エステー鈴木喬会長に学ぶ 中小企業の生き残り戦略(3)|イノベーションの鉄則

中小企業専門・クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)の代表弁理士・山田龍也(@sweetsbenrishi)です。
 

この記事は、商品開発に関する記事です。
儲ける仕組みを作っていきたい中小企業様・個人事業主様に役立つ内容です。

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はじめに

前々回、前回と「ショ~シュ~リキ~♪」でお馴染み、エステーの鈴木会長のお話からモノづくり系中小企業の生き残り戦略、特に「市場選び」「モノづくり」について考えてきました(*1,*2)。

今日は、鈴木会長が「イノベーション」について、どのように考えているかを探ってみたいと思います。

小さな中堅企業でも勝てる戦略。イノベーションの「3ない」

とあるインタビュー記事で、鈴木会長が「イノベーションはハッタリから生まれるのだ」というテーマで話をされていました(*3)。

この記事を読めば、鈴木会長がどのように「イノベーション」を生み出してきたかがわかります。
ヤマダなりにポイントを3点にまとめてみました。

  • 商品企画会議から革新的な商品は生まれない
  • 市場調査を信じない
  • イノベーション=技術革新ではない

これが鈴木会長のイノベーションについての考え方。イノベーションの「3ない」です。

商品企画会議から革新的な商品は生まれない

鈴木会長は、

役員会のメンバーが全員揃って反対するような商品を、あえてつくろうとするのは、商品を差別化したいからだ。
とにかく“世にない商品”をつくらないと、エステーのような中堅企業は生き残れないし、価格競争に巻き込まれてしまう。
非価格競争を仕掛けられる商品でなければダメなのだ。

とコメントしています。

 

会議の参加者全員が納得するような商品は、ありきたりでつまらないものになってしまう、ということですよね。
そのような商品には目立った特徴もなく、他の商品と差別化することができません。
他の商品と差別化することができなければ、大企業が得意な価格競争に巻き込まれ、あえなく敗退という結果になります。

合議制の商品企画会議からはイノベーションは生まれないのです。

 

また、鈴木会長は、

僕は、革新的なデザインや新製品の概念は、独裁制でないと出てこないと思っている。
アップルは、スティーブ・ジョブズの独裁者で狂気的とも思える自己執着があったからこそ再生できた。(中略)
トップが狂気的でないと商品は売れない。

ともコメントしています。

イノベーションを生むには、会議の参加者の同意ではなく、独裁者(卓越したリーダー)のこだわりや強い思いが必要だと言っているわけです。

市場調査を信じない

鈴木会長は、

僕は、そもそも市場調査を信じない人間で、「買わない人に聞いてどうするんだよ」と思っている。
買わない人に買わせるのがマーケティングだと思っているようだが、マーケティングの本質は、固定客をつくり、固定客を維持し、拡大していくことにあると思っているからだ。

とコメントしています。

 

  • 市場調査の対象となるのは、殆どが自社商品を買っていない人
  • 自社商品を買っていない人の意見など、参考にならない

ということです。

 

まだ自社商品を買ってくれていない人達はどんな商品を求めるでしょうか?
それは他社の売れ筋商品と同じような商品ではありませんか?

その人達のアンケートの回答に沿って商品を作ったら、既存の売れ筋商品のコピー商品ができ上がるだけです。
これでは、イノベイティブな商品など、作れるわけがありませんよね。

 

更に、鈴木会長は、

僕の週末の趣味はストアチェックだ。(中略)
ホームセンターに行き、エステーの商品をかごに入れたお客さまを見つけては、「すみません、なぜ、その商品をお買いになりましたか」と聞く。

とコメントしています。

 

市場調査のように自社商品を買わない大半の人達ではなく、自社商品を買ってくれたお客様に意見を聞いているということです。

自社商品を買ってくれた人に、

  • もっと買ってもらうにはどうしたらよいか
  • ずっと買い続けてもらうにはどうすればよいか

を考える。

ここに頭を絞って知恵を出すことが、エステーのイノベーションの源泉となっているのです。

イノベーション=技術革新ではない

鈴木会長は、

今の日本企業は、イノベーションの垣根を勝手に高くしているだけだ。
しかもイノベーションは、技術世界だけの話だと思っている。
だが、お客さまがイノベーションだと思えば、それは紛れもないイノベーションなのだ。

とコメントしています。前回お話しした「『良いものを作れば売れる』は開発者の驕りにすぎない」に通ずる部分です。

 

日本の中小企業には素晴らしい技術を生み出す力があります。そして、その素晴らしい技術を生み出すことこそがイノベーションだと思っています。

しかし、

それはメーカーサイドから見たイノベーションにすぎないんじゃないの?
お客様から見たらイノベーションになっていないんじゃないの?

というのが鈴木会長の問題提起です。

優れた技術を生み出すことがイノベーションではなく、お客様が今までにない喜びや満足感を感じてもらえるものを創り出すことこそがイノベーション。

これこそがエステーのイノベーションについての考え方なのです。

まとめ

小さな中堅企業でも勝てる戦略。イノベーションの「3ない」は、

  • 商品企画会議から革新的な商品は生まれない(会議より独裁書のこだわりや強い思い)
  • 市場調査を信じない(市場調査よりストアチェック)
  • イノベーション=技術革新ではない(優れた技術よりお客様が今までにない喜びや満足感を感じられるもの)

の3つです。
イノベーションを起こすには、経営トップの姿勢、既存客の意見というのがキーになりそうですね!

参考サイト

(*1)エステー鈴木喬会長に学ぶ 中小企業の生き残り戦略(1)|市場選びの鉄則

エステー鈴木喬会長に学ぶ 中小企業の生き残り戦略(1)|市場選びの鉄則
はじめに 大企業と中小企業では経営資源(資本力やマンパワー)に圧倒的な差があります。 大企業と同じやり方をしていたら、中小企業は勝てないどころか、生き残ることすら難しいでしょう。 今日は「ショ~シュ~リキ~♪」でお馴染み、エステーの鈴木会長のお話からモノづくり系中小企業の生き残り戦略を探ってみたいと思いま...

 

(*2)エステー鈴木喬会長に学ぶ 中小企業の生き残り戦略(2)|モノづくりの鉄則

エステー鈴木喬会長に学ぶ 中小企業の生き残り戦略(2)|モノづくりの鉄則
はじめに 前回は「ショ~シュ~リキ~♪」でお馴染み、エステーの鈴木会長のお話からモノづくり系中小企業の生き残り戦略、特に「市場選び」について考えてみました(*1)。 今日は、鈴木会長が「モノづくり」についてどのような考え方をしているか探ってみたいと思います。 小さな中堅企業でも勝てる戦略。モノづくりの「3...

 

(*3)イノベーションはハッタリから生まれるのだ|ダイヤモンド・オンライン

イノベーションはハッタリから生まれるのだ
90年代後半、業績が悪化するなかで社長に就任するやリストラと同時に商品開発に大なたを振るい、自ら企画した数々のヒット商品を生み出した。その背景にあった思いや新しいものを生み出すためのイノベーションに対する考え方とはどのようなものだったのか。

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