ドラマ「下町ロケット」に学ぶものづくりのヒント(1)|コンペで勝つ方法

クロスリンク特許事務所(銀座・東銀座・新橋)・弁理士のヤマダです。

はじめに

いよいよドラマ「下町ロケット」の新シリーズが始まりました。

今週から、暫くの間、「ドラマ『下町ロケット』に学ぶものづくりのヒント」と題して、各回のドラマのシーンを振り返り、ものづくりのヒントになりそうな事項を紹介していきます。

今日は第1回の放送の中から、コンペに勝つ方法について考えてみました。

ドラマ「下町ロケット」第1回のあらすじ

東京下町の町工場・佃製作所は技術力を売りにする中小企業だ。大企業・帝国重工が開発する純国産ロケットのキーデバイスである水素エンジンのバルブシステムを部品供給しており、「ロケット品質・佃プライド」を旗印にしている。

しかし、佃製作所の社長・佃(阿部寛)は、帝国重工・宇宙航空開発部長の財前(吉川晃司)から、経営悪化による社長交代、ロケット打ち上げ計画中止の可能性を示唆され、更に、大口取引先である農機具メーカー・ヤマタニからも農機具用小型エンジンの取引削減を告げられてしまう。

そんな折、経理部長・殿村(立川談春)は父親が倒れ、実家の農家の手伝いを余儀なくされる。殿村を見舞った際に殿村が運転するトラクターの様子を見ていた佃はトランスミッション用バルブに新規事業の可能性を見出す。そして、ベンチャー企業・ギアゴーストに提供するトランスミッション用バルブを巡り、バルブ界の帝王・大森バルブとのコンペに臨むのであった。

コンペで勝つ方法

トランスミッション用バルブを初めて開発する佃製作所と、既に納品実績を積み重ねているバルブ界の帝王・大森バルブ。どう見ても、佃製作所がコンペで勝てる理由はありませんでした。

しかし、佃製作所は大森バルブに勝ち、ギアゴーストからの受注を得ることに成功します。その勝因を分析すると、以下の3点がポイントでした。

(1)コア技術、自社だけの強み、得意技術

トランスミッション用のバルブに関しては、バルブ業界に君臨する大森バルブに一日の長があるのは明らかです。

しかし、佃製作所にも、ロケットの水素エンジンで培ってきたバルブシステムのノウハウがあります。過酷な環境の中で使用されるロケットエンジンのバルブシステムには高い精度と耐久性が求められます。これこそが佃製作所のコア技術なのです。

自社のコア技術、他社にはない自社だけの強み、得意技術。

これらを持つことが、新規参入したトランスミッションの分野でもアドバンテージとなり、バルブ界の帝王・大森バルブを打ち倒す要因となったのです。

(2)斬新な設計思想・コンセプト

佃製作所のバルブはコスト・品質ともギアゴーストの要求仕様を満たしていたものの、大森バルブは殆どの評価項目において、佃製作所より高い評価を得ました。バルブのトータル品質としては大森バルブの圧勝と言っていいでしょう。しかし、ギアゴーストの天才エンジニア・島津(イモトアヤコ)が選んだのは佃製作所のバルブでした。

これは、両社の設計思想・コンセプトの違いによるものです。

佃製作所はギアゴーストの要求仕様を満たした上で、トラクターに最も必要とされる「耐久性」に特化した設計を行いました。部品点数を1/3に減らし、過酷な農作業にも耐え得るような頑丈なバルブを作ったわけです。従来のバルブではあり得なかった斬新な設計です。

一方、大森バルブは全ての評価項目において一様に高評価が出るような設計を行いました。しかし、それらの評価項目の全てがトラクターに必要かというと、そうではありません。「高品質」の意味を取り違え、あまり必要ではない性能まで上げてしまい、いわばオーバースペックのバルブを作ってしまったわけです。言い換えると、従来のバルブを基礎とし、その延長線上で高性能化を図っただけのもので、そこに斬新さはありません。

その製品に最も必要とされる性能に着目し、その性能だけは絶対に負けない、その性能だけは飛び抜けて優れている製品となるように設計する。

そんな設計思想・コンセプトを持ったことが、天才エンジニア・島津の心を動かしたわけです。

(3)ユーザーに寄り添うものづくりの姿勢

(2)の設計思想やコンセプトを生み出したのは、ユーザーであるギアゴーストに寄り添う佃製作所の姿勢です。

実際にトラクターに乗り、トラクターに要求されるトランスミッションの性能を把握した上で、それとベストマッチのバルブを提供する、そんな佃製作所のものづくりの姿勢が島津にササったわけですね。

これに対し、大森バルブはユーザーではなく、バルブと向き合ってしまいました。ユーザーを無視してバルブだけを見つめ、その中でしか性能というものを考えられなかった。だから、ギアゴーストの作ろうとするトランスミッションにはそぐわないバルブを作ることになってしまったのです。

製品の性能と一口に言っても、ユーザーによって求めるものは違います。ユーザーに寄り添い、ユーザーの求める製品を提供する姿勢こそが佃製作所が逆転勝利をもぎ取った最大の要因と言えるでしょう。

まとめ

以上説明したように、コンペに勝つためには、

● コア技術、自社だけの強み、得意技術を持つこと
● 斬新な設計思想・コンセプトを持つこと
● ユーザーに寄り添う姿勢でものづくりを行うこと

が大事です。

数値データに踊らされ、それが全てであるかのような錯誤に陥ってはいけませんよ(笑)

参考サイト

(*1)日曜劇場『下町ロケット』|TBSテレビ

(*2)あらすじ|TBSテレビ:日曜劇場『下町ロケット』

(*3)[新ドラマ] 『下町ロケット』立ちはだかる宿敵!! 最大の危機を乗り越えろ! 10/14(日)スタート!!【TBS】|TBS公式 YouTuboo

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プロフィール

山田 龍也(やまだ たつや)
山田 龍也(やまだ たつや)
ものづくりとブランドづくりの専門家/弁理士/ブロガー。
中小製造業のものづくり、個人事業主のブランドづくりを支援中。
特許・実用新案・意匠・商標の権利取得手続; 知財戦略・商品の差別化戦略の立案; 商品の企画・開発に関するアドバイス; 情報発信を用いたブランディング・マーケティング; が得意。