はじめに
昨日まで何回かに渡って「差別化戦略」の意味やメリットを説明してきました。自分でも「差別化戦略」を立ててみたいと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか? ただ、慌ててはいけません! 「差別化戦略」を立てるためには入念な準備が必要です。
今日は「差別化戦略」を立てるために必要な3つの視点についてお話しします。
「差別化戦略」を立てるために必要な3つの視点
「差別化戦略」は、たくさんの商品の中で自分の商品をキラリと光らせ、目立たせて、見込み客(ターゲット)に自分の商品を買ってもらうための戦略です。ですので、「差別化戦略」をうまくいかせるためには、
● 自分の武器は何なのか
● ライバル会社はどんな武器を持っているのか
● 見込み客は何を求めているのか
を把握した上で商品を企画する必要があります。
● 自分からの視点<自分視点>
● ライバル会社(競合)からの視点<競合視点>
● 見込み客(顧客)からの視点<顧客視点>
この3つの視点から商品を見た時にどう見えるのか? それをイメージすることが大事です。
従って、この3つの視点で情報を集め、分析する必要があるのです。
自分視点
「差別化」と言っても、ただ突飛な商品を企画すればよいわけではありません。まずは自分の得意分野で勝負することをお勧めします。そうは言っても、自分の強みは意外にわかってないものです。
● 主観が入ってしまって、強みではないものを強みだと思い込んでいる
● 自分にとっては当たり前であるために、それが強みだと認識していない
ということはよくあります。客観的な目線で自分の強みを分析することが大事です。
まず、今までに作ってきた商品を全て並べてみましょう。今回の企画に関係がないと考えているものも含めて全てです。そして、自分の手持ちの商品を俯瞰してみてください。更に、それらを色々な軸で整理してみてください。
● 時系列で並べてみる
● 商品の系統ごとに並べてみる
● お客さんの属性ごとに並べてみる
色々な切り口で並べてみることで、自分の強みが見えてくるはずです。自分の手持ちの商品、技術、デザインを知り、分析して、自分の武器(得意なこと)の棚卸しをしましょう。
競合視点
「差別化」とは、たくさんの商品の中で自分の商品を目立たせることです。ですから、競合会社がどんな商品、どんな強みを持っているかを知ることが大事です。競合会社の商品の情報としては、市場情報と特許情報があります。
市場情報とは実際に商品として市場に出回っている商品の情報です。
例えば、
● 店頭やインターネット上で販売されている商品の情報
● 競合会社のwebサイトやプレスリリース等の情報
を調べてみましょう。
特許情報には、特許権に関する情報の他、実用新案権、意匠権、商標権等の他の知的財産権に関する情報も含むものと考えてください。特許情報は特許庁の無料データベース「J-Platpat」、Googleの提供する「Google Patents」などで調べることができます。「J-Platpat」と「Google Patents」については過去の記事をご参照ください(*1,*2)。
大事なのは最初から完璧な調査をしようとしないことです。自分の商品に関連する分野だけ、要約や図面だけ、ざっと眺める習慣をつけるだけでも随分違うものです。
競合会社が、
● どんな商品を作ろうとしているのか
● どの分野に注力しているのか
を知ることで差別化戦略が立てやすくなります。
「今までにこんな商品は見たことがない!」と思っても、商品化されていないだけで、既に特許として出願されていたり、特許権を取られている、というのはよくある話です。せっかく良い商品を企画しても競合会社に知的財産権を押さえられていると、その商品を製造販売することができません。そういう意味でも、市場情報だけでなく、特許情報を調べておくことが大事です。
顧客視点
自分の強みがわかり、競合会社の商品と差別化することができても、見込み客に受け入れられなければその商品は売れません。ですので、見込み客の趣味嗜好やその商品のトレンド等をリサーチすることも大事です。この際、ターゲットを絞り込む事が大事です。見込み客を特定の層に絞り込むことで、その趣味嗜好が明確になり、その特定の層に強烈に刺さる、エッジが効いた商品を企画することができます。
ターゲットとなる層にアンケートをして情報を収集するのもよいでしょう。
但し、見込み客に「どんな商品を望んでいるか」を聞くのはあまり有効ではありません。彼らは「作り手」ではなく、現在の商品をベースにした発想しか出てこないからです。
むしろ、「現在の商品のどこが不満か」を聞くべきです。作り手の皆さんが自分たちの知見や技術を使って、見込み客の不満を解消するような商品を作り、それを提案するのです。
普通の携帯電話しかない時代に「スマートホン」を望む人は殆どいません。それでも、「外でもインターネットに繋がりたい」という見込み客の潜在的な欲求を満たす商品を企画することができれば、その商品は爆発的に売れるのです。