、足袋のソールの薄さが怪我をし難い「ミッドフット着地走法」に適しているという情報をもたらしました。
江畑はテスターとして、試作品にはまだまだ改良の余地があるものの、履き心地やフィット感は良好であるという肌感覚の感想をフィードバックしました。
そして、坂本は「陸王」の開発において最大の課題となるソール素材の候補として特殊素材「シルクレイ」のサンプルを提供しました。
このような外部アドバイザーからの客観的な意見や生の声が「陸王」の開発を推進する力となるのです。
(3)商品開発にかける思い・ユーザーに対する思い
資金力やマンパワーに乏しい中小・零細企業にとって、金・人・時間のかかる新商品の開発は簡単ではありません。
それでも、開発を推進するためには理屈だけではない「商品開発にかける思い」「ユーザーに対する思い」が必要です。
こはぜ屋は足袋の需要の減少や資金難という止むに止まれぬ事情があって、「陸王」の開発をスタートさせました。
しかし、それだけの理由では社内の反対、銀行の貸し渋り、世界的スポーツブランドとの競争といった様々な問題が発生した時に、すぐに心が折れてしまうでしょう。
第1話では、屋根裏のスペースから先代(三代目)が作ったマラソン足袋が発見されました。
先代はこのマラソン足袋を事業として成就させることはできませんでした。
それでも、このマラソン足袋は「こはぜ屋」が新商品開発にチャレンジする伝統がある企業であることを証明するものです。
これを見た「こはぜ屋」四代目の紘一(役所広司)は貸し渋りをする銀行マンに対し、「マラソン足袋の開発はこはぜ屋にとっての悲願なんです!」と言い放ちました。
これですこれ! 商品開発にかける熱い思い。これこそが何度も訪れるであろう難局を乗り切る推進力となるのです。
また、怪我で野球を断念した紘一の息子・大地(山崎賢人)が、同じく怪我に苦しむマラソンランナー・茂木裕人(竹内涼真)に対して抱いたシンパシーも同様です。
このシンパシーはいずれユーザーに素晴らしい商品を届けたい、ユーザーの役に立ちたいという思いとなって、「陸王」の開発を支えていくことになるはずです。
まとめ
以上説明したように、中小企業のものづくりには、
- 卓越した技術
- 良きアドバイザー
- 商品開発にかける思い・ユーザーに対する思い
の3つの要素が必要です。
特に、客観的に技術や商品を見ることができる外部アドバイザーの存在は重要です。
まだそういう存在がいないという中小企業さんはぜひ探してみてください!
ヤマダもお手伝いしますよ!
参考サイト
(*1)日曜劇場『陸王』|TBSテレビ
(*2)あらすじ|TBSテレビ:日曜劇場『陸王』
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