ドラマ「陸王」に学ぶものづくりのヒント(7) ~ピンチを乗り切る技術~

目次

はじめに

潰れかかった老舗の足袋業者「こはぜ屋」が新規事業としてマラソン足袋の開発に取り組み、悪戦苦闘しながら再生していく様子を描くドラマ「陸王」(*1)。

第7回の放送では、「陸王」のソール素材・シルクレイの製造機が爆発・炎上するというトラブルが発生、修理のための資金1億円の調達にも目処が立たず、「陸王」の製造を断念せざるを得ない状況に追い込まれた宮澤(役所広司)の様子が描かれました。

「陸王」に限らず、新製品を開発し、市場に投入し、利益が生まれるようになるまでには、いくつものピンチ、危機、困難が訪れるものです。

今日は、「ピンチを乗り切る技術」をテーマにお話しします!(ネタバレあり)

ドラマ「陸王」第7回のあらすじ

「陸王」のアッパー素材の提供元・タチバナラッセルとの取引をアトランティスに奪われ、意気消沈するこはぜ屋にまたもトラブルがのしかかる。
シルクレイ製造機が爆発炎上し、シルクレイの製造ができなくなったのだ。
飯山(寺尾聰)から修理には1億円の費用が必要と聞いた宮澤(役所広司)は銀行に融資の交渉に赴くが、にべもなく断られてしまう。

坂本(風間俊介)の転職先であるベンチャーキャピタルからの融資に一縷の望みを託すものの、その交渉も不調に終わり、宮澤は「陸王」の製造を断念する。
そんな宮澤の態度に失望した村野(市川右團次)は「陸王」開発へのサポートを打ち切り、こはぜ屋を後にする。

そんな折、宮澤は坂本からこはぜ屋の売却を提案をされる。
その買収先は、御園(松岡修造)が率いるアメリカの大手アパレルメーカー・フェリックスであった(*2)。

ピンチを乗り切る技術

第7回の放送では、アッパー素材の取引先の喪失、ソール素材製造機の故障、資金調達の不調、アドバイザーの離脱、企業買収と、こはぜ屋と宮澤には様々なピンチが訪れます。

第7回の放送内容を参考に、ピンチを乗り切る技術について考えてみましょう。

(1)問題を切り分けて整理する

第7回の放送では、こはぜ屋と宮澤に一度に様々な問題が降り掛かってきました。
このように一時に複数の問題を抱えてしまうと、パニック状態に陥り、冷静な判断を下せなくなるものです。

そんなときには問題を切り分けて整理する事が大事です。
問題を一つ一つ切り分けて整理し、サイズを小さくすることで問題解決の糸口が見えてくるのです。

今回、こはぜ屋に起こった問題は、

  • アッパー素材
  • ソール素材
  • 資金不足
  • 協力者の離脱
  • 企業買収のおそれ

と、様々な要素を含んでいます。
これらを一緒くたに考えると、「銀行から融資を受けられないから『陸王』は作れない」というように、複数の問題を勝手に結びつけ、視野の狭い、短絡的な判断をしてしまいがちです。

これらの問題に全く関連がないわけではありません。
それでも、一つ一つの問題にフォーカスして、その問題を解決するにはどうしたらよいかを考えることで、今まで見えなかった解決策も出てきます。

例えば、資金不足の面だけを考えれば、資金調達先は銀行には限られません。
ベンチャーキャピタル、協力企業、クラウドファンディング…。
選択肢はいくらでもあるのです。
これらの選択肢を丹念に見つけ出し、最適の方法を選択することが大事です。

(2)他人の力を借りる、相談する

第7回の放送を見ていると、宮澤は一人で問題を抱え込んでいるように見えました。
経営者としての責任がそうさせたのだと思いますが、あまりよいやり方とは言えません。

経営者というのは孤独なものです。
一人で企業の命運を決するような重大な判断をし、一人でその責任を全て背負う。
そのプレッシャーは計り知れないものがあります。

そこで、大事になってくるのが、自分の周りの人を如何に使うかということです。

幸い、宮澤の周りには多数の協力者がいます。
彼らを頼ることも時には必要です。
必要とされることで意気に感じ、積極的に問題解決に動いてくれる人もいます。
また、自分では見えなかった解決策を思いつく人がいるかもしれません。

経営者とは言え、一人の人間です。
一人で考えることは限りがあります。
周りの人の知恵や人脈を活かせば、自分には大きすぎる問題も解決することができるのです。

(3)不屈の精神

第7話の放送を見ていると、あまりにも多数の問題が降りかかり、宮澤は完全に浮足立っていました。
その態度を息子の大地(山崎賢人)に見透かされ、「それでも社長かよ!」と罵声を浴びせられるシーンもありました。

部下や社員、周りを取り巻く人達は、常にトップの姿勢・態度を見ています。
弱気な姿勢、覚悟のない態度を見せれば、それはたちどころに社内に伝染し、会社全体が浮足立つことになるのです。

トップたるもの、どんなに厳しい状況でも常に前を向き、最後まで問題の解決を模索するという不屈の精神を持つということは大事です。
トップが腹をくくり、やり抜くと決めることで、その態度を見た部下や社員も問題に積極的に取り組むようになります。

なんだかんだと言っても、メンタルの問題は大きいのです。

まとめ

以上説明したように、ピンチを乗り切る技術には、

  • 問題を切り分けて整理する
  • 他人の力を借りる、相談する
  • 不屈の精神

等があります。

まずは問題のサイズを小さくし、一人で抱え込まず、諦めない姿勢でピンチを乗り切りましょう!

参考サイト

(*1)日曜劇場『陸王』|TBSテレビ

TBSテレビ
日曜劇場『陸王』 TBSがお送りする2017年10月期日曜劇場『陸王』の番組サイトです。池井戸潤原作の人気小説を、主演に役所広司を迎えて早くもドラマ化! 老舗の足袋製造業者がランニングシュ...

(*2)あらすじ|TBSテレビ:日曜劇場『陸王』

TBSテレビ
日曜劇場『陸王』 TBSがお送りする2017年10月期日曜劇場『陸王』の番組サイトです。池井戸潤原作の人気小説を、主演に役所広司を迎えて早くもドラマ化! 老舗の足袋製造業者がランニングシュ...

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山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。

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